気仙沼支援活動レポート
浦島地区振興会は、昨年より、旧浦島小学校の施設利用及びまちづくりに関する話し合いを進めています。旧浦島小学校施設の活用方法の検討に関しては、地区住民を交えた話し合いを行うと同時に、旧浦島小学校施設を管理する気仙沼市との意見交換や協議を行うことも重要となります。
1月17日、浦島地区振興会は、旧浦島小学校の施設利用に関する要望書を気仙沼市長宛てに提出しました。要望書は、(1)気仙沼市が旧浦島小学校施設を物品や書類の保管場所として利用する場合は、一時的な保管に留めてもらいたい(現在、気仙沼市は、同施設の一部を物品や書類の保管場所として利用しています)、(2)当面の間、旧浦島小学校施設の維持管理費を気仙沼市に負担してもらいたい、(3)旧浦島小学校施設の活用方法の検討について、時間の猶予を認めてもらいたい、以上の3項目からなります。
1月25日、四ヶ浜地域の鶴ヶ浦生活文化センターにて、在宅生活者を対象とした交流イベント「お料理会」を開催しました。
四ヶ浜地域は、震災の影響で地域住民が離散し、自治会の機能が低下したことにより、震災前に各集落で行われていた住民の集いの場となる地域行事が減少しました。現在では、地域行事の開催は徐々に以前の状態を取り戻しつつありますが、集落によっては住民同士の日常的な交流は未だ少ない状況にあります。そのため、JVCは定期的に住民同士が集える「場づくり」を行っています。
これまでの「場づくり」は、主に外部のボランティアなどによる催し物を取り入れ、いわゆる「観て・聴いて楽しむ」という内容を中心に行ってきました。しかし、住民の方々の参加意欲を高めるためにも幅広い内容のイベントを行っていきたいと考えており、そのため今回は参加者のみでも楽しむことができる内容を試みました。
新年1月と言えば、凧揚げですね。気仙沼には、小正月の時期に魚問屋などの屋号を染め抜いた凧(天旗)を揚げる習慣があり、天旗祭りという凧揚げのお祭りもあります。気仙沼の人たちにとって、凧揚げはとても馴染み深いものなのです。
そこで、JVCや地元の支援団体は、毎月1回開催している「趣味のじかん」の中で、3回(11月、12月、1月)にわたり、「連凧」の企画を実施しました。
12月15日、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施しました。
今回は、大浦(おおうら)・小々汐(こごしお)・梶ヶ浦(かじがうら)の各地区でまちづくりルールに関する協議を行うとともに、第2回目となる「四ヶ浜(しかはま)の家づくり勉強会」を開催しました(第1回目の様子はこちらの記事)。
まず、地区ごとのまちづくりルールに関する話し合いでは、アドバイザーから最終的な素案が提示され、それをもとに検討が進められました。大浦地区では、この間の協議内容を踏まえながら、例えば以下の様な内容のルール案が示されました。「宅地北側については、すべての区画で隣地境界線(または道路境界線)から『1.5m』以内を『北側セットバックゾーン』とし、建築物は壁面(の中心線)がはみ出さぬよう計画、建設すること」。
このルールをうまくイメージできるように、ロープを使って実際の幅を確認する作業を行いました。その上で、アドバイザーからは「給湯器・配管などを設置するためには、少なくとも1mは必要になります。浄化槽の設置や横を通り抜けることを考えると、1.5mが妥当かと思います」との説明が加えられました。
12月1日、浦島地区振興会主催による「旧浦島小学校施設利用等セミナー」が開催されました。同振興会の委員(約20名)を対象として実施された今回のセミナーの目的は、浦島地区のまちづくりを見据え、旧浦島小学校の施設をどのように活用するべきかを話し合うことです。同振興会のサポート役であるJVCは、このセミナーに際して浦島地区(大浦(おおうら)、小々汐(こごしお)、梶ヶ浦(かじがうら))の防災集団移転のアドバイザーでもある専門家(2名)を講師として派遣しました。
同振興会は今年4月に発足しましたが、個々の生活再建に追われる住民の状況を考慮し、旧浦島小学校の施設利用の検討に関する活動を控えてきました。しかし、防災集団移転の造成地の計画などに目処がついたこと、市当局に対して旧浦島小学校施設の活用法を伝達する必要があることから、同活動を本格化させるに至りました。
10月13日、第1回「鹿折いきいきクラブ」を開催しました。このイベントは鹿折地区全8か所の仮設住宅生活者を対象に、ニュースポーツ(※)を通じて住民同士の交流を図り、仮設住宅退去後にもスムーズなご近所づきあいが図られるようになることを目的としています。現在、支援団体の間では「ポスト仮設住宅」と呼ばれる、数年後に仮設住宅を退去した後にできる新たなコミュニティを見据えた課題への対応が関心を集めています。
例えば、現在、気仙沼市では28地区に災害公営住宅の建設が計画されており、平成27年から28年が入居予定となっています。仮設住宅を退去し災害公営住宅へと移り住む人々は、「仮の暮らし」からようやく抜け出して新しい生活を始めることになりますが、同時に面識のない人々が共に暮らすことになり、住民同士で馴染みがないあまり孤立を深めることが懸念されます。JVCはそのような退去後のコミュニティの状況を見据えて、「将来のご近所さん」となり得る人々が事前に顔合わせをできるよう、この「鹿折いきいきクラブ」を始めました。
第1回目は、住民の間で比較的馴染みのある「ペタンク」という種目を行ないました。
11月10日、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施しました。今回は、住宅建設について学びと理解を深める「四ヶ浜(※)の家づくり勉強会」を開催しました。
「四ヶ浜の家づくり勉強会」は、まず家づくりのイメージを共有することから始まりました。「車をたくさん停めることができる家」「自然の素材を使った家」「地震・台風にも耐える家」など、この間実施してきたアンケートや個別相談会からみえてきた家のイメージが写真を交えて紹介されました。一方、アドバイザーが考える家のイメージとして、「増改築しやすい家」「中庭のある家」「1階から屋根が始まっている大屋根の家」などが示され、実際にアドバイザーが建てた住宅が実例として取り上げられました。また、住宅の規模に応じた建設コストの目安も同時に示されました。
気仙沼市には、復興支援を継続している外部からの団体・地元の団体・行政等で構成される「気仙沼NPO/NGO連絡会」という協議体があります。連絡会は毎週金曜日に開催され、各団体の活動報告や活動の中から見出された課題の解決法などについての話し合いが行われています。そして、市域全般にわたる大きな課題については、市役所地域づくり推進課を事務局とした「分科会」で定期的に議論がなされています。
東日本大震災から2年ほどが経つ時期までの間は、応急仮設住宅に関わる課題が多く見出され、「仮設住宅分科会」や市長以下、関連部課職員なども交えての懇談会などが多く開催されていました。しかし昨今では、行政による災害公営住宅・防災集団移転・区画整理などの行政の各事業が進められる中で、生活再建・まちづくりに関する様々な課題が連絡会で指摘・抽出されてきたことを受け、10月24日には「まちづくり分科会」が開催されました。連絡会内では、仮設住宅から住居を移転した後の時期や起こりうる問題などを「ポスト仮設」と称しています。
10月6日、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施しました。今回は住宅の建設方式に関する勉強会を開催し、あわせてまちづくりのルールに関する話し合いを行いました。
まず大浦(おおうら)・小々汐(こごしお)・梶ヶ浦(かじがうら)の三地区合同で実施された勉強会では、仙台市からお招きした専門家によって再度「CM分離発注方式」についての解説が行われました。ここではCM分離発注方式の基本的な仕組みが改めて確認されるとともに、基本設計、実施設計、業者選定、工事監理等の流れが詳細に紹介されました。説明を受けた住民からは、「CM分離発注方式の具体的なイメージをつかむことができた。次回以降、コストの目安などを示してほしい」との声が上がりました。
現在、鹿折地区四ヶ浜地域では、家屋が被災を免れた、または被災後に自立再建を果たした家など(以下、在宅)に、二世帯家族や夫婦二人暮らし、独居の方など、特に比較的高齢の方が多く暮らしています。震災による影響で地域の住民が離散し、在宅で暮らす人々はおよそ230世帯から60世帯へと減少しました。そのような状況下で住民同士の交流は減少し、在宅生活者の中でも特に高齢の夫婦二人暮らしや独居の方の孤立が懸念されています。そのため、気仙沼事業では在宅生活者に対して交流の「場づくり」や「訪問による見守り活動」を行なっています。
今回は、その「場づくり」を実施してきた中で気づいたこと、今後における課題点をお伝えします。
在宅生活者を対象に、これまで地域の集会所にて絵手紙教室や大道芸人による催し物などを行なってきました。様々な内容の「場づくり」を実施してきた中で気づいたことは、絵手紙や押し花などの創作活動よりも、観たり聴いたりすることで楽しめる内容の方がより多くの方が参加されていたことです。仮設住宅の入居者を対象とした「場づくり」の場合は、創作活動やスポーツタイプのイベントなど幅広い内容を取り入れていますが、在宅生活者においては参加者自身で何か作業をする内容よりも、より気軽に楽しめるものを企画するなど、また違った工夫が必要とされています。