気仙沼支援活動レポート
8月24、25日、4度目となる防災集団移転のアドバイザー派遣が行われました。今回の訪問では、事業に関わる行政、コンサルタント会社からのヒアリングと、地区ごとの住宅相談会を実施しました。

8月24日、市役所やコンサルタント会社を訪問し、担当者から事業の現状と今後のスケジュールについての確認を取りました。続いて、3地区(大浦、小々汐(こごしお)、梶ヶ浦(かじがうら)の代表者が集まってミーティングの場を持ち、地区に共通する課題についての話し合いが行われました。ミーティングでは、建設業者の不足が懸念される中で、造成後いかにすみやかに住宅を建てるかという点や、現在進行している大規模な道路事業や防潮堤の問題、さらには四ヶ浜全体に関わる振興計画まで話は及びました。
仮設住宅での暮らしが始まって、およそ1年。住民の皆さんはその生活にも少しずつ慣れ、落ち着きを取り戻してきました。一方、仮設住宅の住民が従来のコミュニティや人との関わり合いを失い、孤立してしまうことが、依然として懸念されています。そのため昨年から、地元・外部を含め数多くの支援団体が、交流の機会の提供や新たなコミュニティ作りのための活動に励んできました。
7月21日、22日、防災集団移転に関わるアドバイザーが気仙沼を訪れました。三回目となる今回の訪問では、移転予定地の視察と住宅相談会が行われました。
7月21日、浦島小学校仮設住宅の集会場にて、梶ヶ浦(かじがうら)の総会に合わせて住民とアドバイザーとの懇親会を開きました。懇親会の中で、住民が直接アドバイザーに相談する場を設けました。住民からは「平屋と二階建てでは、どちらがより経費がかかるのか?」「鉄筋コンクリートのメリット・デメリットは?」といった住宅に関わる質問や、「移転先は高台なので、風が強いのではないか?」「日当たりが心配だが…」など移転後の住宅地に関する相談が寄せられました。こうした質問や相談に、アドバイザーが一つ一つ丁寧に応えていきました。
翌22日の午前中、大浦の住民、アドバイザー、JVCスタッフで、移転予定地の視察を行いました。高台から見下ろされる内湾の景色を目の当たりにして、住民の皆さんは「素晴らしい景色だなあ」と声を揃えました。一方、移転予定地は高台となるため、「上り下りが大変だ」という声も聞かれました。この様に移転予定地を自分の足で歩くことで、移転先のイメージを持つことができます。
午後からは鹿折中学校仮設住宅の集会場に場所を移して、住宅相談会を開催しました。この会には、同じく防災集団移転が進む四ヶ浜(しかはま)・小々汐(こごしお)の住民も参加しました。まず総会の中で、これまでの事業の進捗が確認された後、信用金庫の担当者を招いて融資に関する勉強会が開かれました。続いて、住民、アドバイザー、JVCスタッフが防災集団移転、災害公営住宅、自立再建のそれぞれのパートに分かれて、個別の相談会を行いました。
防災集団移転のパートでは、実際の図面を見ながら、住民、アドバイザー、設計に関わるコンサルとの間で話し合いが行われました。住民からは、「できるだけ広い道を確保するために、側溝を作らずに路面排水にしてほしい」など、いくつかの具体的な要望が出されました。また、図面だけでは移転後の住宅地を充分にイメージできないとの声があがり、これを受けてアドバイザーからは「模型を作ってみましょう」との提案がなされました。
相談会の席上で、アドバイザーの一人は、以下の様に話しました。「住宅を安く建てるために、例えば同じ建材を使う、大手に一括発注するなどの方法が考えられます。ですからこの様な場を通じて、皆さんの要望をできるだけ多く集めたいと思っています」。大浦、梶ヶ浦、小々汐の防災集団移転促進事業は7月上旬に国土交通省の正式な認可を受け、その歩みを着実に進めています。今後も今回の様な相談会を重ねることで、住民・アドバイザー・JVCが一丸となって、よりよい生活再建の実現を図っていきたいと思います。
7月15日、前回に続き、鹿折中学校・仮設住宅の住民を対象とした第2回釣りサークルを実施しました。前回は釣りの時期には少々早すぎましたが、海の状態が落ち着き、ようやく釣りの季節がやって来たようです。
釣りサークルの前日、仮設住宅に行くと、既に参加者の数人が釣りの話で盛り上がっていました。ある参加者の方は予行練習に行ってきたらしく、「今日は釣れたぞ」と釣ったばかりのアイナメを見せてくれました。「(明日は)釣れなくても、みんなで弁当食って帰ってくるべし」と冗談を飛ばしながらも、翌日の釣りに向けて気持ちが高ぶっている様子でした。
現在、JVC気仙沼ではユウガオのグリーンカーテンによる夏の暑さ対策を実施しています。前回の報告に引き続き、気仙沼・鹿折地区の5つの仮設住宅・77世帯のうち設置希望のあった63世帯のグリーンカーテン用ネットの設置工事を6月3日から開始し、6月24日に完了しました。
5月初旬、浦島小学校・仮設住宅の住民の方々とナス、かぼちゃ、ミニトマト、きゅうり、トウモロコシなどの苗づくりを行いました。講師は元農協職員の浦島小学校の用務員さん。野菜ごとの生育の違いや種の蒔き方を教わり、長年畑作業をしてきた住民の方々も「なるほど、なるほど」と新しい学びがあったようです。
現在、JVCが活動する四ヶ浜(しかはま)の大浦(おおうら)と梶ヶ浦(かじがうら)では、防災集団移転事業が進められています。前回の訪問に引き続き、6月7日、8日の二日間にわたり、防災集団移転に関わるアドバイザーの方々が気仙沼を訪れました。今回の訪問の目的は、地域の背景を知るための各関係者へのヒアリングと、防災集団移転に参加する住民の皆さんにアドバイザーの方々をご紹介することです。
ホームページをご覧のみなさま、初めまして。今月よりJVC気仙沼事務所で勤務をしている野口です。よろしくお願いします。今回は仮設住宅を対象にした夏の暑さ対策について報告します。
今年の夏を迎えるにあたりJVC気仙沼事務所は夏の暑さ対策として様々な方法を検討してきました。いくつかある候補の中から、まず、最初に遮光ネットを屋根の上に取り付け室内温度の軽減を図る方法を実験しました。しかし、実験の結果、遮光ネットでは室内温度の軽減に有意な効果を認めることが出来ませんでした。そこで、他団体でも実施しているグリーンカーテンを設置して暑さ対策を講じていくことにしました。
JVCでは仮設住宅における生活不活発病予防(※)のための活動を行っています。仮設住宅で暮らす住民は、震災で生活環境が変化したことにより、体を動かしたり、社会参加する機会が減っています。今後、仮設住宅での生活が長期化するにつれ、高齢者住民を中心に生活不活発病の発症リスクが高まることが予想されます。
私たちはその予防策として、住民が単に体操をしたり体を動かす機会を設けるだけではなく、趣味や生きがいを楽しむことを通して、生活の中で活発な活動や外部との交流を増やすことを目指しています。
今回の震災によって、多くの人々が暮らしを営む住居を失いました。被災した人々が生活を再建していく上で欠かせないことは、その住まいを取り戻すことです。現在、気仙沼市では、地区単位で住居再建のための「防災集団移転促進事業」(※)が進められています。