仮設住宅での暮らしが始まって、およそ1年。住民の皆さんはその生活にも少しずつ慣れ、落ち着きを取り戻してきました。一方、仮設住宅の住民が従来のコミュニティや人との関わり合いを失い、孤立してしまうことが、依然として懸念されています。そのため昨年から、地元・外部を含め数多くの支援団体が、交流の機会の提供や新たなコミュニティ作りのための活動に励んできました。
こうした支援活動を行う各団体は、保健・医療の専門性を持っていたり、地元への理解が深いなど、それぞれに強みを持っています。そこで、JVCが呼びかけ人となり、鹿折(ししおり)地区で活動する4団体(※)が協働して行う連続企画を始めました。企画名は「趣味のじかん」。手芸などに一緒に取り組むことで、住民間の交流を図ることが目的です。現在は、団体間で繰り返しミーティングを重ねながら、互いに意見を出し合って企画を練り、それを合同で実施しています。
これまでの「趣味のじかん」では、かご作り、絵手紙、押し花などを行ってきました。講師役は、気仙沼市在住の方に依頼をしています。企画を一つのきっかけとして、興味を持った人が自分で継続的に習うことができるように、というのがその狙いです。参加者の皆さんは、毎回時間を忘れるほど夢中になって作業に取り組みます。作業後は、互いの作品を鑑賞し、それぞれが感想を発表します。最後に、参加者全員で健康体操を行い、約2時間のイベントはまたたく間に終了となります。
「次に何をやるのか、いつも楽しみにしてるのよ」「この間、みんなで講師の方のところに行って、新しいものを作ってみたわ」「○○さんが作ったものを見せてもらったよ」。参加者の方々は嬉しそうにそう話してくれました。住民の皆さんの多くは、震災の影響で、「何もすることが無くなってしまった」と語ります。皆さんが新たな生きがいを見つけ出し、共通の話題を通じた活発な交流が生まれることを目指して、JVCは今後も各団体と協力しながら、この様な支援活動に取り組んでいきたいと思います。
※ 4団体は、以下の通り。
社会福祉法人 気仙沼市社会福祉協議会ボランティアセンター(復興支援センター)
気仙沼地区サポートセンター(社会福祉法人 気仙沼市社会福祉協議会)
一般社団法人 気仙沼復興協会(KRA)
兵庫県立大学・宮城大学看護東北プロジェクト