Trial&Error掲載記事
外務省やJICAの過去の過ちから導かれる教訓をODAに活かすため2011年に立ち上げられた「開発協力適正会議」委員を退任した高橋。
当初の目的から外れ、「国益ODA」に走り続けている会議の現状と、残された課題について振り返る
【No.342 コロナ禍だからこそ JVCは足軸を変えない (2020年7月20日発行) に掲載】
7月21日、外務省は突然、モザンビークでの「プロサバンナ事業の終了」を発表した。これは、約8年間、同事業に「ノー!」を言い続けてきた現地の小農と、市民、国内外のNGOの連帯と協働による勝利と成果だ。
だが同国では日本の官民連携の大型プロジェクトも進行中だ。支援が必要な状況を生じさせている「加害の側」にいる私たちが、支援を超えて、いかに公正な社会・世界をつくれるかが問われている。
【No.343 炙りだされた課題に JVCは 何を始めるのか (2020年10月20日発行) に掲載】
モザンビークの小農は、日本のODAも含め海外投資による土地収奪に苦しみ、抗議の声をあげれば政府などからの弾圧を受ける。それでも彼らは、長年の農業実践に誇りをもち、他地域や他国の小農と連帯し、自らの実践と課題を相対化しながら、学びと内省、実践を繰り返し、社会変革を起こしている。今、JVCがなすべきは、単なる技術支援に留まるのではなく、活動地の人たちが世界との関わりのなかで立ち位置を確認し、未来を描くための対話にあるはずだ。
【No.340 人々の足元から社会を変えていく。いままでも、これからも。
1980→2020 JVC40周年記念号 (2020年5月10日発行)
に掲載】
「ODAウォッチ」と題された本連載の執筆にあたり、これまで渡辺は以下のことを意識してきた。一番の当事者である「現地小農から見た」プロサバンナ事業がどのようなものかを伝えること。それを受けて、納税者である私たちが、事業実施主体である外務省・JICAという「権力の側」をウォッチすること で見えてくること/考えるべきことは何かを検証すること。今回は、私たちNGOという「人びとの側」に見えた気がかりについて考えてみた。
【No.339 森は生活のよりどころ 開発と水害に直面するラオスの今 (2020年1月20日発行) に掲載】
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)は、キャッチーでカラフルなアイコンとともに、ここ数年でようやく一般的にも知られつつあるようになってきた。そこでは、多様なステークホルダーのそれぞれが国際的課題の解決に向けて取り組むべきだ、と謳われている。目指すべき「共通の目標」を手に入れた一方で、同床異夢的に推進されていく「セクター間連携」に対する懸念があることをお知らせしたい。
【No.337 住民のニーズに寄り添った震災と原発事故からの8年間 (2019年7月20日発行) に掲載】
ついにモザンビークの司法が動いた。現地の裁判所が、プロサバンナ事業が「人びとの『知る』という根本的な権利を侵害している」
として、「プロサバンナ事業の影響を受ける市民の自由と権利を侵害する可能性のある計画・組織および決定に関する公益にかなう情報」の全面公開を命じる判決を下した(注1)。
事業下ではJICAによる資料も多く作成されてきた。いま、日本政府が果たすべき責任とは。
【No.334 3ヵ国民衆会議 危機の21世紀を超えて、つながりあい、食の幸せを未来に手わたすために (2019年1月20日発行) に掲載】
この連載で取り上げているJICAによるプロサバンナ事業は、現在その事業計画(マスタープラン)の策定を中断している。
これまで現地や日本の市民団体が提言活動を続けてきた結果と言えるかもしれないが、かと言って事業の影響を受ける現地農民を取り巻く状況は、必ずしも好転はしていない。
市民的自由や人権の保障といった(ある程度普遍的と言える)価値を、開発支援の現場においてどのような姿勢で組み込んでいくべきなのだろうか。
【No.333 ボランティアが続けた30年間の活動を振り返る (2018年10月20日発行) に掲載】
2017年11月、同年4月にプロサバンナ事業対象州の住民11名がJICAに提出した、事業が環境社会配慮ガイドラインに違反するとした「異議申立」に対する調査報告書の日本語版が公表された。※注(1)
本稿でもお伝えしてきたJICAによる現地農民・市民社会組織への「介入」とその結果の「分断」、あるいはその他の異議申立内容については、いずれも「ガイドライン違反なし」との結論が出され、残念な結果となった。
今回はその後の事業を取り巻く状況についてお伝えする。
【No.332 変わりゆく世界情勢にJVCはどう対応するのか (2018年7月20日発行) に掲載】
日本がモザンビーク北部で注力する事業はプロサバンナだけではない。北部5州(ナンプーラ、ニアサ、ザンベジア、カーボデルガド、テテ)で行われる「ナカラ回廊開発」があり、農業開発事業・プロサバンナはこれに包摂されている(注1)。
今回はこのナカラ回廊開発における「鉄道整備・港湾事業」について、そしてJICAではなくJBIC(国際協力銀行)による企業融資について取り上げる。
【No.329 400万人。人口の3分の1が今も恐怖と不安のなかで生きている (2018年1月20日発行) に掲載】
今年4月にモザンビークの住民たちが起こしたプロサバンナ事業への「異議申し立て」は、現在その審査が進められている最中だ。
結果はどう出るかまだわからないが、今回は、その異議申し立てが持ちうる意味を、アジアとアフリカと日本との関係から考えてみたい
【No.328 土地問題と対峙する 村人の権利意識の向上を担い続ける (2017年10月20日発行) に掲載】