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東日本大震災被災地での活動

気仙沼事業 2012年度活動報告

震災支援担当 岩田 健一郎
2013年7月 8日 更新

JVCは2011年8月、気仙沼市内に事務所を開設し、以来、鹿折(ししおり)地区、特に四ヶ浜(しかはま)という地域で、地元の人々の生活再建のための支援活動を継続してきました。2012年度は、自宅で生活を続ける人、仮設住宅や民間賃貸アパート(いわゆるみなし仮設)で暮らす人々、それぞれの生活状況で異なるニーズに応える活動を実施してきました。

【活動1】 暮らしを支える(四ヶ浜における生活再建支援)

自宅の流失を免れ、集落に留まって生活を続ける人々も、周辺住民が離散し、集落の自治機能が低下するなど、少なからず震災の影響を受けています。仮設住宅への支援が集中する中、自宅生活者が取り残されることがないよう、定期的な訪問活動による見守りと多様なニーズへの対応を行ってきました。側溝の清掃や荷物の運び出しなどの作業依頼を22件受け、地元の支援団体との連携の下、細やかな対応を行いました。

<作業内容と件数>

作業内容件数
側溝の清掃・修復3
荷物の運び出し3
情報提供3
草刈り3
畑づくり3
機材貸出2
イベント手伝い2
ペンキ塗り1
廃材処理1
床下の泥出し1
合計件数22
自宅生活者を訪問するJVC岩田(写真右)自宅生活者を訪問するJVC岩田(写真右)

四ヶ浜では、牡蠣、帆立貝、ワカメ、コンブの養殖が盛んです。しかし、今回の震災によって、養殖業者は作業場や道具を失ってしまいました。こうした状況を受けて、2012年の2月から4月にかけて、ワカメの収穫作業に関わる人手を提供し、養殖業者の生業再開を後押ししてきました。多くの養殖業者が生業再開を果たした今季は、地域の養殖業を活性化することを目的として、生産者と消費者を結びつける「養殖体験」を企画、実施してきました。

<派遣人数と日数>

派遣人数日数
スタッフ1名13
スタッフ2名1
スタッフ1名+ボランティア1名2
スタッフ1名+ボランティア2名3
養殖業者の解説に耳を傾ける養殖体験参加者養殖業者の解説に耳を傾ける養殖体験参加者

四ヶ浜の大浦、小々汐、梶ヶ浦では、住民主導で防災集団移転促進事業(いわゆる高台移転)が進められています。その取り組みを支えるため、2012年4月、建築やまちづくりに関わる専門家5名によるアドバイザーチームを結成し、以後、定期的な派遣を行ってきました。2012年度は合計9回のアドバイザー派遣を実施し、主に宅地の造成設計に住民の要望が充分に反映されるよう、行政および設計に関わるコンサルタント会社を交えた住宅相談会を開催してきました。(「防災集団移転についての記事一覧」はこちら)。

大浦地区の高台移転予定地の視察大浦地区の高台移転予定地の視察

【活動2 】集いの場をつくる(「場づくり」支援)

仮設住宅での暮らしにおいて閉じこもりがちな住民が孤立することを防ぐため、地元を含めた多くの支援団体が入居者の交流を図る活動を行っています。そうした活動がより効果的なものとなるよう、鹿折地区の仮設住宅支援に関わる5団体が連携して合同企画「趣味のじかん」(全11回)を実施し、合計171名の参加を得ました(対象者は約120世帯およそ300名)。実施した活動内容は以下の通りです。

<実施内容と参加者数>

開催日実施内容参加者数
第1回 6月30日かご作り21名
第2回 7月12日絵手紙13名
第3回 7月24日もぎり絵12名
第4回 8月4日押し花10名
第5回 9月6日押し花12名
第6回 10月19日ペタンク6名
第7回 11月22日ペタンク17名
第8回 12月20日フェルトのクリスマスツリー作り
そば・団子の会食
28名
第9回 1月18日ストラップ作り19名
第10回 2月14日囲碁ボール15名
第11回 3月25日囲碁ボール(大会)18名
合計参加者数171名
第11回「趣味のじかん」(囲碁ボール)の様子第11回「趣味のじかん」(囲碁ボール)の様子

また、震災の影響を受けた集落の自治会活動をサポートするため、自宅で生活している住民を対象とした交流イベント(大道芸人によるショーなど)を3度、実施しました(第1回目参加者数17名、第2回目 参加者数 21名、第3回目 参加者数7名)。

大道芸人によるショーを楽しむ住民の皆さん大道芸人によるショーを楽しむ住民の皆さん

【活動3】学校支援

四ヶ浜唯一の教育機関であり、この地域の中心的存在である浦島小学校は、今回の震災によって児童数が減少し、2012年度をもって閉校を迎えました。この間JVCは、浦島小学校を支えるための様々な活動を実施してきました。2012年度は、浦島小学校付近で周辺住民、学校関係者とともに畑作りを進め、9月には畑の収穫祭を小学校で実施しました。11月には、全校児童7名を対象に「ボランティア」をテーマとした特別授業を行いました。 また、年度末の閉校に向けて地域住民によって組織された「閉校記念事業実行委員会」に参加し、校歌のCD制作にも協力しました。

浦島小学校で「ボランティア」をテーマとした特別授業を行うJVCスタッフたち浦島小学校で「ボランティア」をテーマとした特別授業を行うJVCスタッフたち

【活動4】地元伝統芸能の復興

地域住民の心の拠り所である地元伝統芸能がかつての活気を取り戻すため、その披露の場をつくることを模索してきましたが、実施には至りませんでした。しかしながら、今回の震災によってつながりが生まれた太鼓団体間の交流は現在も続けられています。

【活動5】仮設住宅の生活を支える(仮設住宅支援)

仮設住宅の設備は決して充分なものではありません。そのため入居者は、夏の暑さや冬に発生する結露に悩まされています。JVCは仮設住宅の住環境改善として、鹿折地区にあるプレハブタイプの仮設住宅5ヶ所・77世帯を対象に、夏場には暑さを和らげるためのグリーンカーテンを設置し(63世帯)、冬季には結露対策勉強会を実施しました(53世帯)。実施内容は以下の通りです(「仮設住宅の住環境改善の記事一覧」はこちら)。

<事前説明会の実施状況およびグリーンカーテンの設置状況>

仮設住宅名事前説明会の実施状況設置状況
浦島小学校・仮設住宅(18世帯)5月24日実施 15世帯参加13世帯設置
大峠山(1)・仮設住宅(25世帯)5月28日実施 15世帯参加20世帯設置
西八幡前・仮設住宅(13世帯)5月29日実施 6世帯参加11世帯設置
西八幡町・仮設住宅(12世帯)5月30日実施 7世帯参加12世帯設置
西中才・仮設住宅(9世帯)個別訪問で対応7世帯設置
グリーンカーテン設置 合計世帯数63世帯

<結露対策勉強会の実施状況>

仮設住宅名結露対策勉強会の実施状況
西中才・仮設住宅(9世帯)11月25日実施 6世帯参加
西八幡町・仮設住宅(12世帯)11月30日実施 8世帯参加
浦島小学校・仮設住宅(18世帯)12月5日実施 9世帯参加
大峠山(1)・仮設住宅(25世帯)12月13日実施 21世帯参加
西八幡前・仮設住宅(13世帯)12月23日実施 9世帯参加
合計参加世帯数53世帯
結露対策勉強会の様子結露対策勉強会の様子

また、仮設住宅に移り住み生活環境が大きく変化したことに伴い、住民の社会参加や体を動かす機会が減少しています。そのため サークル活動を通じて、住民が活発な生活を送るためのサポートを実施し、約130名が参加しました。

<釣りサークル>

開催日参加者数
第1回 5月6日13名
第2回 7月15日10名
第3回 8月19日15名
合計参加者数38名

<押し花教室>

開催日参加者数
第1回 10月10日17名
第2回 11月8日19名
第3回 12月6日19名
第4回 1月17日12名
第5回 2月7日16名
第6回 3月7日15名
合計参加者数98名
押し花教室押し花教室

【活動6】行政・他団体とのネットワーキング

充実した支援活動を展開していくためには、行政や他団体との連携が欠かせません。週一回開催される「NPO/NGO連絡会」や月1回開催される「鹿折地区支援者ミーティング」等を通じて、関係機関と情報共有や意見交換を行い、必要に応じて他団体と協力しながら活動を進めてきました。10月と11月には、現場の声を行政に届ける提言活動を実施しました。

週1回、市内で活動する支援団体が集まり「NPO・NGO連絡会」が開催される週1回、市内で活動する支援団体が集まり「NPO・NGO連絡会」が開催される

震災から2年が経過し、住民のニーズや地域の課題にも変化が表れてきています。JVCは2013年度も引き続き、住民の生活再建と地域の課題解決のための支援活動を継続していきます。