カレンダー担当の伊藤圭です。
前回の記事に続いて、気仙沼の様子を報告します。
JVCは2017年度で気仙沼での活動を終えました。
住民の生活再建に一定の目途がつき、地域づくりを住民自ら進めていく段階に至ったと判断したからです。
JVCは鹿折地区・四ヶ浜地域で人口減少と高齢化が進む地域を活性化するため、外部から人を呼び込み、交流人口を増やしていく取組みの支援を行っていました。現在も四ヶ浜地域の住民有志で活動を行っています。
今年も「夏のワクワク体験 in うらしまがっこう2019」が行われました
その活動の一環で、今年も8/17(土)〜19(月)で「夏のワクワク体験 in うらしまがっこう2019」が行われました。以前からJVCをご支援頂いている敷島製パン労働組合の組合員とそのご家族の方々が、現地を訪れてくださいました。
メインのプログラムは、気仙沼の海を楽しむ内容でした。
船を出して釣りに行ったり、小さい子たちは磯で遊んだり、シーカヤックを楽しんだり、お昼は釣ってきたカレイやアイナメを刺身やバーベキューで焼いて食べたりして大人も子どもも目一杯あそび、気仙沼の自然を堪能しました。地域の皆さんが色々ともてなしてくれて、とても楽しい1日でした。
地域の皆さんはこの日のために色々と準備をし、当日は釣船を出したり、釣った魚をさばいてくれたり、子どもたちを磯遊びに連れていったり、バーベキューの用意をしてくれました。この日は気温も高く、特に海上での釣りは日差しをさえぎるものもないため、参加者も受入側も体力的にきつかったように見えましたが、子どもたちは元気いっぱいで楽しんでいました。地域の皆さんは高齢の方が多いように見受けられたので、熱中症の心配をしてしまいました。
表面化してきた地域の課題
地域の皆さんの中には、ご家庭の用事などで参加できない方もいたということです。 仕事ではなく地域のための活動ですから、参加を強制するようなことでもなく、それぞれに都合を合わせながら実施されたようです。
今回、気仙沼を訪れて見聞きしたところによると、2011年の震災から時が経ち、住宅の再建ができて生活が落ち着いてくると、それまで見えていなかったものが、色々と表面化してきているということでした。
JVCが高台移転を支援した地域では、共有の緑地をどう管理していくのかを話し合っているそうです。緑地は、それぞれの自宅から通じている庭のような場所で個人の土地ではなく市の所有物。市内の高台移転したところはすべて市の所有物なのですが、市で管理するのは財政負担が大きく予算もなく無理とのこと。
となるとそれぞれの地域で管理することになるのですが、緑地の全てをみんなで手入れするのか、自分の家の前だけを手入れするのか。また、管理の方法も除草剤をまけばいい、草刈機で刈ってしまえばいい、園芸が好きな人はきれいにやりたいなど様々な意見があります。
ここで問題となるのが高齢世帯が多いということ。自分の家の前は自分でやるとしても、いつか年齢的に作業ができなくなったらどうするのか。結局は市に頼ることになるのか。
意見の違いが表れてきています。
地方の課題が解決されないまま進められてきた復興
震災直後は地域で協力しあっていかなければいけないという機運が、被災地のみならず日本中にありました。あれほどの大災害ですから、心情は当然盛り上がります。それが時が経ち平時の生活になると、地域のことよりも自分の生活が中心になっていくとのこと。
震災があり、その後の復興の盛り上がりの中では、以前からあった過疎化や高齢化、地域での人間関係といった地域の課題は隠れてしまっていたといいます。そして住宅の再建が行われ、復興が進んでいくと課題は表面化し、結局は町おこし、村おこしにという流れになり、もう何十年も言われ続けてきた地方の問題に落ち着いてしまいました。
震災は、過疎化や高齢化といった地方の課題を進めてしまっただけなのか。
復興は震災前の、課題があった状態に戻すことだったのか。
未曽有の震災はこれまでの社会のあり方を見直し、新しい社会をつくるきっかけにできなかったのか。
このようなことを気仙沼を訪れて強く感じました。
結局は社会の構造の問題ということになり、社会そのものを変えていかない限りは解決できない問題なのだろうか。
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