JVCが活動する鹿折地区・四ヶ浜(しかはま)では、牡蠣、帆立貝、ワカメ、コンブの養殖が盛んに行われています。この度、ワカメの収穫時期となる2月~4月にかけて、地元の養殖業者の協力を得て、養殖体験を3度実施しました。体験を通じて生産者と消費者を結びつけることで、地域の養殖業の活性化を図るとともに、養殖業への理解者を増やすことがその目的です。
当日は、養殖の作業体験から始まりました。作業の一つはいわゆる「芯抜き」と呼ばれるもので、塩蔵ワカメ(保存のため湯通しをして塩をまぶしたワカメ)を、葉と茎の部分に分けていきます。また、生のまま出荷するワカメについては、メカブと葉の部分を茎からそぎ落とし、袋詰めにしていきます。参加者は、地元の方から道具の使い方などの手ほどきを受け、見よう見まねで作業を進めていきました。
作業の合間を縫って、加工場見学と海上見学を実施しました。加工場見学では、塩蔵ワカメの加工工程を見学しました。養殖業者の豪快な作業姿に、参加者一同目を見張ります。一方、海上見学では、ワカメが海でどのように育っているかを実際に目で確認しました。「この部分から栄養を吸い取るんだ」「この部分が美味いんだよ」地元の方の丁寧な解説に、参加者は熱心に耳を傾けていました。
作業終了後、収穫したばかりのワカメを使った料理を作りました。参加者が住民の皆さんと一緒になって、それぞれの部位に合わせた調理をしていきます。もともとは黒っぽい色をしたワカメが、火を通した途端に鮮やかな緑色に変わると、驚きの声があがりました。参加者は、テーブルの上に並べられた様々な料理を通して、新鮮なワカメの味を堪能していました。
養殖業者の一人は、次の様に語りました。「皆さんが来ることを知って、震災後に初めて塩蔵の作業をしました。こうしてわざわざ遠方から足を運んで下さり、励みになりました」。一方、参加者の一人は、「普段何気なく買っているワカメがどのように育てられているかがよく分かりました。これからはワカメを見る目が変わります」と話していました。
今回の震災によって、この地域の養殖業者は道具や作業場を失ってしまいました。震災から2年が経過し、多くの養殖業者が困難な状況を乗り越えて生業の再開を果たしてきました。この地域の重要な産業である養殖業が活力を取り戻していくことは、ひいてはこの地域が活性化していくことにつながります。JVCは今後も、生産者と消費者の接点をつくるなどして、地元の養殖業者を力づける活動を継続していきます。