気仙沼市立浦島小学校は、惜しまれながら63年の歴史に幕を閉じました。同小学校は、昭和25年の独立開校以来、四ヶ浜唯一の教育機関として1200名以上の卒業生を世に送り出してきましたが、近年の少子化や震災の影響により、児童数が大幅に減少し、平成24年度をもって閉校されることとなりました。
JVCは、これまで学校行事への開催協力や国際理解授業、畑作りなど、様々な形で地域住民にとっての拠り所である浦島小学校を支援してきました。今回の閉校記念事業に当たっても校歌のCD製作や閉校式典の準備、閉校式当日の運営などに協力してきました。
2013年3月23日に行われた「閉校式」には、卒業生や地域住民、歴代の教職員など、およそ280名が出席、JVCもご招待を頂き、参列しました。閉校式では、出席者全員が万感の思いで、校歌を歌い上げ、校旗が市へと納められました。出席者の中には、浦島小学校で過ごした日々を回想し、胸を熱くする方も少なくありませんでした。
また同日の夜に行われた「思い出を語る会」では、70代の卒業生や地域住民から在校生まで、幅広い世代が集い、浦島小学校での思い出を語り合いました。
卒業生の60代男性は、少年時代を懐かしむように話しました。「運動会では、家族の中に児童がいないお宅でも、おじいさん、おばあさんたちが応援に行って、大漁旗を振りながら応援したもんだ。集落対抗運動会のようで大変な盛り上がりだった。」
これまで、浦島小学校の求心力が、四つの集落から成る四ヶ浜をひとつにまとめ、一体感を生み出し、地域の絆を強めてきました。今後、高台移転による集落の再編やコミュニティの再構築が行われる四ヶ浜にとって、コミュニティの中心である浦島小学校の存在は極めて重要です。
JVCは来年度以降、閉校後の浦島小学校施設の活用方法、同小学校の今後のあり方を地域住民とともに模索し、今後も、同小学校が地域住民にとっての精神的な拠り所として、四ヶ浜のコミュニティの中心として、地域住民を支え、地域に活気をもたらす存在であり続けるよう、支援を継続していきます。
「浦島小学校は閉校ではなく、あくまで休校なんだ。」高台移転や予定される開発事業により、外部から人が移り住み、浦島小学校が再開されることを切に願う住民もいます。浦島小学校は閉校を迎えることになりましたが、今後も、地域住民の浦島小学校に対する思いが変わることはありません。