
ベトナム事業担当: 下田 寛典
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1.食料確保のための活動
対象地域では平均して半年分ほどしか米を自給することができず、残りの半年分の米はトウモロコシを販売することで現金を得て購入しています。不安定なトウモロコシ市場に依存した生活はリスクが高く、村人は米の増収を望んでいます。そこでJVC は2007年度も引き続き、環境に負荷が少なく、かつ在来の農法に近く村人が応用しやすい3つの稲作改善方法(アヒル水稲同時作、魚水稲同時作、幼苗1本植え)を紹介しました。実践した多くの世帯では米の収量が増えています。
また、家庭菜園の改善に意欲を持つ32世帯の家庭菜園を調査し、乾季に育つ野菜がないことや病害虫の被害が問題となっていることが分かりました。12月末に技術研修を開催し、各世帯の状況に合わせて栽培技術改善のためのアドバイスを行い、乾季の野菜不足を改善するために各世帯に3 種類ずつ種を支援しました。また、休閑地を有効に活用して家畜の飼料となる他、土壌改善に繋がるクローバー、レンゲ、六条大麦等の種を20世帯に配布しました。
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■アヒル水稲同時作に取り組む農家たちが経験を紹介し合う |
アヒル/ 魚水稲同時作、幼苗1本植えの実施過程で村人同士の経験交流会を定期的に開催するほか、経験交流会の模様、技術の紹介、病害虫に関する情報を掲載したニュースレターを発行しました。
2.土壌保全のための活動
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■土壌流出の軽減に効果がある マメ科の植物を植えた |
土壌流出が激しいバクソン村とナムソン村の荒廃地約10haに、土留めの効果があるソアンとラットが村人の手で植林されました。この他、特に土砂崩れが激しいバクソン村ハイチェン集落では、土砂崩れによって農地を失った10世帯が独自に管理規則を設けて植林を行いました。また、傾斜地利用の改善を図るため、等高線農業を実施し、傾斜がきつい地域にマメ科の木を植えるほか、傾斜が緩やかな土地は段々畑にして果樹やマメ科の植物を植えるなどして土壌流出を防止する土地デザインを作りました。傾斜地利用の改善には32世帯が希望し、現状を把握するための調査(傾斜の度合い、植えている作物の種類、世帯が希望する改善方法)と計画立案を経て実践しました。
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左から:伊能、マイン、リエン・フオン、トアン、トゥイ、トウー・フオン |
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