7月28日、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施しました。今回は前回と同様、浦島小学校を会場として三地区(大浦(おおうら)・小々汐(こごしお)・梶ヶ浦(かじがうら))合同の住宅相談会を開催し、約60名の住民の参加を得ました。

相談会ではまず、仙台市から専門家をお招きし「CM(※コンストラクション・マネジメントの略)分離発注方式」についての勉強会を行いました。CM分離発注方式とは、建て主が各種専門工事業者に直接発注する建築方式です。この方式では、従来型と異なり元請け・下請けがありません。そのため、発注プロセスやコストの透明性が確保されるメリットがあります。また、仲介業者による中間マージンが発生しないため、結果としてコスト縮減につながる可能性があります。

「CM分離発注方式」の勉強会の様子「CM分離発注方式」の勉強会の様子

一方この建築方式には、工事契約に伴う煩雑な書類の整備といったデメリットや予算・全体工程の超過などのリスクが伴います。そうしたデメリットやリスクに対応するため、コンストラクション・マネージャー(CMr)と呼ばれる専門家が工程管理やコスト管理等のマネジメント業務を行い、建て主をサポートします。CM分離発注方式の説明を受けた住民からは、「各種専門工事業者の選定はどのように進めるのか?」「支払の方法は?」などの質問が投げ掛けられました。

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7月7日、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施しました。今回は、昨年度閉校した旧浦島小学校を会場として、大浦(おおうら)・小々汐(こごしお)・梶ヶ浦(かじがうら)の三地区合同で住宅相談会を開催し、約50名の住民の参加を得ました。

相談会ではまず、地元の金融機関による融資に関する勉強会を行いました。担当者から、被災住宅を復旧するための住宅ローン制度やいわゆる二重債務問題の対応策についての説明が行われました。

アドバイザーによる見学会のポイントの解説アドバイザーによる見学会のポイントの解説

続いて、6月16日に実施した「住宅地見学会」の振り返りを行いました。アドバイザーが資料を用いながら、見学会で訪問した住宅地におけるまちづくりのルールを確認しました。具体的には、(1)元々住宅を建てにくい、道路から敷地内1mの部分を「セミパブリックゾーン」と設定し、住民主体で整備・維持することでまちの雰囲気づくりを行う(2)表札・ポスト・照明を1セットで全住戸に整備し、夜間の安心・安全を実現するとともに、街並みに統一感を与える(3)敷地境界から建物までの距離を定め、隣地間のプライバシーを確保する(4)敷地境界にはできるかぎり塀などを設けず、必要に応じて植栽等で対応する、などのポイントが確認されました。

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6月16日、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施し、住宅地見学会を開催しました。今回の見学会の目的は、住宅地の先行事例を視察し、その見聞を今後のまちづくりや住宅建設に役立てることです。見学会は大浦・小々汐・梶ヶ浦の三地区合同で行われ、約40名の住民の参加を得ました。

当日は、早朝に大型バスで気仙沼を出発し、まずは仙台市に向かいました。一つ目の見学地は、高台移転で各世帯に整備される区画とほぼ同じ大きさの、一区画約100坪の住宅地です。地区ごとの3グループに分かれ、それぞれのグループにアドバイザーとJVCが同行し、住宅地を見て回りました。アドバイザーの解説の下、道路幅、間口の広さ、坂の勾配、電柱の位置、東西道路・南北道路それぞれの家並みの違いなどを一つ一つ確認していきます。

住宅地を歩いて回る住宅地を歩いて回る
ロープを使って道路幅や間口の広さを確認する様子(※現地の住民に了解を得て実施)ロープを使って道路幅や間口の広さを確認する様子(※現地の住民に了解を得て実施)

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6月2日、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施し、地区ごとの相談会を開催しました。今回の相談会では、主に家づくりに関する協議が行われました。

アドバイザーによる四つの住宅建設方式の解説アドバイザーによる四つの住宅建設方式の解説

相談会ではまず、家づくりの上で想定される四つの住宅建設方式について、アドバイザーから説明がなされました。一つ目の方式は、(1)「共同発注方式(ハウスメーカー)」で、複数の住民がまとまってハウスメーカーに発注を行います。住民は、ハウスメーカーが用意する商品化住宅のラインナップから住宅を選択することになります。二つ目は(2)「共同発注方式(工務店)」で、こちらも複数の住民がまとまって工務店に発注を行います。この場合、工務店は商品化住宅をもたないため、住宅の設計は住民の希望に応じて行われます。三つ目は(3)「共同建設方式」で、基礎工事や塗装工事などの各種専門工事を担う業者に対し、住民が組織を作りそれぞれの業者と契約を結び、共同で住宅を建設していきます。四つ目は(4)「個別建設方式」で、住民が個別に設計者・施工者を選定し、住宅を建設します。

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4月28日(日)、10回目となる防災集団移転のアドバイザー派遣を実施し、梶ヶ浦・小々汐・大浦の地区ごとに協議会を開催しました。各地区で事の進め方や進み具合に多少の差はありますが、造成地の詳細設計などがほぼ固まるにしたがい、個々の家づくりと同時に全体としてのまちづくりについても話し合われるようになってきました。

梶ヶ浦の協議会にて。まずはメジャーを使って隣家の窓との距離をイメージしてみる。梶ヶ浦の協議会にて。まずはメジャーを使って隣家の窓との距離をイメージしてみる。

梶ヶ浦地区では、前回の協議会で全世帯の区画割が決定したことを受け、家を建てる際に皆が守るべき最低限の取り決めについての話し合いが始まりました。「お隣の建物とはどれぐらいの間隔をあければいいだろうか・・・」「窓の位置は・・・」このような疑問に対し、アドバイザーから建築基準法や民法上の説明や経験に基づくアドバイスなどがなされました。また、家を建てるということがあまりに漠然としているため、建てたい家のイメージづくりに役立つアンケートシートが紹介され、今後の段取りやスケジュールなどについてもわかりやすく説明されました。次回以降は、住宅地の見学や家にまつわる様々なテーマを設けたワークショップを行っていくことになりました。

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大浦の住宅相談会にて。抽選会の一コマ大浦の住宅相談会にて。抽選会の一コマ

3月31日、2012年度最後となる防災集団移転のアドバイザー派遣を実施し、地区ごとの住宅相談会を開催しました。この間検討を重ねてきた造成地の詳細設計がほぼ固まったため、今回の相談会では、住宅を建設する区画を決めるための抽選会を行いました。

大浦(おおうら)の相談会では、最初に災害公営住宅整備事業の進捗が共有されました。大浦地区では、10戸の災害公営住宅が集団移転の造成地に併設される予定となっています。この災害公営住宅の整備内容についての説明が協議会からなされました。続いて開催された抽選会では、予備抽選、本抽選を経て、区画を選ぶ優先順が決定されました。そして次回の相談会において、この順番に従い各住民の区画を定めていくことが確認されました。

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2月3日、防災集団移転に関わるアドバイザーが気仙沼を訪れ、地区ごとの住宅相談会を開催しました。前回のレポートでお伝えしたように、現在、大浦(おおうら)・小々汐(こごしお)・梶ヶ浦(かじがうら)の防災集団移転促進事業では、造成地の詳細設計が進められています。そのため相談会の中では、詳細設計をもとにしたテーマに沿って話し合いが行われました。

小々汐の住宅相談会の一コマ小々汐の住宅相談会の一コマ

まず小々汐の相談会では、造成地内に整備される擁壁(ようへき)の検討が行われました。協議の結果、宅地と宅地の間、宅地と道路の間に設けられる擁壁の種類や長さの要望が、設計に関わるコンサルタント会社に伝えられました。また、住民自身で設置する宅地内の側溝については、誰がどの場所に設けるかについて、住民間での申し合わせが定められました。

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現在、大浦(おおうら)・小々汐((こごしお)・梶ヶ浦(かじがうら)で進められている防災集団移転促進事業は、造成地の詳細設計の段階に入りました。これに伴い住民からは、「造成地の高さなどを確認したい」「造成地の区画選びの方法を決めたい」といった具体的な要望が出されました。これらの要望を受けて、12月16日、アドバイザーを交えた地区ごとの住宅相談会を実施しました。

梶ヶ浦の住宅相談会では、設計に関わるコンサルタント会社の協力のもと、住民、アドバイザー、JVCで移転予定地を歩いて回りました。設計図を片手に、移転予定地の高さや形状を一つ一つ確認していきます。「この地点が設計図のこの部分に当たり、高さは○○メートルになります」。それぞれの場所を図面で確かめる際には、アドバイザーが住民に対して説明や補足を行いました。

梶ヶ浦の移転予定地の視察梶ヶ浦の移転予定地の視察
移転予定地を歩いて回る(手前左はJVC山崎)移転予定地を歩いて回る(手前左はJVC山崎)

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大浦(おおうら)・小々汐(こごしお)・梶ヶ浦(かじがうら)で進められている防災集団移転促進事業では、この間、住宅相談会を通じて、造成地に関する要望の取りまとめを行ってきました。前回の相談会の内容をもとにして、先日、大浦地区の協議会から市に対する要望書が提出されました。また、毎回の相談会では市の担当課や設計に関わるコンサルタント会社が同席し、造成設計に関する検討を重ねてきました。その結果、造成地の道路設計に住民の要望が反映されるに至りました。

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梶ヶ浦の住宅相談会の一コマ梶ヶ浦の住宅相談会の一コマ

9月26、27日、5回目となる防災集団移転のアドバイザー派遣が行われました。前回の内容を受けて、今回の訪問では、要望書の提出のための最終的な意見集約を行いました。

26日、27日の両日にわたり、大浦(おおうら)・小々汐(こごしお)・梶ヶ浦(かじがうら)、それぞれの地区を対象とした住宅相談会を実施しました。相談会ではまず、住宅地の計画に関わる要望の聞き取りが行われました。続いて、住宅メーカー、工務店、建築家への個別の発注に加えて、住民共同の建設方式なども含めた、今後の住宅の建て方についての具体的な説明が、アドバイザーによってなされました。

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