2月3日、防災集団移転に関わるアドバイザーが気仙沼を訪れ、地区ごとの住宅相談会を開催しました。前回のレポートでお伝えしたように、現在、大浦(おおうら)・小々汐(こごしお)・梶ヶ浦(かじがうら)の防災集団移転促進事業では、造成地の詳細設計が進められています。そのため相談会の中では、詳細設計をもとにしたテーマに沿って話し合いが行われました。
まず小々汐の相談会では、造成地内に整備される擁壁(ようへき)の検討が行われました。協議の結果、宅地と宅地の間、宅地と道路の間に設けられる擁壁の種類や長さの要望が、設計に関わるコンサルタント会社に伝えられました。また、住民自身で設置する宅地内の側溝については、誰がどの場所に設けるかについて、住民間での申し合わせが定められました。
一方、大浦の相談会では、住民の要望を反映した造成設計図の修正案が複数提示されました。これを受けてアドバイザーからは、それぞれの設計図のメリット・デメリットが解説されました。住民とアドバイザーとの間の質疑応答や意見交換を経て、最終的に住民が希望する設計図が決定されました。
この度の防災集団移転促進事業では、造成地内に集会場や公園が設けられることになっています。今回の相談会では、各地区に共通のテーマとして、集会場や公園に関わる検討も行われました。住民からは、「震災によって地区の集会場は流されてしまった。今回整備される集会場は将来の自治会館として、周辺の住民も利用することになる。皆が集まりやすいように、公園は駐車場として利用できるようにしよう」「地域の財産を保管する場所として集会場を利用しよう」といった意見が出されました。
今回の震災によって一時的に集落を離れざるをえなかった住民も、将来的には集団移転を通じて再び集落に戻り、地域に残った住民と新たなコミュニティを作っていくことになります。そのため今後は、個人の住宅再建にとどまらず、将来のコミュニティを見据えた様々な検討が必要となっていきます。JVCとアドバイザーは、住民とともに新たなコミュニティのあり方を模索しながら、当事業へのサポートを継続していきます。