去る2月21日、大浦地区協議会の総会にあわせて、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施しました。総会には、約40名の住民が参加しました。 総会ではまず、高台移転団地内に整備される集会場や公園についての協議が行われました。集会場の床をフローリングにするか畳にするか、公園の敷地を芝にするか砂地にするか、ベンチをどこに設置するか等々、一つ一つ確認が重ねられました。これらの協議は一見すると細々とした内容ですが、コミュニティの拠点となる集会場や公園を住民にとって使い勝手のよいものにしていくことは、まちづくりの上で大切なプロセスです。
続いて、住民からは「まちづくりルールの内容をもう一度整理してもらえないか」との声があがりました。これまで長い時間をかけて、まちづくりルールの検討を重ねてきましたが、その議論は時に入り組んだ内容を伴うものでした。宅地の引き渡しが進み、いよいよ住宅の再建に着手する段階に至って、ルールの内容を正確に理解しておきたいというのが住民の意向でした。ここでは特に、「プライバシーを確保するために、隣地境界から建築物の壁面線を1.5m以上離す」というルールに関連して、建築物と工作物の違いや、車庫を建築物と見なすか否かについて、アドバイザーが改めて解説を行いました。総会ではその他にも、緑地帯の活用方法や高台の風対策などについて協議がなされました。
大浦地区ではこの間、2世帯の共同建設が進められてきました。昨年11月に着工した共同建設方式による住宅建設は、3月末に無事竣工を迎えました。共同建設によって住宅を再建し、仮設住宅から新居への引越しを終えた住民からは、「また大浦の皆と一緒に暮らせることが、本当に嬉しい」との声が寄せられました。大浦、小々汐、梶ヶ浦地区の住民5世帯が選択した共同建設は、これを以って全て完了となりました。2013年以降、住民、アドバイザー、JVCが協力して進めてきた共同建設は、住民が住宅再建の遅れによって取り残されることを防ぐ上で、一定の役割を果たすことができました。
2015年度、JVCは合計8回のアドバイザー派遣を実施し、「まちづくりルール」や土留め工事の共同発注などに関して、協議会全体の合意形成をサポートしてきました。また、アドバイザーによる個別相談や共同建設方式を通じて、住民の住宅再建を支えてきました。小々汐、梶ヶ浦地区では、防災集団移転が完了し、現在は集落にも落ち着きが生まれ始めています。大浦地区においても、住宅建設が本格化しており、住民が元の集落での生活を取り戻すまで、あと一歩です。浦島地区の高台移転の完了を見届けるまで、JVCは2016年度も引き続き、アドバイザー派遣によるサポートを継続していきます。