7月5日、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施しました。今回は大浦地区協議会の総会が開催され、住民約30名が参加しました。
総会でははじめに、市の担当課によって宅地の引き渡しに係る説明会が行われました。ここでは、宅地の賃貸又は売買契約に関して、今後のスケジュールや契約金額、必要書類等の説明がなされました。現在の予定では、今年の10月には宅地の契約が可能になる見通しとなっています。また、当日は大浦地区協議会の災害公営住宅入居予定者も集まり、区画の希望確認が行われました。参加者からは「この区画を希望する方がいれば、譲ってもいい」「仕事の帰りが遅いから、どの区画でも構わないよ」「○○さんと隣同士がいいな」といった意見が出され、話し合いは終始和やかに進められました。災害公営住宅の完成を心待ちにしている住民は、ようやく入居が近づきつつあることを実感し、明るい表情を浮かべていました。
次に、隣地間段差の土留め工事の共同発注について協議が行われました。前回の総会での話し合いを受けて、L型擁壁よりも施工費用の安い型枠の見積価格が示されました。また、一部住民から個別で業者に発注したいとの声が寄せられたため、全世帯での共同発注は見送り、希望者のみが共同で発注する案が出されました。協議の結果、①個別発注あるいは共同発注、いずれの場合であっても、各自が責任をもって隣地間段差の土留め工事を行う、②希望者による共同発注においては、型枠を採用し、工事費用は頭割りではなく各自の負担とする、ことなどが確認され、最終的な合意に至りました。
続いて、「まちづくりルール」に関する話し合いが進められました。ここでは主に、二つのルールについての協議が行われました。まず、「プライバシーを確保するために、隣地境界から建築物の壁面線を1.5m以上離す」というルールに関して、住民からは「隣地境界から1.5mの範囲内に、車庫をつくってもよいか?」といった質問が出されました。これを受けてアドバイザーからは、「プライバシーを守るということが元々の趣旨のため、隣地に向いた窓がなく、かつ圧迫感のない高さの車庫であれば問題ないと思います」との見解が示されました。
また、「南側の近隣環境を良好に保つために、敷地境界から建築物の壁面線を3.5m以上離す」というルールに関しては、「敷地境界から3.5mの範囲内に、物置を設置してもよいか」という点について検討が行われました。この際、「隣家の日当たりを妨げない平屋の物置であれば設置できる」との内容が確認された一方で、「それでは、下屋(げや)をつくることはよいのか?」といった疑問が出されました。このルールについては見解の相違が生じたため、改めて内容を整理することとなりました。
宅地の引き渡しの時期が迫り、個々の住宅設計が具体的に進む段階に至って、「まちづくりルール」の解釈を巡る議論が活発に交わされるようになりました。そもそも「まちづくりルール」は、皆が気持ちよく暮らすための土台となるものであり、住宅建設を制限することがその目的ではありません。そのため、住民同士が「まちづくりルール」をベースとして話し合い、お互いの事情にも柔軟に対応しながら、近隣に配慮した住宅建設を進めることが重要となります。次回総会でも引き続き、「まちづくりルール」についての協議が行われる予定です。