前日はコンケン県ポン郡のノンウェンナンバオ村に泊まり、翌朝にコンケン市内に戻ってきました。
一休みをした後、今度はコンケン市内のゴミ捨て場を訪問しました。ここには、30〜40年前から農業では食べていけなくなった東北タイの農民が移り住んで来て、今はコンケン市内から出てくるゴミの中から売れるものを拾い集めてそれを売って暮らす人が50世帯ほど住んでいます。
ここの住民たちと協力して、ゴミ問題や労働問題に取り組むゴーウィットさんが調査したところ、9年前くらいには一日500〜600バーツ(約1500〜1800円)が得られたと言いますが、今はコンケンの町のほうで既に売れるゴミが別けられていて、一日150〜200(約450円〜600円)ほどなのだそうです。ここコンケン県の一日の最低賃金が162バーツということを考えるとぎりぎりの生活なのだろうなと想像しました。

ゴーウィットさんからの説明を受けた後、実際にゴミ捨て場に足を踏み入れました。ゴミ捨て場の様子を映像や写真で見たことのある参加者も私も、現実のゴミ山を目の前にしてしばし言葉を失いました。
積み上げられているゴミの中で目に付くものの多くコンビニやスーパーで配られるビニール袋でした。町から来たばかりのゴミは生ゴミから不燃ごみまで混ざり合っていて、きつい臭いがしました。ハエも多く飛び回っていました。その中に分け入ってゴミを拾って、それを売って暮らす人たちがいました。私たちもその中に混じってゴミ拾いを手伝いました。初めて足を踏み入れたゴミ山の感触は忘れられません。臭いや感触は写真や映像では決して伝わってこないものだと改めて感じました。

この光景を前に、私はふと自分の暮らしぶりを思い返してしまいました。普段、何気なくもらってしまうビニール袋は、こうして自然に還らないゴミとして集積されていきます。このゴミ山は、何気ない私のひとつひとつの行動の積み重ねなのだとそのときハッと気づきました。
いま、ここで暮らす人たちがNGOと協力してグループを作り、ゴミ問題解決のために立ち上がりました。コンケン県の行政でもこの動きを受けてゴミ問題を解決する特別委員会が結成されたと言います。ゴミから出てくる汚水の問題、虫が多いといった問題にその場その場で対応するだけでなく、長期的にそこに暮らしている人たちの権利がきちんと保障されるよう、政策レベルでの対応も必要なのだと、ゴーウィットさんは訴えました。