
・
ベトナム・ダオさん(26歳・男性)
プロフィール
 |
|
■ダオさん親子
|
ダオさんは、ベトナム政府が「貧困村」とするタンラック郡バクソン村に、妻と4歳の息子と住んでいます。お父さんはベトナム戦争で戦った兵士でした。戦争で足を負傷し、切断。働き手を失った一家は、政府からの補助を受けて生活してきました。
昔から農業で生計を立てているのですが、土地がやせていて収穫が少なく、年に200キロ程度の米しか作ることが出来ません。これだけでは家族は暮らしていけません。
ベトナムって成長したんじゃないの?なぜ、貧困が?
 |
|
■米作りが難しい土地が多い
|
米不足に悩んでいたダオさんは、ベトナム政府が勧めている「新種のトウモロコシ栽培」を始めることにしました。タイの企業が、家畜のエサ用にトウモロコシを買ってくれるらしいのです。栽培をトウモロコシに集中し、やせた土地でもよく育つよう化学肥料を大量に使って、どんどんトウモロコシを生産しようというものです。
しかし暮らしは一向によくなりません。というのも、トウモロコシの市場価格が下がるととても安い値段で買い叩かれてしまうからです。また、新種のトウモロコシを作るためには、種や化学肥料を買い続ける必要があります。売れないのに出費ばかりがかさんで、食べるための米を買うどころではありません。農民として畑を持って作物を育てているのに、常にダオさん一家の食料は不足しているのです。
問題の解決に向けて
 |
|
■牛糞から肥料を作れば買う必要がない
|
どうやったら安心して生活していけるのでしょうか。工場への出稼ぎという選択肢もありました。しかし一家の長が出稼ぎに出て家族がバラバラになってしまった例をダオさんはたくさん見てきました。生まれ育った村で安心して生きていきたいという願いは誰しも持っているものです。
「売るための農業」から「食べるための農業」へ変換する。これが村で家族が安心して暮らしていくための方策でした。ダオさんは日本国際ボランティアセンター(JVC)など海外のNGOや他の村人からのサポートを受けながら、やせた土地を上手に利用する方法を知りました。身近な家畜のフンを利用して作った堆肥や、自分達で採種できる種を使って作物を育てるのです。肥料や種を買って借金をする必要はありません。
リスクが高い商品作物を中心にした農業より、まず自分で食べるものを栽培し、余ったら売る農業に戻ろうとしているのです。
「売るための農業」のいいところだけを聞かされてリスクを抱えてしまう農家が増える一方で、「ずっと安心して食べられる農業」の大切さに気づく人たちも出てきています。
|