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期間 |
1993年-2000年12月(農村開発) 1999年-2000年3月(環境保全) |
活動分野 |
農村開発 地域環境問題 |
地域・対象 |
フエ省フー・ヴァン郡6村6000世帯、アルイ郡4村900世帯(農村開発)、フー・ヴァン郡6村330世帯(作物体系の改善)、フー・ヴァン郡10村、アルイ郡20村(草の根獣医養成)、アルイ郡10村400世帯(等高線農業) |
関連団体 |
村作り委員会・郡獣医部・アルイ郡農業部・作物保護部・フエ農業大学 |
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ベトナム最後の王朝の都、古都フエは世界遺産に指定され、世界各地から多くの観光客が訪れています。美しい香(フオン)川が中心を流れ、豊かな緑に囲まれたフエ市は落ち着いたたたずまいの街です。
しかしここフエ省に暮らし、人口の大部分を占める農民の生活は大変厳しいものです。ごく限られた水田地帯を除けば、海岸部には痩せた白砂地帯が広がり、ラオスと国境を接する山岳地帯はベトナム戦争で森林が失われ、未だに回復していません。
JVCは1993年に「農業関係機関の協力と住民の主体的な参加により、持続的な農業が営まれ、公正な村作りが行われる」ことを目標に、活動を開始しました。当時フエ省では社会サービスが明らかに不足し、また農村の問題に取り組むNGOもほとんどありませんでした。
ベトナムの社会・政治状況では、末端行政を担う村の人民委員会を抜きに活動を進めることは難しく、行政村が活動の単位になります。JVCは村人と村の現状や抱える問題を話し合った後、村長や大衆団体の代表、集落の代表からなる「村作り委員会」を設立しました。
この委員会が中心となって、村人の生活を改善するために、どんな活動が必要か、どのように実施するか、その結果はどうであったのかを、話し合いを重ねながら進めて行きます。村では、JVCとの月例会議の前に、集落や村作り委員会で会合を持ち、活動の進捗状況や問題点が話し合われました。
活動はプロジェクトの管理運営と農業技術の研修、水利の改善、村内道路の整備、井戸の設置といった基本的社会インフラの整備、果樹栽培、作物の多様化、牛・豚銀行や草の根獣医の育成によって、生活の改善を進めました。
話し合いをするため、村人は時間を割かねばなりません。またトップダウンで物事が進められるベトナムでは、この手法はなじみのないものでした。しかし実際に生活が改善するに従い、村人からは「以前は困ったとき、個々がそれぞれ助け合ってきたました。今では個人を超えて地域をよくするために協力するようになりました。」という声が聞かれるようになりました。
また、アルイ郡では長い間焼畑移動耕作を続けてきたパコ・タオイの人々が、新しい定着農業への転換を迫られていました。アルイ郡は平地が少なく、斜面を利用しなければならないため、「表土が流されやすく、収穫は年々減少している」と農民は悩んでいました。JVCは1995年に等高線農業のモデルを設置し、1997年から郡農業部と他のNGOに呼びかけてこの農法の普及を3年間続けました。総じて収量や収入向上は期待以上で、対象でなかった村にも広まり、終了後は郡農業部によって普及が続けられています。
2000年12月、JVCは目標を達成したと判断し、活動を終えました。
*この活動をまとめたビデオを販売しています。(「NGOによる参加型農村開発」)
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