タイの農村で学ぶ日々
ここでの生活では、常に水に振り回されているような気がします。
私の住む地区では水不足の為、毎日一定の時間しか水が出ません。基本的には朝から夜までに二~三回、3時間程度水が出るのですが、地下から吸い上げられた水が溜まり次第流れるそうで流れ始める時間は不定期で、朝から出ない日もあれば夜中まで出ない日もあります。
文化や生活の違いで驚いたことは多々ありましたが、その中でも日本と大きく異なるのがゴミのあり方です。
まず、生ゴミは出ません。料理のときに出るきゅうりのヘタなどは台所と天井のすき間や窓から外へポイッ。果物を食べるときの皮や種も窓の外へポイッ。滞在先のパナーラット家でもその他の家庭や施設でも周りは大抵、庭や土になっているので肥料になるか犬や虫が食べてしまいます。余ったご飯や鶏肉や魚の骨も犬にあげて片付けてもらいます。
今年は唐辛子に引き続き、例年にないキノコの栽培を行うことになりました。ということで、ガセムさんの知り合いのキノコ農園に行き、肥料を譲り受けると同時に、二日間かけて見学、手伝いをさせてもらいました。
早いもので、タイで暮らして3ヶ月が経ちました。私たちは12月24日から5日間、中間報告のため派遣先からカオデーン農園に戻りました。約1ヶ月半ぶりのカオデーン農園は稲刈りが終わっていたり、新たな野菜が植えられていたりして変わっていました。また、子ブタや子イヌたちが大きくなっていて、予想はしていましたがその成長の早さに驚きました。
中間報告は、日本からJVC事務局長の長谷部さんと下田さんも参加して行いました。派遣先の農村での生活状況や感想、農作業内容などを1人1時間程使って発表しました。同じ有機米農家であっても農作業の内容や今抱えている問題が異なることが分かりました。私と同じ地区に派遣された高畑さんは、水不足から生じる米不足やそれに伴う支出の問題について報告していました。
「もし時間とお金があるのなら、何がしたいですか?」
私(小川)は、世界を旅して普段の生活では見ることのできない景色を見たり色々な経験をしてみたいです。
「時間がない」と、パナーラットさん(滞在先の農家の方)は口癖のように言います。
「会社員なら休日があるけど農民には休日はないし毎日忙しい。車のローンも払わないといけないし、イウやドゥーイを学校に行かせるためにはたくさん働かないといけない」と言うのです。
だんだんと朝日の昇る時間が遅くなってきました。11月に村に来た頃は6時前には陽が出ていたのも、今では6時20分頃でしょうか。そして今日はタイにも秋風が吹きました。1日を通して風が吹き、心地よい日本の秋風を思い出しました。
さて、先日、お父さんが井戸の近くに池を掘り、唐辛子畑にスプリンクラーを設置しました。スプリンクラー50本でようやく畑半分に水が行き届き、私の日課であった水やりも朝の1回のみになりました。
村に入ってから早くも一カ月がたちました。村に来た頃は村中にお米のたくさん実った田んぼが広がっていましたが、今では稲刈りも終わり、稲刈り後の田んぼで牛が藁を食べて移動しています。ここでの生活には慣れてきたものの、いまだに新事実が発覚したり、収獲している米や育てた野菜の名前が覚えられなかったりと、言葉の壁には終日頭を悩ませますが、充実した農村生活を送っています。
今、メインに行っている作業は主に二つあります。一つは唐辛子の水やりです。朝と夕方と二回に分けて、今では約2,500株ある唐辛子に加え、唐辛子の間にまいた葉物野菜の種に水をやります。さらに、毎日唐辛子の苗よりも大きくなりつつある草をとる作業に追われています。
村に住んで約3週間、農作業といえば、グラジアップデーン(ローゼル:ハイビスカスの一種)摘みを少々した程度でしたが、ついに本格的に稲刈りが始まりました。今はどの農家も稲刈りの時期なので、「稲刈り終わった?」が村の人たちの挨拶代わりになっています。朝は8時から夕方の17時までただひたすら稲を刈り続ける毎日です。
とはいっても疲れたときは田んぼの真ん中に生えている大きな木の下に集まって休憩しますし、昼ご飯を食べた後にはハンモッグに揺られながら昼寝もしたりします(とっても気持ちがいいです)。最初に「稲刈りの時期は8時から17時までずっと稲刈りをするんだよ」と言われたときは、大変そうだと少し気が重くなりましたが、案外あっという間に過ぎていく日々でした。
無心で黙々と刈るのも楽しいです。おしゃべりしながら刈ったり、音楽を聴いたり歌ったりしながら刈ったりと、とても自由で穏やかな雰囲気です。個室のトイレはないですが、パナーラットさん(ステイ先のお母さん)曰く、「全てがトイレ」なので、森の中で木をかき分け、クモの巣をくぐって「今回のトイレ探し」をするのも楽しいです。
村での生活が始まってからちょうど10日が立ちました。
今回私がお世話になっている農家さんは、タイの首都バンコクからはバスで約6時間かかるタイ東北部、コンケン県ポン郡にあるノンドゥー村のカセムさん宅です。こちらでは夫婦二人で有機農業を営んでいます。主な生産物はお米、唐辛子で、他に野菜や果物は自家消費用で、全て化学肥料を使わずに育てています。
私の派遣先はコンケーン県ポン郡にて有機農法でお米を作っている家庭です。家族はポー(お父さん)、メー(お母さん)、息子、娘の4人です。ただ、息子さんは兵役で、また、娘さんは他県の大学に通っているため一緒には暮していません。ポー、メー、私の3人で生活しています。11月は稲刈りで忙しい時期で、毎日稲刈りをしています。そんな私の一日をお伝えします。