ガザ・栄養改善支援の記事一覧
7月10日、ガザ地区のガザ市内に住む友人に確認したところ、空爆が家の周囲にも撃ち込まれている様子で、電気は昼3時から夜11時までしか通っておらず、夜11時から翌日3時までは停電しているとのことでした。
普段はガザ市近郊にある難民キャンプの薬局で働いており、私のガザ滞在中は通訳としてお世話になったこの友人は、次のように私に言いました。
「たくさんの家族が、子供たちが、女性たちが、男性たちが、殺されています。これは単なる犯罪行為です。今は危険だから来てはいけません。状況が落ち着いたらまた来てください。ガザの人々はあなたをいつも歓迎しています」
何かできることがないか尋ねると、友人は次のように答えました。
「私たちのためにドアを開けに来てください」
この「ドア」という言葉には、2つの意味が込められていたのだと思います。
ひとつは、封鎖下で何年も外に出ることができない中で外部世界への道を開いてほしいということ、もうひとつは、巨大な牢獄の中で爆弾が振ってくるガザの絶望的状況から解放されるための道を作ってほしいという意味です。
【※以降は7/18に記載】本日18日、イスラエル軍は地上侵攻を開始しました。すでに230人以上もの死者が出ているガザ地区内の被害が、一層深刻になることが予想されます。こうした緊張の中、この友人からのメッセージをもらい、ガザの「ドア」が開かれる日が早く来るように、少しずつできることをしていこうと決意を新たにしました。

早いもので、2013年度のガザ栄養失調予防事業も最終月を迎えています。
2012年度の事業地であるガザ市3地区からジャバリヤ市のビルナージャに事業地を移動し、同形態の事業とはいえ、この間新しい支援対象者と対面し、「どうしたらもっと栄養や子どもの健康について地域の人々の意識が高まるのだろうと?」と、パートナーNGO、Ard El Insanのスタッフと試行錯誤の日々でした。また2013年度中旬頃には一部地域では理解を得られず嫌がらせを受けることもありましたが、今ではJVCやパートナーNGOのArd El Insan(AEI)の名前も地域に浸透し、人々からは「次はいつ来るの!?」と期待交じりの声掛けをされるようになりました。
ガザの人々は、完全封鎖という集団懲罰の苦しみの中にいます。この懲罰からは、子どもであろうと、お年寄りであろうと、空爆で足や腕を失った青年であろうと、子どもの将来のためにただ普通に働きたいと願う父親であろうと、夫を空爆で亡くした深い悲しみの中に生きながら小さな希望を求めて抗う女性であろうと、誰一人として逃れることはできません。
私は、2013年11月20日から23日まで、地上・海・空の3方向を、イスラエル軍の戦闘機、軍用ヘリ、戦車、戦艦、監視塔、監視カメラによって完全に管理された、封鎖下のガザ地区に入りました。そこで見たものは、あまりに酷く、180万人の人間性を無差別に奪い去る犯罪行為が、なぜ地中海の真っただ中で続けられているのか、理解できませんでした。イスラエルの「安全保障」のためという理由だけで、これほどの犯罪が許されるのでしょうか。
当事業は、2013年4月より、ガザ市の3つの地域から、ガザ地区北部に位置するジャバリヤ市ビルナージャへ対象地を移行しました。対象者は地域でトレーニングを受ける女性ボランティア30名と、地域に住む5歳以下の子どもとその母親や家族など5,000人で、昨年に引き続き地域ぐるみで子どもの栄養改善の枠組みができるよう、地域の人々と共に活動しています。
4月からは地域で募ったボランティア30人への研修が始まり、座学研修に加えて、家庭訪問を通じた実地研修を行っています。ボランティアたちは、必要な栄養素や正しい子どもの成長、コミュニケーションスキルなど、活動に必要とされるさまざまな内容を座学で学び、更に実地研修を通じて、子どもの栄養状態の検査方法や、育児カウンセリングを学びます。また実地研修中は、パートナーNGO「人間の大地」の職員である保健指導員3名がボランティアの指導に当ります。
2012年11月21日に停戦を迎えてから、ガザでは日常生活に戻ろうとする人々の意思が強く作用して急速に町に活気が戻っています。JVCが支援するガザ市の栄養失調予防プロジェクトも11月の遅れを取り戻すかのように活発な活動が再開され、JVCガザ事業現地調整員の私も、12月には3度、1月に2度ガザを訪れて、現地の活動の視察を続けています。パートナーNGOのAEI(Ard El Insan:人間の大地)スタッフも、紛争の時の疲れが嘘のように、日々元気に活動しています。今実施している活動のいくつかの活動を紹介します。
長谷部貴俊事務局長が、事務局長就任後初めてパレスチナを訪問しました。
以下、長谷部のガザ地区と東エルサレムへの訪問の様子をお伝えします。(長谷部の自己紹介はこちら)
JVCのパレスチナ事業現地調整員としてエルサレムオフィスへ赴任して約一ヶ月、8月27日~29日までガザへ行った。来年度事業の計画を現地スタッフと確認するためだが、なにせ赴任して二回目のガザ入り、今回は一人で出張と言うこともあってとても緊張して、前日は何だか眠れなかった。
エルサレムからガザまではタクシーで飛ばして一時間半。ひまわりやオリーブの畑が広がる長閑な田舎道をいくと、突然要塞のような建物が見えてくる。イスラエルの検問所エレツだ。一見するとどこの国にもある国境の入り口。しかし昔は自由に出入りできたその土地と、ガザ内部の現状を思うと、その要塞が、監獄の入り口のように見えてくる。
JVCは2012年4月より、ガザ地区・ガザ市東部、シャジャイヤ、トゥッファーハ、ゼイトゥーンの3地区で、地域における子どもの栄養失調予防支援を開始しました。この事業が目指すのは、「地域社会が子どもたちの健康を守ることができるようになること」です。
春ののんびりとした陽気を飛び越えて、早くも夏の日差しが感じられたガザの、4月のある日。養鶏事業を行っているウム・アル・ナセル村の家族を訪問しました。この事業では、参加している女性たちが各自養鶏に取り組むだけでなく、他の参加者や前年度参加者との情報交換や、助け合いなどの機会も重視しています。
JVCはガザの幼稚園児の貧血予防を目的に、箇所の幼稚園児を対象に、鉄分やビタミン、ミネラルなどが強化されたビスケットと牛乳を配布し、また衛生教育の実践も含めた事業を行ってきました。
衛生教育は、幼稚園と家庭用に、歯磨き、歯ブラシ、石鹸などが配布され、子どもたちは幼稚園で、トイレや遊んだ後、食事の前に手を洗うことや、食事の後に歯を磨くことを、毎日の「練習」を通して楽しく学んできました。