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小さな恩返しで大きな自信

パレスチナ現地代表 福田 直美
2012年6月26日 更新

春ののんびりとした陽気を飛び越えて、早くも夏の日差しが感じられたガザの、4月のある日。養鶏事業を行っているウム・アル・ナセル村の家族を訪問しました。この事業では、参加している女性たちが各自養鶏に取り組むだけでなく、他の参加者や前年度参加者との情報交換や、助け合いなどの機会も重視しています。

参加者の間では、卵の数を増やすため、また鶏を病気から守るために、様々な「知識」の交換がされてきました。一日何時間以上、日光に当てるとよいという情報や、餌のバランスを変えたら生産性があがったという経験。そして、新しい雄鶏を入れると雌鳥が卵を生み出したというストーリーについては、「生産性が悪い夫は、交換すればいいのよ!」という、参加者の一人のXXXさん(ヒミツ!)の名言が、村で話題となりました。

やっぱり子どもが持つのが一番絵になる?大好きな卵を手に

そのような工夫を繰り返しながら、女性たちの間では小額ながらも余剰分の卵を販売し、収入を得る女性たちも増えてきました。春先は卵の生産量も上がり、なんと12名の参加者のうち5名が、卵を時々販売していました。本来、この事業の目的は、卵を生産することで「貧困の厳しい村で、十分な栄養をとれない子どもたちの、朝ごはんの栄養の足しになる」ことが目的でしたが、それ以上に今年も、小さな収入という「プラスの効果」が生まれています。

「この収入は基本的に私の『ポケットマネー』になるから、使い道が自由なのよ。面倒を見ているのは私だから、旦那には文句を言わせないわ」とニヤリとする女性も。基本的に家計は女性が握るガザですが、「だって夫の手元にこのお金があったって、タバコを買うだけじゃない」とは、ごもっとも。また、春になり多くの参加者が、孵化にチャレンジ中。昨年度の参加者の中でも、女性たち曰く「プロ級」に孵化が上手なアイシャさんに、参加者は皆アドバイスをもらっているようでした。

孵化に集中する鶏。21日間じっと待ちます孵化に集中する鶏。21日間じっと待ちます

さて、この日はとてもうれしい声を聞くことができました。参加者の一人、ハドラさん。最初は卵の生産量が少なかったのですが、新しい「卵を産む」雌鳥を自ら購入して加えることで、他の雌鳥の「目を覚まさせた」成功者です。その後、卵の生産数を順調に上げて、いまや一日5~7個(鶏は9羽)にまでなっているのですが、その彼女が嬉しそうに教えてくれました。「子どもたちが食べても余るくらいの卵が採れるので、この前、15個を親戚のおうちにあげたの。私には障害を持つ子どもがいて、親戚がいつも薬代などを支援してくれているから、その恩返しに。それがとても嬉しかった」とのこと。小さな「恩返し」が、彼女の誇りとなり、そして自信となっていることが、嬉しそうな笑顔から感じることができ、それを聞いている私も誇らしげな気分になりました。

実はハドラさんは、昨年度の参加した女性から「彼女の家族は本当に大変だから、来年度はぜひ事業に加えてあげて」との要望があり、参加することになったのです。事業開始前に聞き取りを行った時は、そして事業が始まってからしばらく卵が生まれない鶏を前に、少し悲しそうな顔をしていたのを覚えています。大げさかもしれませんが、笑う時に私の肩をバンバン叩いたり(ガザの元気なおばちゃんには典型的な行動)、「この日のこの時間帯に家庭訪問に行く」と知らせると、あらかじめ鶏のケージの前で子どもと一緒に待っていてくれたり、彼女の表情がだいぶ明るくなったようにすら感じます。

また、自ら鶏の薬を購入している女性もいました。この事業では月に一度、獣医さんが鶏の様子を見に来て、必要であれば薬も処方するのですが、獣医さんに頼らず自分で病気を予防していこうという姿勢は、事業が終了しても自分でしっかり続けて行くことが創造でき、とても嬉しいものです。

コーディネーターの女性と。頑張りを認められる女性はとても嬉しそう。基本的に顔を隠しているので、表情をお見せできないのがとても残念!

ところで、女性たちはどこで卵を販売しているかというと、もともとは村の中でご近所さんに「卵がある時に、『売ってもらえるか?』とたずねられると」直接販売していたのですが、最近はそうでもないようです。何人かは、「金曜に村の外の町で市場が開催される。その市場で売るために、買い取ってくれる人がいる」とのことで、村の外で販売しているようです。実は、金曜の市場では卵が通常の1.5倍くらいの価格で売れるとのこと。

私は正直、「外で高価で売るよりも、ご近所さんに安価で売ってあげる方が、村の中での助け合いにつながって嬉しいのになあ・・・」と思ってしまいますが、そのあたりはやはり、したたかなガザの人々。収入はあるに越したことはない、ということでしょうか。彼女たちなりに、これからも楽しみながら、そして自信をつけながら頑張ってもらいたいと思います。

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