アフガニスタン最新情報
JVCアフガニスタン事業では都市から離れた活動地(ナンガルハル県シェワ郡)で2007年から教授技術の向上を目指す参加型の教員研修、つまり先生たちのトレーニングを実施しています。これまで紛争によって、人材の喪失や教育施設の破壊など、多大な被害がもたらされてきたアフガニスタン。何の指導訓練を受ける機会も得ないまま、中学校を卒業しただけで先生となった人もいます。
JVCの授業研究の特徴は、村の学校の先生たちが外部講習ではなく、同僚とともに自分たちの学校で訓練の機会を持ちながら授業創りを学ぶことです。先生たちが授業法を学び、自信を持ってわかりやすい授業をすることで、子どもたちも楽しく勉強できる教育環境を作っていくことが狙いです。
この秋、初めて女子学校で授業研究を実施しました。今回の対象校のバル・カシュコート女子学校には現在20人ほどいる教員のうちの一人が女性教員です!同じ県内でも大きな都市であるジャララバードの学校には多くの女性教員が活躍しているのですが、JVCが活動している村々では女性教員がほとんどいないのが現状です。(その唯一の女性教員へのインタビューはこちら)
11月24日、築地本願寺にて「忘れないでアフガニスタン」イベントが開催され、150名程度の方が参加してくださいました。12月4日にロンドンで行われるアフガン復興に関する国際会議に合わせて世界各地で「忘れないでアフガニスタン」というメッセージを出すための様々なキャンペーンが展開されており、日本でもそのキャンペーンの一環としてこのイベントを開催することとなりました。JVCも「忘れないでアフガニスタン」実行委員会の一員としてイベントの準備やアフガン支援に関する政府への提言書作成などを行いました。
イベントは「子供の情景」という映画上映とトークセッションの二本立てで行われました。「子供の情景」はバーミヤンを舞台にした作品で、子どもたちを取り巻く環境や戦争の影響、教育への渇望が描かれています。タリバンの真似をして「戦争ごっこ」をする男の子たちの姿が印象的でしたが、それほどまでに戦いが「日常」になっているということなのでしょう。
トークセッションは、駐日アフガニスタン大使館二等書記官のモハメド・ヤーセル・カリミ氏、アフガニスタン国内で活動を行っている日本のNGO「カレーズの会」のレシャード・カレッド氏、ADRA Japanの杉本亜季氏、外務省中東アフリカ局参事官の三澤康氏の4名を迎え、アフガニスタンの現状や今後日本に期待される役割などについて議論が交わされました。
その中で何度も出てきたのは、国際社会による支援によって改善されてきた部分も多くあるが、いまだに貧困や格差、インフラの未整備など多くの課題を抱えているという点です。そのような状況にも関わらず、アフガニスタンへの国際社会の関心は徐々に薄れており、文字通り「忘れさられている」という現実があります。また、治安の問題も顕著であり、レシャード氏の「アフガンの子どもたちは『平和』な状況を知らないのです」という言葉が胸に残りました。
サラーム!
今回は、現地スタッフの話に基づき、JVCアフガニスタンの事業地であるナンガルハル県について紹介いたします。
ナンガルハル県はアフガニスタンの東部に位置しており、パキスタンと国境を接しています。JVCアフガニスタン事務所のあるジャララバードはナンガルハル県の県都で、古くからカブールとパキスタンのペシャワール、さらにインド方面へと続く交易ルートに位置しています。
アフガニスタンの食料庫
ナンガルハルに住む人々の多くは農業や家畜によって生計を立てていましたが、戦争により大きな打撃を受けてしまいました。また、干ばつや洪水といった自然災害にも見舞われる土地で、ここ最近も洪水により農業や家畜、灌漑設備などが被害を受けるなど大きな爪痕を残しました。
アッサラームアライクム!
今回紹介するのは経理補佐として2011年からJVCで活動しているトラブ・ハーンさんです。読書や映画鑑賞、クリケットなど多趣味な彼は現在24歳で、3人の子どものお父さんでもあります。
経理の仕事には主にお金の出入りの管理・記録、予算決算の作成、報告書の作成などがありますが、二つの診療所を運営しているJVCにとってその量は膨大になります。
そのため、経理はイサヌラさんとの2人の体制で活動しています。
アフガニスタン事業スタッフは、8月末から一週間ほど、パキスタンのイスラマバードに出張してきました。アフガニスタンで事業しているにも関わらず、最近は治安の不安定につき現場に日本人が入ることが難しいため、現地スタッフとは隣国のパキスタンで集まり、会議を持っています。つまりフィールドに赴くことができないので、会議のためだけの出張ということになります。そんな話をしていたら、出発前にある人から、「一週間分も話し合うこと、あるんですか?」という質問をされました。確かに、一週間も宿にこもって何をしているんだろうと思われても不思議はないかもしれません。
しかし、現地スタッフと会えるのは年に数回だけ。実にたくさんの議題があり、朝の9時から会議が始まり、所々に休憩やお祈りの時間をはさみながら、18時...19時...、時には20時まで延々と話は続きます。議長が厳しく話を切らないと、時間は足りません。やっとまとめをして、「お疲れ様でした~」と言った後で、誰かの「最後に一つだけ!」という一言で1時間くらい延長したりすることもあります(笑)
また、皆で終日会議を行った後も、夜遅くまで個別にスタッフと話をしています。(その時はもう少し個人的な話...「最近どう?家族は元気?」といった話にもなります。)
2001年にアメリカで起こった「9.11」事件、その報復としてのアフガニスタン攻撃の開始から、13年が経ちました。
この日に寄せたメッセージが現地スタッフから届いたので、ご覧下さい。
アジマール・フラム(1985年生まれ、JVC教育事業担当)
9.11の時、私は中学校から卒業したばかりでした。当時、他の多くのアフガニスタン人同様、私は世界 のニュースに特に注目していませんでした。と言うよりも、私たちにはテレビが無く、世界で何が起きているかを知ることができなかったのです。
なぜなら、タリバン政権時代、テレビは厳しく禁じられており、テレビを持っているものは、タリバンによって公衆の面前で罰を受けていました。そのような事情もあり、私たちは9.11という、世界中の多くの人々の人生を大きく変えることになる悲劇的な事件についてほとんど知らなかったのです。
私はさらに上の学校で学ぶために物理の勉強をしていたのですが、野菜売りの友人からアメリカが私たちの住む地域の一部を攻撃し始めたことを聞き、とてもショックを受けました。私が家に帰ると、父親がボイス・オブ・アメリカという当時私たちにとって唯一の情報源だったラジオを聞いており、一方で母親は 家財道具を集めるのに忙しくしていました。両親は都市のジャララバードは危険だから田舎に行かなければならないと私に言いました。
6月23日、アフガン現地スタッフ2名(ナシーム・サファラガ)が来日した際に静岡県島田市へ行き、アフガニスタン支援NGO「カレーズの会」理事長のレシャード・カレッド氏を訪問しました。レシャード氏はアフガニスタン出身の医師で、島田のレシャード医院で働く傍ら、カレーズの会の理事長や福祉施設の理事などを務めています。
(昨年、他のスタッフが来日した際にもレシャード医院を訪問し、患者さんに配慮したクリニックの在り方などを学ばせていただきました。そのときの記事はこちら)
さて、今回の訪問ではレシャード医院の他に市内の介護老人保健施設と特別養護老人ホームをレシャード氏の義理の弟であるアミン氏に案内していただきました。アフガニスタンでは高齢になった両親の面倒を見るのは通常家族だということで、日本の老人ホームや保健施設は彼らの目には新鮮なものに映ったのではないでしょうか。
サファラガは日本の少子高齢化について興味を持っており、日本の政策や高齢者に対する社会保障の現場を知る機会となったと思います。またナシームはさすが医師ということもあり、医療施設に入ると非常に真剣な目になり、施設の設備や利用者について色々と質問していました。
6月、アフガニスタンから、活動地で村人の診療にあたっている医師と、薬などの物資を市場から調達するJVCスタッフが初めて来日いたしました!
6月20日、アフガニスタン事業現地スタッフ2名の来日に伴い、「アフガンスタッフと語る村の診療所、そしてイスラム」というイベントを行いました。今回来日したのは物資調達を担当しているサイード・サファラガと医師のモハマド・ナシームです。イベントではタイトルにある診療所での活動やイスラム教に加えて、彼らのライフヒストリーについても話してもらいました。プレゼンテーションは彼らの母国語であるパシュトー語で行い、通訳の方に入っていただきました。
イベントは、現地の習慣に倣い、ナシームによるコーランの朗誦から始まりました。ナシームは敬虔なイスラム教徒で、地元のモスクでも礼拝の先導役を担うことがあるそうです。朗誦はアラビア語のため内容を理解することはできませんが、なにやら神聖な気持ちにさせられました。アフガン事業統括の小野山から活動地であるシェワ郡とナシーム医師が勤める簡易診療所での活動について説明を行い、いよいよ2人のプレゼンテーションへ。
今回ご紹介するのは、クズカシュコート村の保健委員会の取り組みです。
保健委員会とは、各村のリーダ的存在である長老たち(必ずしも年長者ばかりというわけではないものの、ほとんどのメンバーは髭が立派な年配の男性)が集まって、村の健康のためにできることを話し合い実施する、自治会のような存在です。JVCが運営している診療所と連携して、診療所での病気治療だけでなく、地域での病気「予防」にもっと力を入れていくことが目的です。
2014年4月5日、アフガニスタンでは大統領選挙と地方議会選挙が行われました。9・11を受けた多国籍軍による侵攻の後、2期務めたカルザイ大統領に代わる新たな大統領の誕生は、予定されている今年末までの外国軍撤退と加え、アフガニスタンに大きな転換点をもたらすことになります。
一方、反政府勢力のタリバンは、この選挙はまやかしで、侵略者の企みであるとして反対しています。選挙日前から、選挙に行かないようにという呼びかけや脅迫のほかに、さまざまな妨害活動や攻撃も見られ、選管本部も攻撃にあったほか、JVCの事務所がある東部ナンガルハル県の中心都市ジャララバードでも警察署を標的にした自爆攻撃がありました。