サラーム!
今回は、現地スタッフの話に基づき、JVCアフガニスタンの事業地であるナンガルハル県について紹介いたします。
ナンガルハル県はアフガニスタンの東部に位置しており、パキスタンと国境を接しています。JVCアフガニスタン事務所のあるジャララバードはナンガルハル県の県都で、古くからカブールとパキスタンのペシャワール、さらにインド方面へと続く交易ルートに位置しています。
アフガニスタンの食料庫
ナンガルハルに住む人々の多くは農業や家畜によって生計を立てていましたが、戦争により大きな打撃を受けてしまいました。また、干ばつや洪水といった自然災害にも見舞われる土地で、ここ最近も洪水により農業や家畜、灌漑設備などが被害を受けるなど大きな爪痕を残しました。
そのような厳しい土地ではありますが、ナンガルハル県は「アフガニスタンの食料庫」とも呼ばれ、様々な作物が収穫できる場所でもあります。例えば夏は米や豆、ジャガイモ、トウモロコシが、冬には小麦やサトウキビなどが獲れ、野菜や果物の栽培もさかんになってきました。ここ数年で新たな作物の導入や多毛作への転換などナンガルハルの農業も変化を見せています。
農業における今後の課題としては違法なケシ栽培からの脱却が挙げられます。ケシは麻薬の原料となる植物で、ナンガルハル県はアフガニスタンの中でもケシ栽培の中心地でした。政府はケシ栽培を禁止し、ケシ栽培に代わる生計手段を約束しましたが、円滑には進んでおらず、ケシ栽培からの脱却にはまだまだ時間がかかる見込みです。
オレンジの花祭り
ナンガルハル県では現地語で「ダ・ナランジュ・グル」(英語ではOrange Blossom Festival)と呼ばれる伝統的な花と詩のお祭りが毎年4月に開かれています。前回の「アフガニスタンからサラーム♪」で紹介したトラブさんもこの祭にぜひ来てほしいと語っています。
この祭では詩人たちが集まり、現代の社会問題や政治について詩を通じて風刺や批判をしたり、人生やオレンジの花の美しさについて詩を作ったりします。1961年に始まったこの祭は当初、オレンジの木の下に集まり、花を眺めながら行っていたようです。日本人にとっての花見のようなものだったのかもしれませんね。現在では花や人生についてというよりも社会問題や政治に対する風刺・批判が強くなっており、行政からの注意が入ることもあるようです。(!)
現在は治安上の問題から、日本人がナンガルハル県に入ることは非常に難しい状態が続いています。しかし、写真にもあるようにナンガルハル県は自然豊かで美しい土地なのです。アフガニスタンに平和が訪れ、ナンガルハルに観光できる日が来ることを願っています。