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夏のマラリア対策キャンペーン
~村の長老と若者ボランティア ~

アフガニスタン事業担当 加藤 真希
2014年6月17日 更新

今回ご紹介するのは、クズカシュコート村の保健委員会の取り組みです。
保健委員会とは、各村のリーダ的存在である長老たち(必ずしも年長者ばかりというわけではないものの、ほとんどのメンバーは髭が立派な年配の男性)が集まって、村の健康のためにできることを話し合い実施する、自治会のような存在です。JVCが運営している診療所と連携して、診療所での病気治療だけでなく、地域での病気「予防」にもっと力を入れていくことが目的です。

保健委員会メンバーたち。<br/>威厳ある男性陣が議論している様子は圧巻保健委員会メンバーたち。
威厳ある男性陣が議論している様子は圧巻

さて、彼らの村があるアフガニスタンの東部・ナンガルハル県では、夏がとても厳しく、毎年暑さがピークの5月~7月くらいにかけて、マラリア患者が増えています。JVCの診療所スタッフからそのことを告げられた保健委員会のメンバーたちは4月、ある画期的な計画を立てました。その名も「マラリア対策キャンペーン」。その内容とは...。

  1. (ボーフラがわきやすい)水たまりを除去し、蚊帳を使うことを村人の間で徹底する
  2. 昨年度のマラリア患者数と比較して今年はその数を減らすため、皆で予防の意識を高める
  3. 村のすべての世帯を訪問し、マラリア患者の早期発見テストを実施する
  4. マラリア感染が疑われた患者のその後の対処をサポートする

この中でも、三番目の活動、マラリア患者を発見するための全世帯訪問は、骨の折れる作業です。保健委員会のメンバーは、この実施にあたり、同じ村からボランティアを捜して任命することに決めました。

選ばれし地域のボランティアさんたち<br/>(右から3番目と5番目はJVCスタッフ)選ばれし地域のボランティアさんたち
(右から3番目と5番目はJVCスタッフ)

...そして、数日後。村の中から、家庭訪問のためのボランティアの若者が11名選ばれました!ほとんどが高校生だそうです。適切なマラリア発見テストを行えるように、JVCの診療所スタッフから、マラリアについての基礎的な知識や診断ツールの使い方トレーニングを受けました。

マラリア早期発見のための調査。<br/>子どもたちも興味津々でのぞいているマラリア早期発見のための調査。
子どもたちも興味津々でのぞいている

トレーニングを受けたボランティアさんたちは2人一組となって、村全体を手分けして歩き回り、各家庭で過去2日間で熱を出した家族がいないかを聞き、その人たちに試験紙を使ってマラリアの診断を行いました。その結果、村のすべての家族、約400家族(=約3000~3500人)を訪ね、55人が高熱を出していることがわかりました。そのうち、試験紙でマラリア陽性と出たのが3件だったので、さらに診療所で見てもらうようにすすめ、早期発見につながりました。

また、ボランティアさんは村の家庭を周りながら、マラリア対策のためにリーフレットも配りました。その中身も少しご紹介。

水場から蚊が発生している絵水場から蚊が発生している絵
蚊が主な感染源であることを示している蚊が主な感染源であることを示している
蚊帳の使用蚊帳の使用

保健委員会がこのように、自分たちの村の健康のために活動できるよう、会議でファシリテータなどを務めているJVC医師のワハーブが嬉しそうに報告してくれました。「今回のキャンペーンに参加してくれたボランティアの若者が、一銭ももらっていないのに地域に貢献できてうれしい、またやりたい、と話してくれたのが感動した。保健委員会のメンバーがすべてを行うのは無理なので、これからももっと多くの村人ボランティアを巻き込んで活動を活発にしていければと思っている。」まだまだ課題や改善点はありますが、まずは、村人たちの間でこのような取り組みのいい前例が作れたことは、JVCアフガニスタンの目指す"地域からの病気予防"の大きな進展です。

クズカシュコート保健委員会で長老たちと話し合いをするワハーブ医師クズカシュコート保健委員会で長老たちと話し合いをするワハーブ医師