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現地ブログ from 南スーダン

南スーダン日記

泥沼化した紛争の中で人道危機が叫ばれる南スーダン。紛争下の人びとの生活とJVCの支援活動について、担当の今井がお伝えします。

【2017年11~12月南スーダン現地レポート】
キャンプの女性たちとの話し合い

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2018年2月28日 更新

間があいてしまい、すみません!11月~12月に行った現地出張でみた現地の状況や活動の進捗について、何回かに分けてレポートをお届けします。

今回は滞在10日目と、11日目が休日なので12日目の活動をお伝えします。

10日目:12月2日(土)

  • マンガテン「キャンプ①」避難民女性との話し合い

今回の出張では、就学支援実施とともに、生計向上支援に向けた話し合いを予定しています。
まず最初に、マンガテン「キャンプ①」を訪問して、その話し合いを実施しました。集まってくれた女性は5人。

グループインタビューの様子グループインタビューの様子

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【2017年11~12月南スーダン現地レポート】
マンガテン国内避難民キャンプ、テントでの生活

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年12月14日 更新

11月23日から南スーダンのジュバに入り、国内避難民キャンプへの支援や聞き取りなどを行っています。現地の状況や活動について、何回かに分けてレポートをお届けします。

今回は滞在8日目と9日目の活動をお伝えします。

8日目:11月30日(木)

  • 南スーダン救援復興委員会(RRC)で学用品配布の許可証を取得
    ジュバ中心部、財務省など省庁が建ち並ぶ一角にRRC本部があります。緊急救援に限らず、あらゆる「物資配布」あるいは「物資輸送」についてNGOはRRCの許可を受けなくてはなりません。ただし、これは規制という側面と同時に人道支援活動を軍や警察の介入から守るという意味もあり、RRCの許可証を持って物資を輸送すれば、少なくともジュバ市内では軍や警察に通行を妨害されることが少なくなります。
    政府から許可証などを取得するときに、とにかく一筋縄ではいかない南スーダンですが、支援物資配布の許可証だけは、今回もその場で発行されました。助かります。
  • マンガテン避難民キャンプ「キャンプ②」テント訪問
    小型テント内部、ここで3~6世帯が生活小型テント内部、ここで3~6世帯が生活
    昨日の「キャンプ①」に続いて、今日は「キャンプ②」のテントを訪問しました。とはいえ、昨日行われていた南スーダン赤十字社による物資配布が今日も続いていて、どうもキャンプ全体が落ち着かない感じです。加えて、テントそのものが狭くて座る場所もなく、そして暑さも加わって、あまりじっくりと話を聞くことはできませんでした。
    キャンプ内には大型と小型の二種類のテントがあります。
    小型テントのひとつを訪問すると、4世帯、つまり4人の母親とその子どもたちが住んでいます。母親のひとり、アワディヤさんは子ども4人と生活しています。JVCから受け取った鍋を見せてくださいというと、家財道具が入っている大きな袋をゴソゴソっとやって、取り出してくれました。まだ、使っていないようです。
    「古い鍋がまだ使えるので、新しい鍋は大切にしまっているんです」
    鍋はとても貴重なので、とにかく今の鍋をダメになるまで使い切って、そのあとJVCの鍋を使い始めようとしているようです。<>br / JVCが支援した蚊帳は、テントの中に吊り下がっていました。
    テントは8畳間程度のスペースですが、4世帯ということは、20人くらいが生活しているのではないでしょうか。ベッドやマットレスはなく、マットが1枚敷かれているほか、寝具といえば毛布が何枚かあるだけです。椅子などの家具はありません。どうやって座ったり眠ったりしているのか、と思います。居住環境は明らかに「キャンプ①」より劣っています。「キャンプ①」では、訪問したテントはどこでも椅子かベッドがあり、そこに腰かけていましたが、ここではひとつのテントを除いて腰かける場所もありませんでした。
受け取った鍋をみせてくれたアワディヤさん受け取った鍋をみせてくれたアワディヤさん

9日目:12月1日(金)

  • 学用品の調達

    コニョコニョ市場周辺の文房具卸売商で、物資を調達します。
    事前にいくつかの業者から見積もりを取っていたので、その中で最安値の店から購入します。ただし、品質にも注意。今回は学習ノートを安く提供する業者があったのですが、表紙がペラペラですぐに破れてしまいそうだったので、表紙にビニールカバーが付いたものを選びました。
    購入したのは、学習ノート、鉛筆、ボールペン、消しゴム、鉛筆削り。「キャンプ②」で配布する500人分です。(キャンプ①は1月に配布予定)

    そして、女子生徒用の生理用品も購入しました。こちらは、キャンプ①と②を合わせて300人に支援する分です。ひとりあたり約4か月分を提供して、3~4か月後にその効果(学校を休むことが少なくなったか等)について聞き取りを行います。

    調達した物資は、配布日の朝に卸売商の倉庫から受け取ります。

    次回のレポートでは、マンガテン国内避難民キャンプ①での女性たちへの生計改善の方法についての聞き取りの様子などをお伝えします。

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【2017年11~12月南スーダン現地レポート】
グンボ診療所へマラリア治療薬などの医薬品を支援

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年12月 8日 更新

11月23日から南スーダンのジュバに入り、国内避難民キャンプへの支援や聞き取りなどを行っています。現地の状況や活動について、何回かに分けてレポートをお届けしています。

今回は滞在6日目と7日目の活動をお伝えします。これまでのレポート一覧はページ最下部のリストをご覧ください。

6日目:11月28日(火)

  • グンボ診療所へ医薬品支援

その後グンボ診療所に移動して、レモ医師と打ち合わせ。限られた予算の中で、必要性が高い医薬品に絞るようにしました。卸売業者3社から取得した見積もりを比較して業者を決め、レモ医師が優先順位付けをした医薬品リストに従って、調達を行いました。調達した医薬品は、明日の朝に受け取って診療所に搬送します。

7日目:11月29日(水)

  • カリタス・ジュバ教区事務所

JVCが行う支援の協力団体であるカリタス・ジュバ教区事務所を訪問。新しい責任者のベンさんに、グンボ診療所での医師との打ち合わせと医薬品の調達が完了したことを報告、本日、医薬品の引き渡しをしたい旨を伝えると、引き渡しの立会人としてカリタスの保健担当スタッフを私たちに同行させてくれました。

  • グンボ診療所での医薬品引き渡し
医薬品の積み下ろし医薬品の積み下ろし

ナイル川沿いのコニョコニョ市場近くの卸業者に立ち寄って医薬品17ケースほどを積み込み、そのまま渡って診療所に向かいます。ナイル川の橋を渡ると検問所があります。外国人がクルマに乗っていると、検察官に必要以上に目を付けられて、積み荷の検査などに時間がかかる可能性があるため、私は同乗せず、後ろからタクシーで追跡します。支援物資を運ぶときはいつもこの方法です。医薬品とカリタスのスタッフを乗せたクルマは検問所で通常の質問を受けて無事通過、診療所に到着しました。

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【2017年11~12月南スーダン現地レポート】
マンガテン国内避難民キャンプでの聞き取り

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年12月 6日 更新

11月23日から南スーダンのジュバに入り、国内避難民キャンプへの支援や聞き取りなどを行っています。現地の状況や活動について、これから何回かに分けてレポートをお届けしていきます。

今回は前回から続き、滞在3日目と5日目の活動をお伝えします。(4日目は日曜で休日)

3日目:11月25日(土)

  • マンガテン国内避難民キャンプ①へ

今回の活動予定地であるマンガテン国内避難民キャンプは、数百メートル離れたふたつの敷地内に、キャンプ①とキャンプ②があります。今日はまず、キャンプ①を訪れました。

前回より空き地が減ってテントの数が増えたように見えます。新しいテントのために木材で骨組みを組んでいるのも見かけます。

キャンプリーダーのピーターさんが不在のため、副リーダーのマリカンさんに会い、訪問の目的を説明します。前回8月に支援した鍋や蚊帳について、いくつかのテントを訪問して実際に使われていることを確認したいのと、今回予定している子どもたちへの支援に関連して学校の様子などを尋ねたいと話すと、キャンプ内の小学校の先生3人を連れてきてくれました。
キャンプ内の小学校は、DMI(Daughters of Mary Immaculate)という教会系人道支援団体が設立したもので、「DMI小学校」と呼ばれています。
小学校の概要は以前の訪問時にも聞いていましたが、あらためて以下のことが分かりました。

・DMI小学校には幼稚園が1クラス、小学校が1~3年までの3クラスで合計4クラス(教室)あり、児童は220名。幼稚園に約70人、あとは各クラス50人程度。

・キャンプ内から外の小学校に通う子どもも一定数いるが、外の学校は年間の授業料が12,000SSP(約60ドル)くらいと高額。DMI小学校では授業料は無料。

・DMIは、教材については児童1名にノート1冊を配布しているのみ。

・12月15日に学年が終了し、1月15日に再開する。新学期からは、4年生クラスと5年生クラスが開かれる予定。

このあと、マリカンさん、先生たちと一緒に五つのテントを訪問しました。
6名の母親に、8月に配布した物資(鍋、蚊帳、石鹸)の確認のほか、子どもの就学状況について聞いていきました。

配布物資については、3種類の物資を全部受け取ったと答えた母親世帯が半分。部屋に吊るされた蚊帳、そして炊事場から鍋を持ってきて見せてもらいました。一方で、配布当日にキャンプを留守にしていて鍋だけ受け取った人や、今年になって新しくキャンプに来たために配布対象の名簿に名前がなく受け取れなかった人、そして、同じテントに複数家族が住んでいる場合に、全部の家族には配布されていないケースもありました。

キャンプ①に住むマリー・ニャンゴックさんと、JVCから受け取った鍋キャンプ①に住むマリー・ニャンゴックさんと、JVCから受け取った鍋

子どもの就学率は思った以上に高く、訪問した世帯では大半の子どもが学校に通っていました。これは、学費無料のDMI小学校の存在が大きいと思います。
ただ、ノートや鉛筆などの学用品は、家族が購入しなくてはなりません。現金収入がほとんどない母親たちに、これは難しい注文です。
「子どもからノート買ってくれと言われて、でもお金がないから、紙きれを何枚か探し出して子どもに渡すしかなかった」
とこぼす母親もいました。

小学校の先生たちに聞いても、
「多くの子どもたちは、ノートも何も持たずに学校にやってくる。これでは勉強できない。親に買ってもらうように言うが、避難民家族にそれは難しい。仕方なく、教室では教師が紙を配ってノート代わりに子どもに使わせたりしている」

訪問したテントには、キャンプの外にある一般の公立小学校に子どもを通わせている母親もいました。そうした場合、学費も払わなくてはなりません。自分たちではまかなえないので、親戚に頼んで送金してもらったりしているとのことでした。

今回、私たちはキャンプの子どもたちにノートなどの学用品を支援する予定です。

帰り際、キャンプ内の木陰で若者たちが集まって、話し合いをしているのを見かけました。呼び止められて話をすると、キャンプのユースの集まりとのこと。
私たちの活動の話をしていると、彼らから「支援の一環として、ぜひ女子生徒に生理用品を支援してくれないか」と要望されました。生理用品がないために、女性生徒が学校を休む、行かなくなる、というケースが多いそうです。
こうした要望は、なかなか当の本人たちからは出てきにくいものだと思いますが、それがユース(基本的に若年男性の集まり)から出てくるところが少し意外で、でも興味深いところです。この要望は、考慮する必要があると感じました。

  • 医薬品の価格見積もり
  • グンボ診療所から受け取った医薬品リストに基づいて、3件の医薬品卸業者から単価の見積もりを入手しました。これに基づいて、レモ医師と相談して数量を検討することになります。

5日目:11月27日(月)

※4日目は休日のため、5日目になります。

  • グンボ避難民キャンプでイベント'16days of activism'に参加

国連/NGOが世界的に行っている11月下旬~12月上旬の16日間のキャンペーンのキックオフイベントに参加しました。テーマは「Stop Gender Based Violence」。

開催地は、ジュバ市内から見てナイル川の対岸にあるグンボ避難民キャンプで、ここでは、日本紛争予防センター(JCCP)さんが継続的な支援活動を行っていらっしゃいます。そして、2016年9月にJVCが食料支援をした場所でもあります。
今回のイベントもJCCPさんが中心になって準備されたもので、グンボのほか、ジュバ周辺の他の2か所のキャンプからも避難民たちがバスに乗ってやってきて、イベントに参加していました。

イベントの様子イベントの様子

伝統ダンスあり、歌あり、演劇あり、となかなか楽しいイベントで、特に、Gender Based Violenceをテーマにした学生たちによる演劇は、なかなかの観応えがありました。

  • 学用品の価格調査

イベントを抜けて、コニョコニョ市場周辺で、学用品(ノート、ペン、学用カバンなど)の価格を調査しました。この価格をもとに、支援品目や支援対象となる児童数などを調整していきます。

その日、ホテルに戻ると、携帯会社からSMSが。いつものような宣伝広告かと思ったら、そうではありません。

「Stop gender based violence. Real men don't beat women」

携帯会社も、国連/NGOのキャンペーンに協賛しているようです。

次回のレポートでは、マンガテン国内避難民キャンプ②への訪問とグンボ診療所での医薬品支援の様子をお伝えします。

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【2017年11~12月南スーダン現地レポート】
今も支援を必要としている人々がいます

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年12月 5日 更新

11月23日から南スーダンのジュバに入り、国内避難民キャンプへの支援や聞き取りなどを行っています。現地の状況や活動について、これから何回かに分けてレポートをお届けしていきます。

1日目:11月23日(木)

  • ジュバ着
  • 飛行機を降りると、入国手続きのカウンターのあたりまで空港職員でもない地元の若い男性たちが入り込んできて、もみくちゃにされます。外国人と見れば声をかけているようで、私にも「お前の手荷物は何個だ?オレが探して受け取ってきてやる」と言い寄ってきて、手荷物の引換証を奪い取ろうとします。目的は「手数料」をせしめることです。以前にも増してアグレッシブ。少しでも現金を得るため、みな必死です。
    なんとか空港から外に出て、迎えに来たクルマで市内へ。今年7月以来、4か月ぶりのジュバです。市内の様子は、見たところ特に変わっていません。

    まずは、以前JVCが車両整備研修事業をおこなっていた南スーダン教会評議会(SSCC)整備工場へ。現在、JVC南スーダン事務所のスペースを工場内に借りています。

    「物価ばかり上がって、もう、研修生の昼食用の豆も買えないよ」 整備士研修は今も続いていますが、会計担当のドゥドゥさんはそうこぼしています。
    「おかずがないと、昼食にはならないんだけど・・」
    主食用のメイズやコメを買うだけで、予算がなくなってしまうそうです。
    物価は倍々ゲームで上がり、人々の日々の生活を直撃しています。最も影響を受けるのは、定職に付くことのできない人びと。そして、避難民の多くがそうであるように、母親と子どもだけの家庭。女性たちは洗濯などの家事手伝い、市場での食器洗いなどの仕事を探しますが、日雇い仕事の賃金相場は150南スーダンポンド程度(現在の為替レートは1ドル=190南スーダンポンド)。これでは、主食用のトウモロコシ粉がカップ1杯買えるだけです。家族の1日の食費にもなりません。

  • 滞在中の活動予定
  • JVCの現地調整員、ナカング・クリスティンと、今回の今井滞在中の予定について打ち合わせを行いました。

<医薬品支援>
ナイル川東岸のグンボ地区では、多くの国内避難民がキャンプの内外で生活しています。この地域の診療所に対して、昨年11月に約3か月分の医薬品支援を行いました。今年7月に再訪したところ、その後、政府からも他の援助団体からも医薬品の提供は受けておらず、医薬品不足の状況は変わっていません。今回、継続してこの診療所への支援を行う予定です。

<就学支援>
これが今回出張時のメインの活動になります。
ジュバの郊外、マンガテン国内避難民キャンプは、ふたつのキャンプ(キャンプ①とキャンプ②)に、合わせて600世帯が住んでいます。JVCは今年4月に食料支援、8月に生活物資支援を実施しました。
これまでの活動を通じて、キャンプには学校に通っていない子ども、あるいは通っていても学用品がなく学べない子どもが多くいることが分かりました。今回はキャンプ内で、就学児・未就学児への学用品の支援を行う予定です。

今年8月、キャンプ②での物資配布の様子。蚊帳、石鹸、調理具(鍋)を支援した。今年8月、キャンプ②での物資配布の様子。蚊帳、石鹸、調理具(鍋)を支援した。

<女性の生計向上支援>
同じくマンガテン国内避難民キャンプで、今年から来年にかけて計画している新しい活動です。
物資配布ではなく、避難民女性たちがどうやれば少しでも現金収入を得ることができるのか、自活することができるのか、それを女性たちと話し合い、必要な支援を行う予定です。今回、まずは話し合いの場を持つことから始めます。

クリスティンの意見として、収入向上・生計向上活動の可能性として、家庭菜園での野菜栽培、揚げパンなどお菓子を作って市場で販売といったことのほか、路上喫茶(ジュバでは多くの女性が従事)、裁縫、などが挙げられました。まずは、キャンプの女性たちと話をして、「これだったらできる」「既にやっている」という具体的なアイデアを彼女たちから出してもらうのが、第一段階です。

2日目:11月24(日)

  • カリタス・ジュバ教区事務所訪問
  • これまで、私たちはカリタス・ジュバ教区事務所と協力して診療所支援などを行ってきました。
    カリタスは、ジュバ周辺のいくつもの診療所を支援しています。今回、私たちがグンボ診療所への医薬品支援を計画していることを伝えると、「それはよい」と言って、医薬品の引き渡しの際には立ち会ってくれることになりました。

  • グンボ診療所
  • ナイル川を渡って対岸のグンボ地区へ。橋を渡ってしばらく走ると診療所があります。
    多くの患者さんたちが待っていて今日も忙しそうでしたが、診察の合間を縫ってレモ医師が会ってくれました。
    「待っていたよ」
    私の顔を見るなりそう言われました。
    「ウチの患者たちからも、あの外国人は、あの団体は次にいつ来るんだ?と何度も聞かれたよ」

    私たちが前回支援した医薬品は、今年のはじめには全部消費されています。それ以降、保健省から解熱・鎮痛剤40箱が送られてきましたが「たった1日でなくなった」とのこと。それ以外は、医薬品の支援は受けていないそうです。
    診療所の受診者は1日200人前後。この数は、昨年11月に来た時と変わっていません。

    診察室の前では、「赤ん坊の熱が昨晩から下がらない」「3人の子ども全員がマラリアにかかった」という母親たちが、順番を待っていました。診療所について話を聞かせてもらうと、
    「何か月か前まで、ここの診療所にも少しは薬があったのに。今はほとんど何もない」
    「受付カードを受け取って待っている間に、他の患者から『今日は薬がないよ』と言われて、診察も受けずに家に帰ったこともあった」
    「ここで紙(処方箋)だけもらったって、薬局の薬は高くてとても買えない」
    「グンボ地域には他にも診療所はあるが、そこは医薬品が有料。あとは、川を渡ってジュバ市内に行けば公立診療所があって無償で薬がもらえるかも知れないが、バス代がかかるし、行くのは無理」

    薬局で薬を買えば、何百ポンド(南スーダンポンド)もかかります。薬によっては千ポンド以上にもなります。日雇いの仕事で150ポンド程度しか稼げない状況の中で、手が出ない値段です。

    レモ医師から、診療所で必要な医薬品のリストを受け取りました。それをもとに、ジュバ市内の医薬品卸売店3か所で見積もりを取ることにしました。

    診療所で治療を待つ人びと診療所で治療を待つ人びと

    自衛隊が撤収してから報道される機会がぐっと少なくなった南スーダンですが、支援が必要である状況は、依然として解決していません。
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    加入者名:JVC東京事務所
    ※通信欄に「南スーダン」とご記入ください。
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    ※募金先指定で「南スーダン」を選択できます。
    ※ご利用可能なカードは、VISA/Masterのみとなっております。
    ※寄付金の20%は管理費に充てさせていただきます。

次回のレポートでは、マンガテン避難民キャンプ①への訪問の様子をお伝えします。

南スーダン、その後どうなっているの?

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年11月14日 更新

「自衛隊が撤収してから、日本では南スーダンの報道が全然なくなっちゃいましたよね。現地で紛争が解決したわけじゃないと思うんですが・・いったいどうなってるんですか?」

日本で、そう尋ねられることがあります。

テントの中には家財道具もほとんどない。「昨年7月に襲われて略奪された」というテントの中には家財道具もほとんどない。「昨年7月に襲われて略奪された」という

結局のところ南スーダンの人道危機は、自衛隊派遣という政治問題がなければ、日本ではニュースにもならないようです。しかし、現地の深刻な状況は何ら変わっていません。
自衛隊が撤退した後、南スーダンには他の国から国連平和維持活動(PKO)への増派部隊が送られています。PKO部隊が警備にあたる国内避難民保護施設では様々な暴力事件も起きており、部隊はますます危険で難しい任務に直面しています。
「自衛隊が残ればよかった」というのではありません。撤退すべきでした。しかし日本政府は、撤退を決めた際に「国際社会と手を携えて、南スーダンの平和と発展のためにできる限りの貢献をする」(3月、安倍首相記者会見)と言っていたのです。それがどうなったのでしょう?国際社会は、アフリカ連合を中心に、南スーダンの紛争解決に向けた働きかけを続けています。日本は「手を携えて」いるのか?
日本政府の動きからは、南スーダンへの関心は失われたように見えます。その一方で、憲法改正による自衛隊の「合憲化」を目指す動きなどを見ていると、南スーダンに自衛隊を派遣していたのも、「やっぱり、そういう道筋をつけるためだったのか」と思えてしまいます。

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【2017年3月ジュバ訪問】
いよいよ食料配布、マンガテン避難民キャンプ 2017年3月ジュバ訪問④

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年6月29日 更新
前回から続く)

マンガテン避難民キャンプで食料支援を行うことが決まりました。しかし、私に残された滞在期間は、あとわずかしかありません。
とにかく、トウモロコシの調達を行って、配布は現地の仲間に任せよう。
そう決めると、早速ジュバの市場を回って調達を始めました。今回は製粉後の「トウモロコシ粉」ではなく、粒だけを袋詰めにしたものです。品質が良く新鮮であるだけでなく、数量が確保できなくてはなりません。配布するのは、合計13トン、50キロ入りの大袋で260袋です。何か所かの市場を回って、やっと見つけ出しました。

3月31日、市場にトラックをつけて朝から積み込みを開始。

「おいおい、ケンカだ、ケンカだぞ」

トラックから積み下ろしたトウモロコシの袋トラックから積み下ろしたトウモロコシの袋

そんな声が聞こえて、何かと思うと既に野次馬が集まっています。
「あれ?ケンカしているの、JVCの積み込みをしている作業員たちじゃないか?」
どうやら、そのようです。
「おいおい、いったい何が原因なんだ?」
市場には荷役を請け負う作業員のグループがいくつかあります。ひとつのグループが私たちの積み込み作業を始めたのですが、そこに別のグループが割り込んできて仕事を取りあっているのです。互いに「ここはオレたちの縄張りだ」を主張してゆずりません。
止めるのも難しいのでしばらく傍観していると、何のことはない、話し合いで決着がつきました。お互いに何人かの作業員を出し合って共同で作業をする、報酬は互いに分け合う、それだけのことです。ただし、双方から参加することで作業員の数が少し増え、私たちが支払う労賃が少しだけ上がりました。彼らにとっては、賢明な判断です。南スーダンの政治家も見習うべきでしょう。

積み込みが終わったトラックはジュバ大学の前を通って市内を横切り、中心部のセント・ジョセフ教会の敷地内にある協力団体(現地NGO)、カリタスの事務所に到着しました。積み荷を倉庫に下ろし、カリタスのスタッフに引き渡して私の業務は終了です。その2日後、私はジュバを後にしました。

二人がかりでも50キロは重い二人がかりでも50キロは重い

カリタスのスタッフが避難民キャンプのリーダーたちと調整した結果、配布は4月10日に行うことになりました。JVCからは現地スタッフのクリスティン、そして南スーダン政府の救援復興委員会の担当者が立ち合って、配布が行われます。

マンガテン避難民キャンプについて、事前には「民族間の争いがあり、支援活動は難しい」との情報がありました。確かに、自治会のリーダーであるガブリエルさんは「ここにはディンカ人、ヌエル人、シルック人が生活している」と説明してくれました。これらの民族グループは、今の内戦の中で敵対しあっている、というのが一般の解釈です。

しかし、食料の配布は何のもめ事もなく、きわめてスムースに行われました。

受け取ったトウモロコシを自分たちのテントへ受け取ったトウモロコシを自分たちのテントへ

キャンプは奥まった場所の「キャンプ1」、幹線道路に近い「キャンプ2」に分かれており、「キャンプ1」はヌエル人が中心、「キャンプ2」はディンカ人を中心に他の民族グループが混ざっています。それぞれのキャンプに自治会があり、リーダーたちが名簿を手にして避難民女性をグループ分けし、グループ毎にトウモロコシを1袋ずつ受け取っていきます。それはとても整然と行われ、あっという間に配布は終了ました。

配布を見守っていた女性リーダーが、JVCスタッフのクリスティンのところにやってきました。

キャンプリーダー(右)の話を撮影するJVCスタッフのクリスティン(左)キャンプリーダー(右)の話を撮影するJVCスタッフのクリスティン(左)

「いま、この時期に食料の支援があって本当に助かりました。子どもたちに食べさせるものも何もなかったんです」
キャンプには、推定で約1,500世帯が暮らしています。13トンのトウモロコシとはいえ、1世帯あたりでは10キロにもなりません。実は私たちは、配布の当日に「こんなにわずかな量でどうする?」という不満が噴出するのではないかと警戒していました。しかし、当日、そんな心配は吹き飛びました。みな晴れやかに、そして安堵を浮かべた表情で食料を受け取っていきました。長らく支援が止まっていたのは、本当のことなのでしょう。

食料を受け取った女性にカメラを向けていると、みなが集まってきて、掛け声に合わせて一斉に歌い始めました。
それは、彼女たち自身の言語で歌われています。カリタスのスタッフにも、JVCのクリスティンにも、意味が分かりません。
「すみません、今の歌、どういう意味ですか?」
質問すると、リーダーの男性が
「村で歌われる感謝の歌だよ。ありがとう、今日の食料に本当にありがとうってね」
故郷から遠く離れた場所にいても、喜怒哀楽の表現に、故郷の歌にまさるものはないようです。

カメラを前にして、みんな歌い始めたカメラを前にして、みんな歌い始めた

【2017年3月ジュバ訪問】
「食料がない」マンガテン避難民キャンプ
2017年3月ジュバ訪問③

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年6月 8日 更新
前回から続く)

3月29日、ジュバ郊外のマンガテン避難民キャンプを再訪しました。

今回は、行政の「キャンプ訪問調査許可証」を取得し、南スーダン政府の救援復興委員会から2名の担当官が同行しています。私たちの協力団体であるカリタス・ジュバ教区事務所のスタッフも一緒です。

キャンプ内を歩くキャンプ内を歩く

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南スーダンから自衛隊が撤収。
「ところで、JVCさんは、これからどうされるのですか?」

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年5月30日 更新

5月27日、南スーダンに派遣されていた自衛隊の撤収が完了しました。日本に戻ってこられた隊員の皆さんの様子をテレビや新聞でご覧になった方も多いと思います。

「ところで、JVCさんは、これからどうされるのですか?」

最近、そんな質問を受けました。

日本政府は「(南スーダン)国内の安定に向けた政治プロセスに進展が見られる」ことを自衛隊撤収の理由のひとつに挙げました。
しかし現実には、南スーダンの危機はむしろ深まっています。政府軍(大統領派)と反政府勢力との戦闘が続き、住民への殺戮やレイプなどの暴力は止まりません。国内避難民と難民の数は増え続け、400万人に達しようとしています。
食料も足りません。国民の半数以上が食料難、そのうち10万人は生命の危機にさらされる「飢饉」の状態にあると国連は警告を発しています。南スーダンの各地で、国連による食料の空中投下が続いています。
3月に私が訪れたジュバのマンガテン国内避難民キャンプ。自衛隊の宿営地(当時)の近くにあるこのキャンプでも、約7千人の避難民が食料不足に直面していました。集めた野草で飢えをしのぐ母親たち。「食べ物も、水汲みのポリタンクも寝床にするマットも、何もかもない」生活用品の多くは、昨年7月の戦闘時に略奪されたままです。子どもたちは学校にも通わず、市場で廃品を回収してはわずかな現金を得ていました。 すぐに食料支援を実施しましたが、7千人に対して10日分のトウモロコシを配布するのが私たちの資金では精一杯でした。

マンガテン国内避難民キャンプの子どもたちとマンガテン国内避難民キャンプの子どもたちと
キャンプでの食料配布キャンプでの食料配布

JVCは、これからも活動を続けます。

避難民の生活を支えるとともに、将来を担う子どもたちが学校に復帰できるよう、現地の人々と協力して取り組んでいきます。6月下旬には、私がジュバに入ります。現在、南スーダンでは6,000円で1家族の食料1ヶ月分、5,000円で1家族の最低限の生活用品(調理器具、寝具、マラリア予防のための蚊帳、石鹸など)が提供できます。現地では治安悪化による物流の制限などによって(日本円に換算した)物価が上昇しています。必要な支援を届けるためには、皆さまのご協力が欠かせません。

引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。
https://www.ngo-jvc.com/jp/projects/sudan/2016emergency.html

【2017年3月ジュバ訪問】
ジュバ郊外、避難民キャンプ訪問
2017年3月ジュバ訪問②

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年5月30日 更新

前回から続く)

ジュバの避難民キャンプといえば、日本の自衛隊も建設に従事した国連の避難民保護施設(約4万人を保護)がよく知られていますが、それ以外にも規模の小さなキャンプがいくつかあります。
昨年の9月に私たちが支援したのはそれらのひとつ、ナイル川の対岸にあるグンボ地区のキャンプでした。昨年7月の戦闘の際に避難してきた280世帯が生活していました。

マンガテン避難民キャンプの入口付近。中央遠景に見えているビルは自衛隊の宿営地に隣接し、報道によれば、昨年7月の戦闘時には副大統領派が立てこもって宿営地越しに政府軍と銃撃戦を繰り広げたマンガテン避難民キャンプの入口付近。中央遠景に見えているビルは自衛隊の宿営地に隣接し、報道によれば、昨年7月の戦闘時には副大統領派が立てこもって宿営地越しに政府軍と銃撃戦を繰り広げた

「しかし、それ以前からあるキャンプも、現状は同じか、もっと厳しいかも知れません」
そう話すのは、私たちの現地協力団体であるカリタス・ジュバ教区事務所のネイマットさん。彼女が例に挙げたのは、ジュバの北郊にある、マンガテン(現地の言葉で「二本のマンゴーの木」の意)と呼ばれる地区のキャンプです。
「2015年に設立されたキャンプですが、この半年くらいは何の支援も入っていないと思います」
「どうしてなんでしょう?」
「手が回らない、それに尽きると思います。今の南スーダンは、あちこちで新たな避難民や飢饉が発生していますから・・次から次に起きる危機への対応に追われて、以前からあるキャンプが、どうして置き去りにされてしまうのです」

もっとも、国連やNGOがマンガテンで活動しない理由は他にもあるのかも知れません。
あるNGO関係者は「あそこは、キャンプの住民の中で争いがあり、活動をしていくのが難しい。どこの団体も敬遠している」と話していました。
「キャンプの中の争い」とは、今の南スーダンの内戦状況を反映したものです。マンガテンは、元々、元副大統領の出身民族であるヌエル人たちが多く住んでいる地区です。なので、2013年12月の内戦勃発時には、ディンカ人(大統領の出身民族)を中心とする政府軍や民兵、武装集団の襲撃を受け、激しい戦闘が行われました。戦闘が収束したあと、マンガテンには各地で家を失ったヌエル人、ディンカ人、またその他の民族が避難民として流入、2015年にはキャンプが設立されました。つまり避難民キャンプには「敵対関係」にある民族グループが同居しおり、そこにある(はずの)緊張関係から、「あのキャンプには関わりたくない」という心情になるのでしょう。
しかし、カリタスのスタッフの話では、最近のマンガテンで具体的な「抗争」や「事件」が起きているわけではありません。異なる民族グループから構成される自治会のようなものがあり、キャンプの取りまとめ役となっています。マンガテンを敬遠するのは、「民族対立」のイメージに引きずられている部分があるのかも知れません。

さっそく、カリタスのスタッフと一緒にマンガテン避難民キャンプを訪問しました。
市街地を抜け、自衛隊の宿営地を右手に見ながら少し先を左に折れるとキャンプです。空港の滑走路に近いため、着陸直前の飛行機が頭の上をかすめていきます。小雨が降り出しました。ジュバは乾季から雨季への移り変わりの時期に入っています。

キャンプのゲートから中に入ってクルマを止め、カリタスのスタッフが自治会のリーダーを呼びにいきました。
「どうも、リーダーは留守のようだ」
リーダーの許可を得ない限り、私たちはキャンプの中を歩くこともできません。
私たちの姿を見て、キャンプの女性のリーダーが近づいてきました。
アンジェリーナさん。長身で、肩から膝下まで青い布をまとっています。
「あいにく今日はリーダーがいません。リーダーの許可がなくては私も外部の人と話をすることはできません」

私たちは日を改めて再訪することにしました。
「行政の許可を取って、救援復興委員会(南スーダン政府の人道支援担当部局)にも同行してもらった方がいいな」
カリタスのスタッフも、手順を踏んで出直すべきと考えたようです。

クルマを市内に向けると、雨足がだんだん強くなってきました。