\n"; ?> JVC - 「食料がない」マンガテン避難民キャンプ2017年3月ジュバ訪問③ - 南スーダン日記

「食料がない」マンガテン避難民キャンプ
2017年3月ジュバ訪問③

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年6月 8日 æ›´æ–°
前回から続く)

3月29日、ジュバ郊外のマンガテン避難民キャンプを再訪しました。

今回は、行政の「キャンプ訪問調査許可証」を取得し、南スーダン政府の救援復興委員会から2名の担当官が同行しています。私たちの協力団体であるカリタス・ジュバ教区事務所のスタッフも一緒です。

キャンプ内を歩くキャンプ内を歩く

キャンプに入ると、トタン造りの小学校があります。中では英語や算数の授業が行われていました。
「避難民キャンプの小学校ですね」
「いえ、違います。通っているのは近隣住民の子どもたちです」
 救援復興委員会の担当官が説明してくれました。
「えっ、どうして?キャンプの中にあるのに」
「避難民も通うことはできるのです。でも、学費を払って学用品を買える避難民はいません」

小学校の脇に小さな診療所があり、その中のひと部屋で会合が持たれました。
キャンプ自治会のリーダー、ガブリエルさんからキャンプの概要について説明がありました。2013年12月の内戦勃発以降、ユニティ州、アッパーナイル州、ジョングレイ州などからこの地域に避難民が流れ込んだため、2015年に政府が土地を確保し、テントを張ってキャンプを開設しました。
「国連や、たくさんのNGOが調査をするといってこのキャンプにやってきた。だけれども、誰ひとり、戻ってきて支援はしてくれない」
ガブリエルさんの口調が、少し激しくなりました。
「支援があったのは、2か月前にモロッコ王からほんのわずかの食料をもらっただけだ」
2か月前にジュバを訪問したモロッコ王はあちこちで支援を行ったのですが、ここでも多少の食料を提供したようです。
カリタスからの情報でも、モロッコ王を除けば、この半年ほどは支援が途絶えているようです。

キャンプでの困難な生活を口々に話す女性たち。右橋はアンジェリーナさんキャンプでの困難な生活を口々に話す女性たち。右橋はアンジェリーナさん

ガブリエルさんのほかに、5名の避難民女性が集まってくれました。前回の訪問で会ったアンジェリーナさんもいます。
私たちが質問するよりも先に、アンジェリーナさんが話し始めました。

「この前に会った時には、リーダーがいなかったから何も話すことができなかったけれど、今日は話をさせてください」
そう切り出すと、
「とにかく、食べる物がありません」
と訴えてきました。
「これまでは、あちこちに出掛けて食べ物を分けてもらっていたけれど、もう誰もくれなくなりました。遠くまで薪拾いに行っても、地元の人に見つかって暴力を振るわれることもあります」
ほかの女性たちも、次々に同調しました。
「子どもたちは学校にも行かず、廃品やペットボトルを集めて市場で売って家計の足しにしているわ。市場では残飯を探したり、まるでストリートチルドレンよ」
「それに、『よそ者』の子どもだからといって、地元の子から殴られたりしている」
「毛布もマットも鍋も、何もない。去年7月の戦闘でここから逃げて、戻ってきたらテントの中は空っぽ。みんな盗られてしまった。これから雨季だっていうのに、蚊帳もない」
最後に、アンジェリーナさんが言いました。
「戦争を終わらせて欲しい。それだけです。早く、自分たちの故郷に戻りたい」

テントの中。家財道具はわずかな食器類と水汲み用のポリタンクだけテントの中。家財道具はわずかな食器類と水汲み用のポリタンクだけ

診療所の建物を出て、次はアンジェリーナさんの案内で、テントの部屋を見せてもらいました。中に入ると、8畳間くらいの広さです。
「何人が住んでいるのですか」
「6人です」
衣装ケースがないので、天井いっぱいに子どもや大人の服が重なりあってロープに吊るされています。6人にしては多すぎる衣類です。
「本当に、ここに住んでいるのは6人だけですか?」
「6人の母親です」
「えっ?・・・ということは、その子どもたちも全員?」
8畳ほどのスペースで生活していたのは、母親と子どもたち合計6世帯でした。父親は?と尋ねると、みな苦笑しながら「兵士だから、ここにはいない」「避難してきた時に離ればなれになった」と言っています。
6家族が住んでいるのに、寝具は擦りきれたマット1枚と毛布が2枚あるだけです。食料らしきものは見当たりません。「昨日は何を食べましたか?」と尋ねると「何も食べていない」

竹や木の切れ端は大切な収入源。燃料としても使われる竹や木の切れ端は大切な収入源。燃料としても使われる

テントの外に出ると、木や竹の切れ端を集めた束が積んであります。町じゅうを歩きまわり、壊れた垣根の竹材や木材、なんでもいいから落ちているものを拾ってきて、市場で売るのだそうです。1束が10南スーダンポンド。しかし主食のトウモロコシの粉は、カップ1杯で150南スーダンポンドもするのです。
ある母親が、集めてきた野草の葉を鍋で調理していました。「これを採ってくるのに、3時間歩かなくてはならない」

訪問を終えて、私たちは協力団体のカリタスと話し合いました。
「食料支援は必要だ」
「でも、キャンプには約7,000人もの避難民がいる。予算が圧倒的に足りない」
そもそも、これだけの規模の避難民を支援することは、私が日本を出発する時には想定していませんでした。

3時間歩いて集めてきたという野草の葉。このあと鍋で調理する3時間歩いて集めてきたという野草の葉。このあと鍋で調理する

「そうだ、トウモロコシの粉を配布するのではなく、製粉する前の粒そのものを配布しよう。価格は相当安いはずだ」

もちろん、それは最善の選択ではありません。通常、調理には製粉されたトウモロコシを使うからです。
「いや、粒のままで茹でて食べることもできる。この状況であれば、粒の状態で少しでも多くの量を配布したほうがよい」
結論は出ました。私たちは早速、調達の準備に入りました。

キャンプ人口の半分以上は子どもたち(左は協力団体カリタスのスタッフ)キャンプ人口の半分以上は子どもたち(左は協力団体カリタスのスタッフ)

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