
主な活動内容
カンボジアの次の世代を担う人材育成をめざし、JVCは1985年から自動車技術の訓練を行っています。現在、約200名の学生が自動車の整備・修理技術を学んでいます。2000年よりJVCから運営費の支援を受けずに、教師、技師、職員など約40名が付設の整備工場の収入によって無料教育を続けています。JVCは、家庭の経済状態が厳しい学生への生活費の支援や学校運営上の相談に乗っています。
目的 |
農村部の青年に学ぶ機会を提供すると同時に、人びとの安全を守ることのできる技術者を養成すること。 |
期間 |
1985年から継続中 |
活動分野 |
職業訓練 |
地域・対象 |
・地域:プノンペン特別市
・対象:技術学校の学生(年間約200名)、教員、メカニック、職員等(約40名) |
関連団体 |
労働職業訓練省 |
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活動の詳細
活動1: 農村からの意欲ある若者を受け入れ
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■ 入寮日の学生。初めて親元を離れて暮らすが、期待に胸を膨らませている。 |
JVC技術学校では、年間100名の学生を受け入れています。入学後、機械や電気回路など複雑な仕組みを理解する必要があることから、入学資格は中学校卒業以上としていますが、毎年、定員の3〜5倍程度の応募があります。そこで、入学試験を実施し学生を選抜しています。また、入学試験の成績上位50名は奨学生として授業料が免除になる制度を設けています。
都市部では大学などに進学し、語学や会計学などを学ぶことを希望する学生が多い一方で、農村部では自動車整備技術を学びたいという若者が多くいます。しかしながら、経済的な理由で教育を受けることができない場合が多いのが現状です。そこでJVCでは、これらの学生のために寮を完備し、経済的に厳しい学生も安心して学ぶことができる環境を整えています。
活動2: 人びとの安全を守る質の高い技術者を養成
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■ 実習の様子。小グループに分かれて、教員が丁寧に指導する。 |
JVC技術学校では、2年間の研修で日本の自動車整備士3級と同じレベルの人材を育成しています。研修の特徴は、講義と実習がほぼ同じ割合で行われていることで、他の職業訓練校に比べると実習を重視している点です。また、併設している工場で、実際の修理技術をベテランのメカニックから直接学ぶことができます。こうした研修の結果、即戦力として期待できる人材を輩出しており、ほとんどの学生が卒業前に就職が内定しています。
活動3: 併設する修理工場の収入で無料教育を
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■ エンジン、車体、電装、板金、塗装となんでもこなす。 |
JVC技術学校のもう一つの特徴は、併設の付属工場の収入によって学校の運営費や奨学制度をまかなっていることです。付属工場のメカニックの多くは技術学校の卒業生で、バイクから大型車まであらゆる種類の車両の整備を行うことができます。他の職業訓練学校では、支援団体が撤退すると運営が継続できないケースが多々見られますが、JVC技術学校は、2000年以降、整備工場の収入によって自立採算を達成しています。
現在の活動状況
2009年度報告
2009年7月に公共事業運輸省から労働職業訓練省に監督官庁が移管し、正式な職業訓練学校として認可を受けることができました。また、7月には約50名の学生が技術学校を卒業し、そのうち約9割が無事に就職を果たし、残りの学生は大学などに進学しました。主な就職先は、自動車整備工場のほか、建設会社、電気会社、携帯電話会社など機械を取り扱う企業で、機械整備士としての第一歩を踏み出しました。また、10月には新たに100名の学生が入学し、1年生、2年生あわせて約200名が技術学校で学んでいます。
2010年度計画
今年度も引き続き、質の高い職業訓練を継続して行います。また、プノンペン市郊外に移転した後、収益が落ちていた付属工場も、徐々に経営改善の兆しが見えてきました。今後は、付属工場でのお客様へのサービスを改善するなどして経営の改善を軌道に乗せ、より多くの学生に無料教育を提供できるように努力していく計画です。また、すでに自動車やバイクの修理工場で働いているという人から、夜間に技術訓練を受けたいという要望も多く、夜間にも講座を開講できないかどうか検討しています。現在のところ、指導者の確保が難しく実現に至っていませんが、開講に向けての準備を進めていきたいと思います。
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