
イラク事業担当: 佐藤真紀 2004/7/20〜8/22 於:ちひろ美術館(東京)
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2004年7月24日、東京、下井草の閑静な住宅街にあるちひろ美術館で「イラクの子どもたち展」が開かれているのでたずねてみた。「戦場に行かなくても戦火のなかで子どもたちがどうしているのか、どうなってしまうのかよくわかるんです。子どもたちは、そのあどけない瞳や、唇やそのこころまでが、世界中みんなおんなじだからです」いわさきちひろが1973年に残した言葉だ。
研ぎ澄まされた想像力が、戦争をとめる大きな力になるのかもしれない。「戦争を支持するのは、これからも日本が国際社会でうまく立ち回るためにはしかたがないことだ」とか「大量破壊兵器をイラクからなくすためにはサダム政権を倒せばいい。そのためには戦争は必要。」なんていう考えは、殺されていく子どもたちのことを想像できないから出てくるのであろう。
いわさきちひろが描く子どもたちの肖像はやさしさに満ちている。水彩絵の具のにじみを見ていると、心に色がしみこんでいくのだ。
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■ちひろ美術館でのイラクの子どもたちの 絵の展示と「戦火のなかの子どもたち」 |
イラクの子どもたちの絵は二階の図書室に展示してあった。平和を考えるというコーナーにあった「戦火のなかの子どもたち」という絵本をめくってみた。いわさきちひろが1973年に書いたベトナム戦争をテーマにしたものだ。モノクロームな絵本なのだがシクラメンの花だけが真っ赤に塗られている。花びらには子どもたちの顔が透けて見える。
赤いシクラメンの
その透き通った花びらの中から
死んでいったそのこたちの瞳がささやく...
イラクのムスタファくん 8歳が描いた「ブランコのある風景」と重なる。彼は、空爆で足に大怪我をして、一時は切断を考えた。しかし10回以上の手術でなんとか歩けるようになりそうだという。ブランコも草木もにじんでユーフラテス川に溶け込んでいる。ちひろのタッチに近いものを感じる絵だ。彼は苦しみや憎しみを絵の中に持ち込むのはしなかった。絵を描くことが癒しになっていた。
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■エクトル・シエラさんはJVCの企画展「終わら ない戦争イラク子ども絵画展」の会場に来てくれ ました。お互いの著書を交換しているところ。 |
苦しんでいる子どもはムスタファクンだけではないのだ。シクラメンの花びらに投影された子どもたちのまなざしがイラクの子どもとかさなる。もし、ちひろが生きていたら、イラク戦争にどう向き合ったのだろうか。イラクの子どもたちをどう表現しただろう。
2004年8月22日まで開催。期間中、2004年7月31日(土曜日)には「国境なきアーティストたち」を主催するエクトル・シエラさんの子ども向けのワークショップあり。ちひろ美術館までお問い合わせください。
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