こんにちは。広報インターンの渡辺です。
インタビューブログはこれで9回目!今回は2008年から3年半のラオス駐在を経て帰国、東京事務所でのラオス担当を3年間つとめ、この11月から再びラオス駐在となった平野将人さんです。現地赴任直前に行ったインタビューの様子をお届けします。
民間企業からの転身と聞きましたが、どうして民間企業から、NGOに行くことにしたのですか?
大学では国際協力に特に興味を持つことはなく、卒業後は大手ビール会社に入社しました。大学時代、海外に関わることと言えば、交換留学制度を利用してアメリカに留学したくらい。「就職にはまだ早いかな?」という安易な理由でした(笑)。ビール会社では5年間、営業として働きました。入社後、2001年に9・11があったことで、どうしてあのようなことが起きるのか、起きてしまう理由について考えるようになりました。それまでは特段興味を持っていなかった国際情勢を色々勉強し調べる中で、南北問題や貧富の差についての興味が生まれました。それが理由で、勤めていた企業を退職し、NGO業界に関わることにしました。ビールの営業も楽しかったし、今でも自分が勤めていた企業のことは大好きですが、それ以上に、開発援助に興味を持ちました。
退職後、カンボジアに滞在されたと聞きました。
JVCではない、別のNGO2団体で計2年間を過ごしました。
カンボジアの後、イギリスの大学院に進学されたそうですね。あえてまた学問の道に戻った理由は?
開発学を勉強したかったからです。僕は9.11をきっかけにして南北問題に興味を持っていました。これに関連する学問が開発学でした。実は大学院に進学することは、カンボジアに行くより先に決めていたんです。大学院に行く前に、途上国と呼ばれる地域で暮らして、自分の目で見てから進学したかった。だからカンボジアに行きました。開発学を勉強したいという気持ちがあり、進学を決めたうえで、先に途上国での生活を経験したということです。
カンボジア滞在中にはカンボジア事業担当の山崎さんの結婚式の付き添い人をされたそうですね。お2人は当時から仲が良いんですね。
そうですね。当時、カンボジアにいる日本人のNGO関係者は今よりもだいぶ少なかったんです。僕たちは2人とも酒好きで年齢も近く、ウマがあったというのがありました。彼は僕よりも早く国際協力の仕事に就いていたので、色々教えてもらいました。今も変わらず教わっています。山崎さんが現地の女性と結婚することになり、その結婚式の付き添い人をすることになった時は、日本の結婚式とは違う雰囲気に、こういう結婚式があるのだなと新鮮な気持ちを持ったことを覚えていますね。
ラオスを担当して7年目。ラオスに長く関わるのには理由があるんですか?
正直、必要であれば場所はどこでも、という気持ちはあります。でも僕はラオスの言葉(ラオ語)も覚えたし、やはりラオスに愛着があるんですかね。ラオスの広大な森、自然が豊かで人口密度が低く、だから殺伐としない、そののんびりした穏やかな雰囲気が好きですね。人柄の穏やかさを感じることも多いです。ただ、つきつめて考えると、好きとか嫌いとかそういうものは超越している部分はあるかもしれません。誰でも、外国で生活をすれば、一度はその国が嫌になる時期があると思います。僕の経験ではみんなそう。僕もラオスが苦手になった時期がありました。理由は必ずしもラオスのせいというわけでもなく、自身の能力不足や、色々な原因があると思います。でもラオスと僕は、言ってみればくされ縁というか。なんだかんだ言っても、なんらかの縁があるから、関わり続けるのでしょうか。
ところで、趣味は釣りとボクシングと聞きました。釣りは、釣れなくて辛いというイメージがありますが。
私の場合船釣りなので、船頭が魚のいるところに連れていってくれますよ。だからうまくやれば必ず釣れる。でも、結局のところ魚は見えない。ここに魚がいるかな?もっとこうすれば釣れるかな?と工夫をしてみて、それが当たれば嬉しいし、工夫のしがいがある。
ボクシングはね、あと何カロリー消費しよう、でなく、教わったパンチをうまく打てるようこうかな、ああかな、と試行錯誤しているうちに充分疲れているのが楽しいですね。
平野さんは「試行錯誤」が好きなんですね。仕事に通ずるところもあるのでしょうか?
どうでしょうね?例えば釣りの師匠たちと比べたら僕なんか凝り性ではありません。でも、仮説を立ててそれを検証する作業は嫌いではありません。たとえば今僕がやっている、ラオス事業のための書き損じはがき収集ですが、ここ数年でだいぶ収集数を増やしました。どうすれば沢山の方にご協力いただけて、数を集めることができるのか、仮説と検証の繰り返しですが、考えるのが楽しいですね。(ラオスボランティアチームHP)
へこたれずに動じず、楽しめるのがうらやましいです。
たまたまへこたれなかったことが今残っているだけですよ。それに、僕も渡辺さんくらいの時は動じてばかりでした。今でも動じることも沢山あります。少しずつ、経験を積んで判断できるようになっただけです。例えばボクシングも、戦う相手は人ではなく先週の自分だけです。でもそういう「できることをできる範囲の全力で」という気持ちを持てるまで時間がかかりました。自分自身に対する沢山の落胆の上にあるものでもあります。それでも、経験を積むために若いうちに色々なことに挑戦してみるのがいいと思います。自分でもビックリするくらい月並みなことを言いますが。
最後に、座右の銘とその理由を教えてください。
- 花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが人生だ
- すべての道がローマに通ずなら、ドン・キホーテよ、でたらめに行け!
共通するのは、あまり物事や人に固執しないことです。人は出会って別れるもので、それでまったくかまわないと思っています。でもその人とはもう二度と会わないわけではない、何十年後かにまた会ったら、その縁を大切にしたらいい。つながりを求めすぎると、苦しくなる。根がさみしがり屋だから辿り着いた結論かも知れませんが、こう考えたら人生は最低限安定します。
【感想】
多くの人に慕われている平野さん、ひそかにファンも多いです。平野さんの何があっても動じない強さ、優しさは、数々の試行錯誤の上で生まれたのだとわかったことが大きな発見でした。難しい課題に常に向かっていくNGOでは、いかに根気よく試行錯誤を重ねられるかが求められるのかもしれません。一時帰国時にお会いできるのを楽しみにしています!(渡辺)
【次回予告!】
次回は、平野さんが一言で表すと「大人」だと言っていた、この方のインタビューです(似顔絵にご注目!)
■平野が担当するラオス事業詳細、ご支援はこちらから
スタッフインタビュー2015 の記事一覧
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2015年10月15日 更新 | 第1回:代表理事 谷山博史 |
2015年11月12日 更新 | 第2回:事務局長 長谷部貴俊 |
2015年11月18日 更新 | 第3回:事務局次長 細野純也 |
2015年11月26日 更新 | 第4回:カンボジア事業担当 山崎勝 |
2015年12月 3日 更新 | 第5回:経理担当・イラク事業担当 池田未樹 |
2015年12月11日 更新 | 第6回:コンサート事務局 石川朋子 |
2015年12月24日 更新 | 第7回:アフガニスタン事業統括 小野山亮 |
2016年2月 3日 更新 | 第8回:広報担当 大村真理子 |
2016年2月15日 更新 | 第9回:ラオス事業担当 平野将人 |
2016年2月16日 更新 | 第10回:スーダン事業担当 小林麗子 |
2016年2月25日 更新 | 第11回:会員・支援者担当 宮西有紀 |
2016年3月14日 更新 | 第12回:カレンダー事務局 橋本貴彦 |
2016年3月15日 更新 | 第13回:パレスチナ事業担当 並木麻衣 |
2016年3月23日 更新 | 第14回:コリア事業担当 寺西澄子 |
2016年4月 8日 更新 | 第15回:アフガニスタン事業担当 加藤真希 |
2016年4月28日 更新 | 第16回:気仙沼事業担当 横山和夫 |
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2016年6月16日 更新 | 第18回:南アフリカ事業担当 渡辺直子 |
2016年7月21日 更新 | 第19回:経理担当 中原和江 |
2016年7月25日 更新 | 最終回:2015年度広報インターン 清水春香/渡邊由香 |
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2017年3月23日 更新 | スタッフインタビュー2016 第1回: パレスチナ現地調整員 山村順子 |
2017年4月20日 更新 | スタッフインタビュー2016 第2回: 人道支援/平和構築グループマネージャー 今井高樹 |
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2018年10月25日 更新 | スタッフインタビュー2018 第1回: ラオス現地調整員 山室良平 |
2018年12月25日 更新 | スタッフインタビュー2018 第2回: スーダン現地調整員 山本恭之 |
2019年4月17日 更新 | スタッフインタビュー2018 第3回: 収益事業担当 伊藤 圭 |
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2020年10月21日 更新 | 2020スタッフインタビュー第2回: 経理・労務担当 稲見由美子 |
2020年10月12日 更新 | 2020スタッフインタビュー第1回: パレスチナ事業担当 大澤みずほ |
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2021年3月23日 更新 | 2020スタッフインタビュー第4回: 広報/FRグループ担当 木村 茂 |
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