\n"; ?> JVC - 2020スタッフインタビュー第5回:海外事業担当 ガムラ・リファイ  - 東京事務所スタッフ日記

2020スタッフインタビュー第5回:
海外事業担当 ガムラ・リファイ 

2020年度広報インターン 金岡 一和
2021年3月15日 更新

みなさんこんにちは!国際協力NGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)」2020年度広報インターンの金岡です。

過去のスタッフインタビューは東京事務所スタッフ日記の過去記事からご覧いただけますので、こちらもぜひご覧ください!

2020年度インターンによるインタビュー記事の第5回目は、海外事業を担当しているガムラ・リファイさんです!

ガムラさんはシリア出身で、2011年に日本に来ました。シリアから見た日本。また、紛争地となった故郷への思いなどを語ります。
ぜひ、最後までご覧ください!

まずはじめに...自己紹介をお願いします!

ガムラ・リファイです。現在子どもが一人います。

シリアのホムス出身で、2011年から2021年まで日本に住んでいて、今はパナマに住んでいます。

2018年にJVCのスタッフとして入り、イラク事業を担当し2019年8月に育休を取りました。2020年8月に仕事復帰して、アフガン事業担当していました。2021年1月に退社して、業務委託の形としてアフガン事業に関わっています。

インタビューが始まりました!.pngインタビューが始まりました!

趣味はなんですか!?

料理が好きです、食べるのも作るのも人に食べてもらうのも好きですね。他には、水泳も好きです。リラックスするためにたまに絵を描くこともあります。

得意料理は特に無いのですが、なんでも作るのが好きなので、新しい料理を作るときが楽しいと感じます。よく周りの人がおいしいって言ってくれます(笑)

私の家庭では人に料理をふるまうことは愛情表現の一種だったので、それを受け継いでいるのかもしれません。

シリアのホムスの時どんな子どもだったのですか?

暴れていて、母に叱られていた記憶しか残っていないです(笑)

家から遊びに行って帰らないとか、迷子になってしまうとか。後のことより、今の瞬間を楽しむタイプでしたね。

将来の夢は、世界に出たいと思っていました。母がインド人で両親はブルガリアで勉強していたので、子どもの時から色んな文化に触れていました。そのためいつか世界に出てみたい!という気持ちがありました。

歴史や神様などが好きだったので、エジプトやギリシャとかメキシコに行きたかった記憶があります。どこも面白い文化や歴史があるところですよね。 残念ながら今言った全ての国に行けていないのですが、「これから絶対行く!!」と思っています。

2011年日本に来たそうですが、なぜ日本に決めたのですか?

日本を選んだのはたくさんの理由があります。

まず、私の周りの友人がみんなヨーロッパに行っていたので、周りと同じなのは面白くないなと思いました。

私の専攻で学んでいたことは技術系で、材料のことやエンジニア関係でした。当時技術がアジアの中で一番進んでいたのが日本だと感じ、日本に行ってみたいとずっと思っていたので、日本に行くことを決心しました。

また、日本の戦争後の復興がすごかったことも印象としてあります。シリアは資源がたくさんありますが、一方で日本は海や山ばかりでエネルギー資源が無い中で発展しました。シリアは資源があるのに発展していない。その違いが私は気になって、日本人が何をしていて何を考えているのかが気になり、それを学んでシリアに持ち帰ろうと思ったことも来日を決めた理由です。

大学院ではエンジニアを専攻していたのですね!...具体的にどういうことを勉強されていたのですか?

自然科学研究科という所で材料生産システムの研究をしていました。機能材料工学といって、材料に機能をつける考え方です。私は人間の髪の毛からたんぱく質を抽出して、医療に活かそうとする研究をしていました。アップサイクリングともいって、捨ててしまうものを再利用するというイメージでもいいかもしれません。

私は文系なのでさっぱり分かりません...(笑)ガムラさんは、大学院生時代に国際協力に興味はありましたか?

国際協力という言葉や何を行っているのかは知っていましたが、私が関わることではないと思っていました。私は理系だし、エンジニアだし、関われることがそこまでないかなって思っていたんです。

そこからどうJVCに入ることになったのですか!?

大学院生時代の時シリア紛争が起き、祖国のことを考え続けた結果気持ちが沈み、鬱の状態が続きました。

最初、自分の国を見捨てようとしたのですけど、できなかった。忘れられないほど思い出深い国だったので、私になにかできることは無いかと思い始めました。

2016年にJVCの前イラク事業担当の池田さんが大学にいらして、アラビア語の翻訳ができる人を探していたんです。そこで私が担当することになりました。その時、同じイラク事業のパートナー代表のアリさんという方がいました。アリさんは私と同じくエンジニア専攻だったのですが、彼が自分の国のために活動していたのをみて、私も自分の国のために何かしたいと思いました。

そして池田さんにそういった旨のお話をしたら、ちょうど池田さんが退職するときで、代わりにJVCに入ることになりました。

縁がありますね(笑)

正直JVCで働くか迷った期間はありました。しかし、翻訳を担当したワークショップの経験を経て、人の役に立てた実感がわき、心も楽になりました。

また、その時に今の旦那で彼が、「人の役に立っていると実感しているのならやってみれば!」と背中を押してくれて、JVCで働くことを決意しました。

話は変わりますが、私はシリア紛争のことを調べ、紛争は当事国内だけの問題ではないことに気づきました...。

シリアに帰りたくても、現在アサード政権が有る限りには帰りたくない、アサード政権を絶対に認めないから、帰りたくない、または帰れない人が大勢います。

そして、1つ言わせていただきたいのが、私たちは「普通の人間」として見られなくなってしまうということです。

それは、自国が紛争地になると、周りの人は私を「紛争国の人間」として接してきます。出身を聞かれシリア出身というと、「紛争が大変ですね」と、紛争地のとして扱われることになることが多いんです。

確かに私たちの世代は特にシリアは紛争地の印象が強いですね...

みなさんが私に共感や心配をしてくれているのはありがたいし理解はできるのですが、個人として私はそういわれると落ち込んでしまうんです。この人はかわいそう、苦しんでいるんだろうと思われることは、想像以上にしんどいです。

(金岡)前向きなことも話していくことが大切ですね!

イラク事業を担当されていたということですが、2019年にクラウドファンディングを行ったと聞きました!無事成功されましたが、今振り返ってみてどんな感想をお持ちですか?

個人的には複雑な時期でした。クラウドファンディングが始まる前に早産して、子どもが病院に3か月入院していた時期と重なったんです。私の子は何とか生きてくれました。

しかし、イラクやシリアだと、早産した子供たちは多分死んでしまうなと思いましたし、育っても紛争に巻き込まれ亡くなることや、病院の設備が無くて亡くなる子もいると思うと心が痛くなりました。

クラウドファンディングを続けていくなかで、日本の方がイラクの子どもたちのために寄付をしてくださったことが心に響きましたね。世界に目を向けている人がこんなにもいてくれることが何よりも嬉しかったんです。

クラウドファンディングの状況はずっと気になっていて、どこにいても確認していましたし、ずっと考えていました。なので、無事成功して大変やりがいを感じました。

時々、紛争地が起きる原因をその土地に住む人々のせいにする人がいます。紛争が起きるまでには多くの要因があると思いますが、要因が多すぎて解決不可能だからといって仕方ないと済ませてしまうことはできません。

紛争地の人も同じ人間です。彼らも夢があり、子として母として生きているということを忘れないでほしいです。自分も母となり、その気持ちが一層強まりました。

シリアはこれから復興していかなくてはいけないですが、復興についてどう思いますか?町には男性が少ないとお聞きしましたが...

私はシリア人として町に男性が少ないという現状は気になりません。なぜなら、シリア人の女性は強く、教育もされているので心配にならないからです。

しかし、国の中の分断が一番心配です。国が分断されていては復興は進まないので、そこをどうにかしないといけないと思っています。

分断は今、国際政治の大きなテーマだと思っています。シリアのなかにも多くの勢力が存在し、分断が起きていますね。そこで分断を解消していくためにはどうすればよいのかお聞きしたいです。

解消することは無いと思います。

なぜかというと、人が多く死んでしまったから。どこの勢力も亡くなった人が多く、その関係者は当然身内を殺した相手を許せないでしょう。

でも、解決のためには許すしかないのも事実です。私は関係者を亡くしていないので言えることは少ないのですが、当事者の方の前で、「あなたの子どもや父が死んだことを忘れてください」とは決して言えないです。

被害者の人の正義もあれば、加害者側の正義もあり、両者とも冷静に話し合いができる日はまだ遠いと思います。

ガムラさんが来日して思った、日本の良くないな...という点はありますか?

空気を読んだ結果、行動しづらいところですね。思っていることを素直に言えない雰囲気を感じます。みんなが建前の状態で考えたり行動しているため、箱を開けたら誰も何が起きているかがわかってないことがあります。

ガムラさんにとって国際協力とはなんですか?

国際協力というと、難しいことだと思うかもしれませんが、「誰しも毎日やっていること」だと思います。皆さんが食べたり飲んだりしているものも他の国のものなので、ぜひ世界に興味をもってほしいです。

周りにいる外国人や難民を手伝えることはたくさんあるので、できることをやればいいと思います。

あとは、選挙に参加することも立派な国際協力だと思います。若者が望む世界感を掲げている政治家を選べば、それも一種の国際協力になるのではないでしょうか。

(金岡)できるアクションが身の回りにあり、それを繋げていけば、より密な国際協力ができるということですね!

無人島に何か一つ持っていくとしたら何を持っていきますか?

ノートを持って日記を書きます、文字を忘れないようにするためと、私の身の回りのことを忘れないように。

勉強しないと物事をきちんと考えられなくなると思っているので、せめて文章を書くことはしたいです。

楽しいインタビューでした!楽しいインタビューでした!

おわりに...

私は、途中にあった「普通の人」として見られないというガムラさんの一言が印象的でした。もちろん、紛争地の方や紛争地が祖国の方のことを思いやることは必要ですが、それはどこか暗い話を毎回本人に投げかけることでもあります。

分断を解消することは率直に難しいという意見も、リアリティのある言葉として私は受け止めました。殺しあった人同士がどのように和解を勧め、復興に協力していくか。許さなければいけないけれど、許すことはできない現実を皆様はどう考えるでしょうか‥?

今回のインタビューで、2020年度インターンによるスタッフインタビューは最後になります。

1年間という短い期間でしたが、みなさまにJVCへの親近感を持っていただきたく始めたインタビュー。これを機に、もっとJVCのことを好きになっていただけたら、これ以上嬉しいことはありません。

読んでくださったみなさま、ありがとうございました。これからも、JVCの活動をチェックしていってくださいね!

それでは、さようなら!!

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