\n"; ?> JVC - 第1回:代表理事 谷山博史 - 東京事務所スタッフ日記

第1回:代表理事 谷山博史

2015年度広報インターン 清水 春香 2015年度広報インターン 渡辺 由香
2015年10月15日 更新

皆さんはじめまして。2015年度広報インターンの清水春香/渡辺由香です。私たちは2015年4月~2016年3月までの1年間、広報チームのお手伝いをしながら、国際協力について学んでいます!私たちがインターンをしているJVCには経験豊富かつ熱意あふれるスタッフが数多く在籍しています。私たちはそんなスタッフの今までのキャリアや、どうしてNGOで働くことを選んだのか、また、身近でしか知れない意外な一面までをインタビュー記事にまとめ、ブログとして配信することにしました。多くの方にご覧いただき、少しでも「NGOで働く人たち」を知っていただけたら嬉しいです。

JVC代表理事 谷山博史<br />著作に「NGOの時代」(共著)「積極的平和主義は紛争地になにをもたらすか?!」(編著)などがある。JVC代表理事 谷山博史
著作に「NGOの時代」(共著)「積極的平和主義は紛争地になにをもたらすか?!」(編著)などがある。

記念すべき第一回目はJVC代表理事の谷山博史さんです!
今までいろいろなNGOに関わってきた谷山さん。大学院卒業当時、日本ではまだ珍しかったNGOをたくさんまわって、それぞれの団体のことをよく知ったうえで、最終的にJVCに飛び込んだそうです。
JVCの顔として日本で大活躍されている谷山さんですが、現地駐在スタッフとしても長い活動をご経験されています。スタートはタイ・カンボジアの国境に1年半。その後、ラオスに3年半、タイに戻りバンコクで1年間、そのあとカンボジアに入り2年間、それから1回東京に戻って事務局長を8年間、その後東京を離れアフガニスタンに4年半、そして、東京に戻り、現在はJVCの代表を務めています。今までで通算12年もの長い期間を、海外の現場で過ごしてきている方です。

国際協力に携わろうと思ったきっかけは何ですか?

直接のきっかけは、1980年代の初めにカンボジア難民やベトナム難民などの記事や本を読んで状況の悲惨さに心を動かされたことです。

カンボジア難民が内戦を避けるため、地雷原を超えてタイへ逃げてきたという状況や、ベトナムのボートピープルが海に逃れて難破したり、海賊に襲われるといった衝撃的な事件が色んなかたちで自分の耳に入ってきました。これらを知って、何かできないかと思いました。

特に衝撃を受けたのは、ベトナムのボートピープルが海に逃れて漂流し助けを求めているそのわきを、日本のタンカーが、何もしないで通り過ぎる映像をニュースで見たことです。その当時日本人は金儲けにしか関心がない、エコノミックアニマルだと批判をあびていました。政府も支援を行わない、企業も行わないのであれば、一市民として民間で、何かできることがあるはずだとずっと考えていました。それから5年も経って1985年にアフリカの深刻な飢餓が国際的な問題になった時、逡巡するのをやめてNGOの世界に飛び込みました。

長いキャリアをお持ちの谷山さん。何に一番やりがいを感じますか?

世界に国籍・人種・宗教・文化的な違いや背景等、様々な人がいる中で、彼らと人間性の深いところで共感しあえる実感をもてることです。目標を同じにすることができれば、一緒に活動して一つの成果を出し合える、「協力しあっている」という実感がもてます。
いくら困難な状況にいても人間には、生き抜く力があるということを、海外の現場で知りました。その人たちと力をあわせ、皆が持っている力を最大限生かすことができれば、困難な状況を変えられる。そのような体験を、各スタッフが経てきています。これはとても希望がもてることだと思います。JVCの経験として、多くの人に実感を持って伝えられます。

たくさんのNGOがある中で、「JVCならでは」の部分を教えてください。

穏やかな表情でお話しくださる谷山さん。緊張が少し和らぎました(渡辺)穏やかな表情でお話しくださる谷山さん。緊張が少し和らぎました(渡辺)

一番の核となることは、僕たちは外からあるいは上から、一方的に援助をするという関わり方をしないことです。「ともに働く、ともに取り組む」という関わり方に強いこだわりをもっています。
そこに住む当事者たちが問題を解決できるように、私たちはどうやって一緒に取り組むことができるのか。同じ問題意識を持ち、共感しあえる信頼関係のなかで「ともに取り組む」というスタンスは一貫して持っていたいし、だからこそ、現場での活動がうまくいくと思っています。

ある地域で村の人々が抱える課題は、その村の人たちだけの責任ではないし、彼らの頑張りだけですぐに解決されるものでもありません。あらゆる問題は、その場所だけでなく、様々なもの・こととの関係性の中で生じています。
私たちは現場に近いところで問題をともに見つめ、その地域の人たちと一緒に問題解決に取り組むけれども、その背景にある根本的な問題を認識・把握する努力を常に怠りません。「問題の根本にこだわる姿勢」が特にJVCならではの特徴であるといえるでしょう。

それはつまり、現場での直接的な関わりと同時に、周りにある環境を変える取り組みを同時にやること、現場での活動と同時に政策提言(アドボカシー)をするということです。現地からだけではなかなか届かない小さな声をも拾い、社会に届ける。当事者でない、第3者だからこそできることもあるのです。JVCは今後も、政策提言に力を入れ、必要であれば社会に物申す姿勢を持って活動していくでしょうね。

最近、JVCは「世界から中心をなくそう。」というスローガンを決めたと伺いました。谷山さんはこのフレーズのもと、どのような役割を担っていますか?

この言葉は非常に深い意味を持っています。JVCが取り組んでいること、これからやろうとしていることの導入としてぴったりなキャッチフレーズになったと思っています。
人々が住んでいるところや暮らしを育んできた地域は、そのすべてが「世界の中心」であると考えます。世界中に中心があるし、なにより世界中に中心をつくっていきたい。今の社会は優劣や豊かさを"一本のものさし"で図り、世界中がそれに向かって競い合っています。国においても、企業においても、国境をこえて騙し合い、競い合い、時にそれは紛争をも招いています。富と権力を持つものが「世界の中心」になる世の中です。
これまでは"一本のものさし"による、富と権力の競い合いを、幸福と感じる時代もあったかもしれませんが、現在では例えば資源が枯渇しているという点で、確実にその限界がきています。資源の枯渇や環境破壊、気候変動は非常に深刻で、このまま世界が順調に成長していくというのは考えられません。これらの課題を解決していくためには、今までのように1つの中心に向かって資源を奪い合うのではなく、それぞれの場所(=中心)で資源を確保する豊かさを考えていかねばなりません。そうでなければ、地球ももたないし紛争も終わらないでしょう。
「世界から中心をなくそう。」というスローガンは、私たちが求めている本当の豊かさと、自分たちの未来をつくろうという誇り、そして一極集中の考えを捨て、それぞれの地域で自立していこうという活動のテーマとして「これしかない」と確信しています。どのようにしたらそれぞれ、自分たちの暮らす地域が世界の中心になっていけるか。それを考え実行していくことが、僕たちの役割であると考えています。

国際協力をしたい!と考える人にアドバイスをお願いします。

まず、国際協力を狭く捉えない方が良いと思います。国際協力というと海外に行って直接支援をすることや、NGOなどの援助団体のスタッフになることを思い浮かべがちですが、ボランティアや会員になって活動のバックアップを行うなど、いろいろな関わり方があります。直接支援をすることだけが国際協力ではありません。例えば、問題の原因を取り除くために政府や企業に対する提言活動(アドボカシー)や、海外で起こっている問題がどういう原因で起こっているのかを考える、開発教育や地球市民教育というのもありますね。単に、海外の人々がかわいそうという決め付けではなく、社会・経済・政策の在り方、消費、暮らしが全部相互関係にある、ということを理解する、または学ぶ場をつくる。これも立派な国際協力ですね。海外に行かなくても、いますぐ、日本にいてもできることです。自分にはどういう国際協力が合っているのか、よく考え、自分にとって一番良い形態で関われば良いと思います。こうしてブログを読んで"知る"ということもひとつの国際協力ですね。(笑)知って、そしてできれば周りの人に伝えて欲しい。そう思います。

色々考えた結果、実際に海外の現場で活動したいということであれば、あらゆる機会を捉えて現場に飛び込むのが良いと思います。ただ、飛び込んだからといってすぐ「なにか変えられる」とは考えないほうが良いと思います。現地の人たちや地域のことをよく知らずに、「なにか役に立つ」ことができるわけがありません。その地にいる人々から、学ぶ姿勢が何よりも大切です。そうでなければ"イイ迷惑"になるだけでしょう。

最後に、とびっきりの写真を下さい!

南アフリカ(2009年)

写真の説明をする時の谷山さんの嬉しそうなお顔が印象的でした。(渡辺)写真の説明をする時の谷山さんの嬉しそうなお顔が印象的でした。(渡辺)

南アフリカのリンポポ州でJVCが行っているHIV/AIDsの予防・啓発活動を視察したとき、村の食堂で食事をしていると、子どもたちが沢山集まってきました。子どもたちの屈託のなさにはいつも助けられます。

【インタビューをしてみての感想】

いつも忙しくお仕事されていて、イベントなどでも凛々しい印象が強い谷山さん。今回お話を伺って、現場の現状を語る険しい表情や、アドバイスをいただいた時の真剣な眼差し、そしてとびっきりの写真紹介での穏やかな優しい笑顔などいろんな表情を見ることができました。長く携わることで見えた国際協力を、熱く語ってくれた姿に仕事に関する熱意を強く感じました。(渡辺)

代表理事というとなんだか恐れ多く感じてしまいますが、インターンである私にもいつも気さくに声をかけてくださる谷山さん。今回改めてお話を伺うことで、国際協力やJVCに対する誇りと熱意を強く感じました。また、いつもの"かっこいい"谷山さんだけでなく、優しく穏やかな谷山さんも知ることができました。(清水)

※谷山さんがJVCの会報誌に書いたコラムがあります。ぜひ、こちらもご覧下さい。

【次回予告!】 

谷山さん作の"あの方"の似顔絵!...いったい誰でしょうか?谷山さん作の"あの方"の似顔絵!...いったい誰でしょうか?

次回は、谷山さんが
「"人並み外れた忍耐心と信念に裏打ちされたプライドをもった人"」とおっしゃるあの方にインタビューします。乞うご期待!

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スタッフインタビュー2015 の記事一覧

更新日タイトル
2015年10月15日 更新第1回:代表理事 谷山博史
2015年11月12日 更新第2回:事務局長 長谷部貴俊
2015年11月18日 更新第3回:事務局次長 細野純也
2015年11月26日 更新第4回:カンボジア事業担当 山崎勝
2015年12月 3日 更新第5回:経理担当・イラク事業担当 池田未樹
2015年12月11日 更新第6回:コンサート事務局 石川朋子
2015年12月24日 更新第7回:アフガニスタン事業統括 小野山亮
2016年2月 3日 更新第8回:広報担当 大村真理子
2016年2月15日 更新第9回:ラオス事業担当 平野将人
2016年2月16日 更新第10回:スーダン事業担当 小林麗子
2016年2月25日 更新第11回:会員・支援者担当 宮西有紀
2016年3月14日 更新第12回:カレンダー事務局 橋本貴彦
2016年3月15日 更新第13回:パレスチナ事業担当 並木麻衣
2016年3月23日 更新第14回:コリア事業担当 寺西澄子
2016年4月 8日 更新第15回:アフガニスタン事業担当 加藤真希
2016年4月28日 更新第16回:気仙沼事業担当 横山和夫
2016年5月 9日 更新第17回:南相馬事業担当 白川徹
2016年6月16日 更新第18回:南アフリカ事業担当 渡辺直子
2016年7月21日 更新第19回:経理担当 中原和江
2016年7月25日 更新最終回:2015年度広報インターン 
清水春香/渡邊由香

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