\n"; ?> JVC - 見学会を振り返って-防災集団移転のアドバイザー派遣【22】 - 気仙沼支援活動レポート
2014年6月26日 【 防災集団移転について

見学会を振り返って
-防災集団移転のアドバイザー派遣【22】

震災支援担当 岩田 健一郎
2014年6月27日 更新

6月1日、防災集団移転のアドバイザー派遣を実施しました。今回は、大浦(おおうら)地区と梶ヶ浦(かじがうら)地区の合同勉強会および各地区総会を開催し、約40名の住民の参加を得ました。

はじめに、大浦地区と梶ヶ浦地区の合同で行われた勉強会では、4月に開催した高台移転団地見学会の振り返りが行われました。アドバイザーが写真を交えて見学会のポイントを整理しながら、主に取り付け道路、宅地の法面(のりめん)、擁壁(ようへき)や側溝などのイメージを住民と共有しました。その際、見学した造成地と大浦地区や梶ヶ浦地区の造成地との類似点・相違点が示されました。住民からは「法面の大きさが違って見えるのはなぜか?」「擁壁をつなげる場合、つなぎ目の強度に問題はないか?」などの質問が出され、それらに対してアドバイザーが一つ一つ解説を加えていきました。

アドバイザーによる見学会のポイントの解説アドバイザーによる見学会のポイントの解説
梶ヶ浦地区の話し合いの様子)梶ヶ浦地区の話し合いの様子

合同勉強会に続いて行われた各地区の総会では、見学会の内容をもとに話し合いが進められました。梶ヶ浦地区の総会では、主に水道管の引き込み位置について協議がなされました。見学会で訪れた南三陸町の高台移転団地では、住民の要望に応じて水道管の引き込み位置が定められています。梶ヶ浦地区においても水道管の引き込み位置に関する要望を出すこととなり、宅地の条件ごとに検討が重ねられました。

また、まちづくりルールの内容が改めて整理されました。「隣地との境界から建物壁まで1.5m以上離す」「防犯上、門扉に街路灯を付けるように努力する」といった各々のルールが、「義務事項」と「協力事項」とに区別されました。加えて、協議会参加者がルール内容を確認の上、署名することが合意されました。

 図面を見ながら意見交換する住民たち。<br/>大浦地区の総会にて 図面を見ながら意見交換する住民たち。
大浦地区の総会にて

一方、大浦地区の総会では、法面の処置が問題として取り上げられました。法面となる宅地の一部に対して、何らかの処置をしない限り、土が雨などによって流れる恐れがあります。ここではアドバイザーによって植栽や擁壁による土留めの方法が紹介され、対応策が協議されました。住民からは「これまで皆が一体となって防災集団移転事業に取り組んできた。宅地の条件に関わりなく共同で土留め工事を行い、費用を頭割にしよう」との意見が出される一方で、「それぞれ宅地の条件が異なる中で、全員が一律に費用を負担することには問題があるのでは?」といった声もあがりました。その他、「まちづくり活用ゾーン」の扱い方についても、あわせて意見交換が行われました。これらの問題について今回の協議では結論が出なかったため、次回以降も引き続き検討することとなりました。

住民が見学会を通じて実際の造成地を目にしたことで、検討すべき課題が認識され、具体的な議論が活発に進められるようになりました。しかしながら、そうした課題を解決するまでには、複雑な事情を整理し、住民相互の利害を調整する必要があり、その過程には少なからず困難が伴います。今後もJVCは、課題解決に向けた住民間の合意形成が円滑に進む様、アドバイザー派遣によるサポートを継続していきます。