グリーンネット生産者会員の村でのホームステイ終了後、村で見たこと、聞いたこと、そこで考えたことを共有するため、金森さんと二人で報告会を行いました。私たちが行った村の生産者のどちらも有機農業にまじめに取り組む人たちで、畑には様々な野菜や木が植えられ、自給自足に近い生活を目指す人たちでした。
グリーンネットはフェアトレードとして海外に需要を求めるビジネス的なNGO団体であるという印象を持っていた私たちはある疑問が浮びました。
―「そもそも有機米を作る農民なら誰でもいいのではないか」
―「グリーンネットは有機米を集められるだけ集めたいだけなのではないか」
―「経済的に貧しい農民を支援していると思っていたが何か違うみたいだ。土地をたくさん所有している農民もおり、グリーンネットによって本当に貧しい農民は支援されているのか」
といったことです。私が思っていたNGO像とグリーンネットという組織が違うような気がしてきました。
次に話し合ったことは、そもそも何故、米は低価格になってしまうのかということです。農民は現金収入を得るために米を全て仲買人に売り、仲買人は多くの利益を得るために米をできるだけ安く買い取る。消費者は低価格の米を求める。米を全部売ってしまった農民は、今度は低価格の米を求める消費者自身になってしまう。このようなサイクルを繰り返すことで、米の値段はますます下落していくのではないかと考えました。
また、私がホームステイした家のお母さんは「タイの仲買人がラオスやビルマから米を安く仕入れ、タイで安く売っている、それが影響して私たちが一般的に作っている米も安くなってしまうんじゃないのか」と言っていました。米の生産大国であると思っていたタイでそのようなことが起こっていることを初めて知り驚きました。
そこで思いついたことが、「農民が米を売らなければいいのだ」ということです。これはかなりの極論ですが、仲買人に売らないと農民が決め、まずは自分たちで食べ、余ったものを売ると生産者である農民の立場が今よりも向上するのではないのかと考えました。これはコンケン県のポン郡の朝市と同じ考え方です。有機農業によって支出が減り、余った農作物を売る。そして必要なものを買い、お金は必要な分だけ持つというようなことになればいいのだということです。
話し合いの一番の焦点は、「グリーンネットという団体が無くなってしまったら、生産者は有機農業を続けるのか、それとも従来の化学肥料を使った農業に戻ってしまうのか」ということです。フェアトレードは相手(支援者)がいらないと言ってしまえばそこで終了してしまう危険性を伴うものだと思うからです。フェアトレードとは支援者への依存体制を作ってしまい、生産者の自立に繋がっていないのではないだろうか。フェアトレードに対する様々な疑問点が浮びあがりました。
二人で話し合っても答えのない、出口の見えない話し合いを延々と続けました。しかし、答えが出なくてもいいのかもしれません。その中で自分がどうありたいかを見つけていくことが大切だと思うからです。