上達すれば、どんな作業も楽しくなる
ここ、カオデーン農園では今、田植えの真最中です。
この田植えに欠かせないのが稲の苗です。田植えをする前に苗床の田に生えているこの苗を抜いてくる必要があります。田植えも大仕事ですが、この苗抜きもまた大仕事です。 田一面に生えている苗(何本あるか数えるのもイヤなぐらいたくさんあります)をひたすら抜いて抜いて抜きまくります。
初めて苗抜きをやった頃はちっともうまくいかず、苗が途中で切れたり折れたり根っこが切れたりしていましたし、一本の苗を抜くのにも時間がかかり作業は遅々として進まず、後ろを振り返れば、無残な姿となった苗たちが死屍累々と水面にプカプカとたくさん浮いていました。
しかし、今は違います。
どうやったら苗傷めずに、かつ、素早く抜けるか試行錯誤を繰り返したおかげで最初の頃に比べると格段に速く上手に抜けるようになりました。あまりにも速く抜けるようになったので「農園長の地位はもらったぜ!」と思って、デーンさんをみたら、やはり僕よりもたくさん抜いていました。・・・短い夢でした。
農園長の座は逃しましたが、上達してくると楽しくなってきます。それにあまり疲れなくなります。この点は農業以外の仕事と同じだと思います。
カオデーン農園にきて農作業をやってきて思うのですが、農業も会社での仕事もあまりかわりません。迅速・確実・丁寧な仕事成果が求められるのも、自分の創意工夫や努力次第で仕事が上達し楽しくなるのも、コミュニケーションが不足すると仕事がうまくできないのも、みんな同じです。僕は日本にいたときに「農業はつらい」という話を耳にしました。タイに来て実際に体験していますが、特につらいとは感じません。確かに疲れるときやつらいと思うこともありますが、日本で会社やNGOで働いていたときと同じ程度のものです。
いま、タイでも日本でも農家の数は減ってきているそうです。僕は日本にいたときに、農業はつらいという話を耳にしていました。しかし、農業を体験している今、僕は農業がつらいとは思いません。農家の数が減っていることの理由は別にあると思います。
この理由は農業が(農作業が)つらいからではなく、農業が儲からないからではないでしょうか。というのも、タイに来て、いろいろな人が農業では生活していくギリギリの額が稼げればよいほうだという話を少なからず聞く機会があったからです。また、これをきいたとき、日本にいたときに聞いた飼料価格の高騰で農業を続けられなくなった農家の話を思い出しました。コストは高くなっても出荷価格は高くならない(できない)からです。これらは生産者が価格を決められないことや生産者からの出荷価格と最終消費者の僕たちが店で購入するときの価格には驚くほどの差があることといった構造によるものであり、農家が儲からない原因のひとつではないでしょうか。
農業は人々の食を支える重要な仕事です。また、農業には魅力的なところがたくさんあります。この重要で魅力的な仕事では生活していけないとはなんとも不思議でおかしな話ではありませんか。僕は、この重要で魅力的な農業に経済的な魅力も付加できるように制度や社会構造が変わればいいのにと思います。思うだけでなく、このために何をすればいいのかをこれから考えて実践していくことにします。
(金森 史明)
つまらないのは下手くそだから。うまくなれば楽しくなる。
楽しく作業したかったら、特訓するのみ!(森本 薫子)
