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現地ブログ from スーダン

スーダン日記

スーダン駐在のスタッフが、日本ではほとんど知られていないスーダンの情報や活動のようすをお伝えします。

【避難民向け住居への給水活動】
取らぬ狸の収支計画?

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年12月 3日 更新
組み上がった給水塔の下で進む建設作業組み上がった給水塔の下で進む建設作業

井戸管理委員会の会合に参加するため、JVCスタッフはティロ地区の避難民向け住居に向かいました。ティロ本村を過ぎて畑の中に入ると、すっかり背丈が伸びたソルガムの穂先が風に揺れています。収穫は、もう間近なようです。

ソルガムの合間から、給水塔の青色のタンクが見えてきました。

「おお、ウォーターヤードが、ついに!」

窓越しに給水塔を見つけたスタッフのタイーブは、やや興奮しています。トラックが資材を搬入してからほんの数日、工事はぐんぐん進んでいるようです。

セメントを塗ったばかりの共同水栓。手前はポンプを動かすための発電機セメントを塗ったばかりの共同水栓。手前はポンプを動かすための発電機

建設現場に到着すると、作業員が共同水栓のセメントを塗っているところでした。既に井戸にはポンプが設置され、給水塔、共同水栓までの配管もつながっています。水回りの工事はもうすぐ終わり、最後の工程になる機械室やフェンスの工事に移れそうです。

井戸管理委員会のメンバーも、建設現場にやってきました。

「毎日工事を見ているけどね、順調に進んでいるよ」
と満足そうに言うのはアフマドさん。彼の家は現場のすぐ目と鼻の先なので、工事のお目付け役に任命されています。

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【避難民向け住居への給水活動】
井戸管理委員会のマネジメント研修

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年12月 3日 更新

JVCの赤いレンタカーは朝から大忙しです。ぬかるんだ道に気を付けながらティロ地区の避難民向け住居まで2往復、井戸管理委員会8人のメンバーをJVC事務所まで運んできました。いえ、正確に言えば8人プラス1名でしょうか。メンバーのサファさんが、1歳になる男の子、アダム君を抱いているからです。

講師の話に耳を傾ける8人講師の話に耳を傾ける8人

今日、9月29日からの2日間、ここでマネジメント研修が行われます。8人全員が座ると、狭いJVC事務所はいっぱいになりました。アダム君はお母さんの膝の上から離れないようです。

「この研修では、みなさんの『委員会』がよりよい活動をするために、必要なことを一緒に勉強していきます。よろしくお願いします」

講師を務めるのは、州政府社会開発省の専門家、タリクさんです。州内各地で、研修を通じて住民の地域活動を手助けするのがタリクさんの役目です。

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【避難民向け住居への給水活動】
住民による井戸管理委員会が始動

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年12月 3日 更新
建設予定地で業者と打ち合わせる井戸管理委員会建設予定地で業者と打ち合わせる井戸管理委員会

南コルドファン州の州都カドグリ市郊外、ティロ地区の避難民向け住居にJVCはウォーターヤード(井戸・揚水ポンプ付き給水施設)の設置を決めました。そして話し合いの結果、完成したウォーターヤードの運営は住民が自分たちで行うことになり、そのために7人のメンバーからなる井戸管理委員会が発足しました。
というのが、前回までの経過です。

建設予定地は、230戸の避難民向け住居が建ち並ぶ敷地の北西に位置しています。既に井戸の掘削や水質検査は終了し、次に給水塔や共同水栓の建設が始まります。9月末、下見のために建設業者が現地を訪れました。JVCスタッフも一緒です。

工事は、井戸を中心に発電機用の機械室、給水塔、共同水栓などを配置して、その周囲15メートル四方をフェンスで囲います。さらにフェンスの外側には、家畜用と「ロバの水売り」用の2か所の給水所を設置します。下見の目的は、これらの配置を決めることです。

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(前回より続く)

避難民向け住居の入口にクルマを停めると、あたり一面に広がる畑ではソルガムが膝の高さまで育っています。9月も中旬になり、種子を配布してからは約1か月。雨にも恵まれて生育は順調なようです。

ぬかるんだ地面に気を付けながら歩いていくと、向こうに見える家の前では人々が椅子を並べて会合の準備をしています。
「さあ、どうぞこちらへ」
椅子を運んでいた住民のひとりが、JVCスタッフの姿を見つけて手招きをしてくれました。私たちは7月からここで活動をしているので、住民とはすっかり顔馴染みになっています。

「今日は、住民の皆さんは何人くらい集まるのですか?」
「ウムダ、シエハ(※)が数人、ほかに保健委員会のメンバーが集まります」

保健委員会とは、2か月ほど前に州保健省が国連の支援で実施した「保健衛生研修」に参加した住民たちによって構成されています。まだ活動をしているわけではありませんが、水の供給は公衆衛生とは深い関係があるので会合に呼ばれているのでしょう。

今日は、ここティロ地区の避難民向け住居に設置されるウォーターヤードについて、住民代表とJVC、それに州政府も加わった初めての会合です。

※ウムダ、シエハ:この地方では、村の住民リーダー(村長)はウムダ、村よりも小さな集落のリーダーはシエハと呼ばれる。この避難民向け住居には複数の村から避難してきた人々が住んでいるが、元の村のウムダやシエハも同じく避難民となってここに一緒に住んでいるケースが多い。そして、ここにおいても相変わらず住民リーダーとして人々の世話を焼いている。

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(前回より続く)

ガルドゥッド地区のウォーターヤードガルドゥッド地区のウォーターヤード

最初に訪問したのはカドグリ市街の北東、ガルドゥッド地区にあるウォーターヤードです。この辺りは、今年5月に多くの避難民を受け入れJVCが支援物資を配布した地区でもあります。

「おお、でっかいウォーターヤードだなあ」
JVCスタッフのアドランとタイーブが、給水塔を見上げて感心しています。ここにウォーターヤードがあることは以前から知っていましたが、近くに来てみてみるとその大きさを実感します。

「タンクには1万ガロン(約4万リットル)の水が入るぞ」
ウォーターヤードの管理人らしい、年配の男性が出てきて教えてくれました。

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「水をどうにかして欲しい」
「隣のティロ本村にある井戸まで汲みにいくのは遠い」

カドグリ郊外、ティロ地区の避難民向け住居では、7月末までに230戸への入居がほぼ完了しました。人々の暮らしが始まれば、まず問題になるのは生活用水の確保です。

計画では、国連が手押しポンプ井戸を2基、JVCが揚水機付きの井戸を1基建設することになっていました。このうち手押しポンプ2基は8月から9月にかけて完成し、住民は遠くまで出かけなくても水を利用することができるようになりました。

しかし、11月から乾季が始まると水の需要がぐっと増えます。そのために、より供給能力が大きい揚水機付き井戸の完成が待たれています。

「揚水機付き井戸」といっても、皆さんにはピンとこないと思います。

まずは、写真をご覧ください。

カドグリ郊外のウォーターヤード。給水タンクの容量はJVCが計画しているものと同じ5千リットル。カドグリ郊外のウォーターヤード。給水タンクの容量はJVCが計画しているものと同じ5千リットル。

これは現在カドグリ周辺で稼働している揚水機付き井戸です。JVCが設置したものではありませんが仕組みは同じです。

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2年3ヶ月ぶりのカドグリ(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年10月28日 更新

(前号から続く)

訪問団が州政府庁舎の会議室で待っていると、やがてアダム・アル=ファキ州知事が入ってきました。今年7月に就任した、がっしりとした体躯の新知事です。挨拶を済ませると、知事はこう切り出しました。

「私の仕事は、南コルドファン州に『平和』をもたらすことだ」
そして、
「そのためには、まず人々がお互いを信頼し合うことが大切。私は、政治犯として収監されていた人々を釈放した。州内に政治犯を入れる監獄はもはやない。誰もが安心して暮らせるはずだ」
と続けました。

「政治犯」とは、反政府勢力のメンバー、或いはそれに加担したと見なされてこの2年間に拘禁された人々です。実際に「メンバー」だったのか、「加担した」のか、根拠に乏しいと言われてきました。

知事はさらに、
「平和のためには開発が重要だ。学校も、診療所も、井戸も不足している。だから今後は、たくさんの国際NGOに南コルドファン州で活動をしてもらいたい」
これが、知事が私たちに言いたかったことのようです。そして、今回の訪問を許可した目的でしょう。

政治囚の釈放は、これまで多くの家族が待ち望んでいたことです。そして、これまでのような「政治犯」への弾圧が止まるのであれば、多くの人が安心して暮らせることも確かでしょう。

しかし、肝心の紛争そのものはどうなるのでしょうか。当事者である政府と反政府軍との和平が成立して紛争が終わらない限り、この地域に本当の意味での「平和」は訪れません。それについては、知事からは何の話もありませんでした。

歓迎式での訪問団一行。奥に見えるのは避難民向け住居歓迎式での訪問団一行。奥に見えるのは避難民向け住居

州政府庁舎を後にした訪問団は、郊外のティロ地区へと向かいました。この「現地便り」でもお馴染みの、避難民向け住居を視察するためです。

ソルガム畑を抜けて目的地に到着すると、大きな天幕が張られて歓迎式の準備が整っていました。出迎えなのか見物なのか、子どもから大人まで鈴なりの群集です。

この避難民向け住居は、国連難民高等弁務官事務所と州政府が中心になり、国連機関とNGOが協力して建設、入居者の選定などを行ってきました。JVCは生計支援として種子を配布、そして現在は給水施設の建設を準備しています。

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2年3ヶ月ぶりのカドグリ(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年10月28日 更新

国連機の翼の下に、緑の大地がぐんぐん近づいてきます。

乾燥したハルツーム周辺の上空からは決して見ることのできない、雨をいっぱいに吸い込んだ一面の緑。その中に散りばめられた小さな沼や池が、雲間から差し込む太陽にキラキラと輝いています。

南コルドファンに、戻ってきました。

2011年6月に市街戦の中を退避してから2年3ヶ月、私にとってやっと巡ってきたチャンスです。紛争が始まって以来、NGOの外国人職員が南コルドファン州に足を踏み入れることを頑なに拒んでいたスーダン政府が態度を軟化させ、たった1日だけですが国連・NGOの訪問団として州都カドグリを訪れることが許されたのです。

訪問団は私を含めて24人。ハルツームの国連関係者、国際NGOの現地代表、そしてスーダン政府関係者です。

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首都ハルツームの大規模デモ

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年9月30日 更新

黒い煙が、猛然と空に立ち昇っています。1本、2本、そして3本。

「タイヤを焼いているんだわ」
一緒にいたJVCスタッフのモナが言いました。今日は9月25日。私たちは、ハルツーム市内中心部で政府関係者との会合を終えて、ちょうど事務所まで戻ってきたところです。

「ついに始まったか・・」

煙までの距離は、ここから数百メートル、1キロ程度でしょうか。何が起きているのか見えませんが、政府に抗議する住民がタイヤを燃やし道路を封鎖しているのは間違いありません。既に、大通りの交通量は目に見えて減っています。

人々の怒りに火をつけたのは、政府によるガソリンなど燃料価格への補助金カットです。

2011年の南スーダン分離独立によって石油収入の大半を失ったスーダン政府は、「国民の反発が強いからやめた方がよい」という与党内の反対すら振り切って補助金カットを断行。9月22日にガソリン価格は1ガロン(約4リットル)当たり12スーダンポンド(以下ポンド。1ポンドは約18円)から21ポンド、一気に倍近くに跳ね上がりました。ディーゼルや家庭で使うプロパンガスも同様。翌日にはバス料金も40~50%の値上げが実施されました。

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着実に進む新生活

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年9月24日 更新

空に浮かぶ真綿のような雲、大地を覆う緑のじゅうたん。山から吹く爽やかな風にあたっていると、ここが紛争地であることを忘れてしまいそうです。

ラマダン明けの休暇が終わった8月中旬、雨季の半ばの晴れ間を縫って、JVCスタッフ3人はカドグリ郊外、ティロ村近くの避難民向け住居を訪れました。種子を配布したあとの様子を確かめるため、10日ぶりの訪問になります。

なんと、避難民向け住居の敷地の中といい外といい、どこもかしこも畑になっています。作物が芽を出している畑もあれば、まだ種まき前で雑草刈りと地ならしをしている畑もあります。

畑から戻ってきた女性たち。この写真の撮影場所も実は畑の中畑から戻ってきた女性たち。この写真の撮影場所も実は畑の中

芽を踏まないように気を付けて歩いていると、農具を肩に担いで畑から戻ってくる年配の女性たちにすれ違いました。

「今日も雑草を刈って、また少し種をまいてきたよ。種まきはもうすぐ終わるね」
遠くまで見渡すと、あちこちで畑仕事をしている人々の姿が見えます。スタッフも安心しました。

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