【共同要請文】イスラエル・パレスチナにおける暴力の応酬の即時停止を求める
JVCは5月15日付で、現地で活動するピースウィンズ・ジャパン(PWJ)、その他一団体と共同で、現在起きている暴力の応酬を鎮静化させるために日本政府としてはたらきかけることを求める要請文「イスラエル・パレスチナにおける暴力の応酬の即時停止を求める」を外務大臣宛に提出しました。
5月16日には国連安全保障理事会では緊急会合が開かれ、グテーレス事務総長は即時停戦を呼びかけましたが、両者は正当性を主張しており、また米国による反対のため理事国全ての同意が必要な声明の発表など一致した対応には至りませんでした。
5月16日には、イスラエルによる空爆でガザ側では新たに42名が犠牲となり、これまでに58名の子どもと34名の女性を含む192名が亡くなっています。多くの建物が破壊され、1万7,000人が避難しています。
提出した要請文は、諸事情により全文は公開できませんが、主旨は以下の通りです。
****(以下、要請文の主旨)****
イスラエルとパレスチナ・ガザ地区において5月10日に始まった、ガザ側からのロケットと、イスラエル側からのミサイルの応酬は未だ止むことがなく、連日双方の市民に死傷者が出る事態となっています。
5月15日の早朝時点でのアル・ジャジーラの発表では、イスラエルでは7名が死亡、ガザでは137名(うち子ども36名)が死亡し、約920名が負傷、約1万人が避難を余儀なくされていると伝えています。ガザでは内務省を含む主要な建物等、そしてイスラエル側では石油タンク等も爆破されています。市民同士、そして市民とイスラエル警察や軍の衝突も日に日に激化しており、最初はエルサレムのみで見られていたものが、イスラエル側のアラブ人とユダヤ人が住む都市、検問所付近、そしてパレスチナ・ヨルダン川西岸地区の各都市でも連日デモが実施され、それに伴いイスラエル市民および警察や軍と、パレスチナ人との間で衝突が起きています。また、このような暴力の連鎖がヘイトの感情に繋がり、互いの店を襲撃し合うような痛ましい事件も起きています。
現地で活動する日本のNGOとして、①国際社会の一員として、この暴力の連鎖を一刻も早く止めるためにあらゆる手をつくすこと、②現地で人道支援を行うNGOが、現地の人びとの危機的状況に対して安全に活動を行えるようイスラエルおよびパレスチナに働きかけること、を日本政府に要請いたします。
いかなる場面においても暴力の行使による解決は許されるものではなく、私たちはあらゆる暴力行為に反対し、暴力行為を助長する行動や、暴力行為自体の即時停止を求めます。暴力はロケットやミサイルによる武力攻撃だけでなく、デモへ参加したイスラエル人・パレスチナ人・外国人に対するイスラエル警察や軍による暴力、そして、日本政府が5月11日付で出した談話にもある「イスラエル政府当局による東エルサレムにおける540棟の入植地住宅建設計画」と呼ばれる、占領下のパレスチナ領土各地におけるイスラエルによる違法な入植活動行為(強制立ち退き命令、家屋破壊・収奪)」、イスラエルが「セキュリティ」の名の下に、パレスチナ人への人権侵害に抗議するパレスチナ人・イスラエル人に対して行う、以前からあった日常的な軍事権や警察権の濫用もこれに含まれます。
私たちは東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区、ガザ地区で長年活動を続けている日本のNGOとして、パレスチナ、イスラエルにおいてこれ以上の犠牲を出さないよう、双方の政府や関係各所へ今すぐ暴力の連鎖をやめるよう具体的なはたらきかけを行うことを強く求めます。
****(以上、要請文の主旨)****
このように一般の人々が犠牲になる事態を一刻も早く鎮静化するべく、パレスチナ支援を行う他の日本のNGOと協働し、引き続き出来ることを行っていきたいと思います。