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今回は、皆さんにガザの女性が書いた文章「Even Money Won't Buy You a Good Life In Gaza(ガザではいくらお金があっても良い生活は送れない)」を紹介します。
「ガザではいくらお金があっても良い生活は送れない」
もしあなたに沢山のお金があって、そしてこの世界でガザ地区以外の場所に住んでいたとしたら、何をしますか?
答えを予想してみます。世界中を旅しますか? 最新の車を買いますか? 素敵な家を建てますか? それとも真に愛する人と結婚しますか? 世界中の食事に困っている人々を助けますか? 高級でお洒落な服を着ますか? 世界最高峰の大学で勉強しますか? 最新技術を用いた機器を買いますか? 全ての夢が叶いそうですか?
一人のガザに住むパレスチナ人の若い女性として、私にはそのようなお金は必要ありません。お金持ちになりたくないからではありません。ガザに住んでいる限り、お金が沢山あっても何の意味もないからです!
こんにちは、エルサレム事務所・駐在員の山村です。ここで暮らす日々の中では、パレスチナ人の気持ちを受け止める機会が多いのですが、今回はその中の一つを皆さまと共有させていただきたいと思います。
この会話のきっかけは、エルサレムで海外から来た観光客を泊めながら平和活動を行っているおじいさんについて、筆者がパレスチナ人の同世代の友人(30代)に知っているかどうか尋ねたことでした。エルサレムの街をオレンジの街灯が照らしだす中、カフェの窓から見えるエルサレム警察署の上にはその翌日の独立記念日を祝い、多くのイスラエルの旗がはためいていました。
「私の妹が、アンマンにいるのよ。シリアからの密入国で」
タハリーブ。『密入国』を意味するその言葉があまりに自然に出てきたので、思わず「えっ?」と聞き返してしまった。11月のある日の午後、ベツレヘム近郊のパレスチナ難民キャンプで、難民の女性たちと一緒に刺繍製品の品質チェック作業をしていた時のことである。来週ヨルダンのアンマンに出張するの、と何気なく言った私に、女性グループのメンバーの一人・Uさんが教えてくれたのだ。手に持った刺繍製品から、はみ出した糸を切りながら。
関西地方で活動する市民団体、「パレスチナの平和を考える会」 の会報誌『ミフターフ』42号(2016年1月刊行)に論説記事を寄稿しました。この記事では、昨年10月から多数の死傷者を出しているパレスチナ/イスラエルでの情勢悪化について解説しています。以下、この記事を転載いたします。
パレスチナ人が怒る本当の理由
10月1日から11月17日までの48日間に起こった、イスラエル軍によるパレスチナ人のデモ隊に対する弾圧や病院の襲撃、パレスチナ人によるイスラエル兵や入植者に対する殺傷事件(未遂事件含む)により、パレスチナ人の死者は84人、負傷者約1万人、逮捕者1,670人、イスラエル人の死者は14人、負傷者282人に達した(Al-Hayat Paris、2015年11月17日付記事)
今回の衝突の発端は、イスラームの聖地であるアル・アクサー・モスクと岩のドームのある聖域「ハラム・アッ・シャリーフ」(ユダヤ教では「神殿の丘」と呼ばれる)へのイスラエル人入植者や兵士の強引な侵入が繰り返され、パレスチナ人に対する入域制限が強化され、それに対してパレスチナ人の怒りが爆発したことにあると言われる。欧米や日本のマスメディアでも「聖地エルサレムを巡る対立」が原因だと報じられる事が多い。
みなさん、こんにちは。
私は昨年12月末に、ヨルダン川西岸地区の中でも、隣国ヨルダンとの境界地帯に位置するヨルダン渓谷に、日本からのゲストを数名お連れして訪問しました。ヨルダン渓谷は、農業に適した肥沃な土地で、パレスチナ人にとって生活の糧として重要な意味を持ちますが、その大部分はイスラエルの違法入植地に奪われ、イスラエル軍によるパレスチナ人の家屋破壊や強制的な追い出しも頻繁に起こっています。
また、入植者とパレスチナ人の間での水の分配も極めて不平等で、西岸地区の中でもパレスチナ人に対するイスラエルの人権侵害が特に著しい地域の一つです。(詳細は、現地便り最後の表をご覧ください。)
今回私たちがヨルダン渓谷を訪問した際にも、イスラエル軍が、パレスチナ自治政府とヨルダン渓谷の住民らが作った農業用貯水池を破壊している場面に出くわしました。イスラエル軍は、「自分たちの許可を取らないで建設された違法な貯水池」といういつもの理由で破壊しました。
新年あけましておめでとうございます。昨年は、JVCパレスチナ事業をご支援いただき、どうもありがとうございました。
昨年は、ガザ戦争をはじめ、パレスチナ/イスラエルは大きな事件が数多く起こりました。JVCパレスチナ事業では最近、昨年の主要な出来事と現地の人道状況をまとめましたので、ご覧いただければ幸いです。
ガザ戦争と復興支援
14年度の最大の出来事は、7月7日から8月26日までの50日間にわたる「ガザ戦争」(ガザ大規模侵攻、ガザ虐殺と呼ばれる場合もあります)でした。
パレスチナ・ガザ側で、死者2,205人(うち民間人1,483人)、負傷者11,099人、イスラエル側で死者71人(民間人4人:うち1人は外国人)の被害がありました。JVCは、この戦争に関する声明を公表し、要請文を各国関係者に提出しました。
もうすぐクリスマスですが、イエスが生まれたとされるパレスチナの町ベツレヘムはヨルダン川西岸地区に位置し、高さ8メートルの分離壁(隔離壁)と軍事検問所によって分断され、包囲され、違法入植地に土地を侵食され続けています。
しかし、その壁の中にも外にも、楽しみと自由を求め、恋や希望を歌うパレスチナの若者たちの姿があります。
そうした若者の姿は、日本でも、11月に来日したパレスチナのヒップホップ・グループ「DAM」(動画はこちら)や映画『自由と壁とヒップホップ』などを通じて広く知られつつあります。しかし、DAMや『自由と壁とヒップホップ』を通じて知られるようになったヒップホップ以外にも、ロックやダブなどの分野でも若いグループが登場しています。
私がガザ地区に最後に入ったのは、今から約1ヶ月前でした。その時は1週間ほど、JVCが子どもたちの栄養状態を予防・改善するための事業を実施してきたガザ市内とジャバリヤ市内を回っていました。私は、2011年に駐在を開始してからこれまでに、十数回ガザ地区に行きましたが、貧困と停電と医薬品不足と空爆で苦しむ中でも、ガザの人々はみな、見ず知らずの外国人の私を皆笑顔で歓迎してくれました。
6月30日にユダヤ人入植者3名の遺体が発見され、それへの報復としてパレスチナ人少年が拷問の末に殺された7月2日の事件に端を発し、現在パレスチナ/イスラエルの情勢は急速に悪化しています。
東エルサレムでは、シャアファートと呼ばれる一部エリアなどが現在も封鎖され、投石するパレスチナ人とそれに実弾や催涙弾で応戦するイスラエル警察・軍の衝突が続いています。これにより少なくとも6人のパレスチナ人が死亡、200人以上が負傷したと報じられています。
一方ガザ地区では、ユダヤ人誘拐事件がハマースによるものとの見方から(その証拠はいまだ公表されていません)、ガザの実質的政府であるハマースの関連施設へのイスラエルによる空爆が増加し、ガザ地区内の武装グループからの反撃も開始されました。本日7月8日、イスラエル軍はガザ地区内のパレスチナ人民家への空爆も開始しました。
パレスチナ・西岸地区でユダヤ人入植者が行方不明になった事件から今日まで、ガザ地区では3週間以上にわたり、毎晩のようにイスラエル軍による空爆が行われ、死傷者が多く出ています。私のこれまで会ってきた子どもたちの泣き叫ぶ声がすぐそこに聞こえるように感じながら、エルサレムで毎日を過ごしています。
そうした情勢の中、日本大使館から、「ガザに行くのはしばらく控えてほしい」という要請がありました。その要請は当然だと思いましたが、私はつい、「いざとなったら安倍さんが自衛隊を出して助けてくれるから大丈夫ですよ。日本政府はそういう決定をしたんですよね?」という嫌味が口から出そうになり、こらえました。