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ガザ:お母さんたちの初授業

パレスチナ現地代表 福田 直美
2012年1月 5日 更新

JVCはガザで、4箇所の幼稚園児を対象に、鉄分やビタミン、ミネラルなどが強化されたビスケットと牛乳を配布し、また衛生教育の実践も含めた事業を行っています。

貧血の原因は栄養不足ももちろんですが、昨年の調査ではアメーバ感染も原因のひとつであることがわかりました。アメーバ感染は、身の回りや食べ物の衛生がきちんと保たれていないことが原因で起こります。つまり、栄養価の高い牛乳やビスケットを食べ続けても、衛生面をしっかりできない限り、その効果は下がってしまいます。そしてその衛生面では、幼稚園での取り組みだけでなく家庭での普段の取り組みが重要になってきますが、それには母親たちの協力が必要です。

「オープン・デー」は今後も毎月開催され、子どもたちが健康的な食事をしながら、衛生・栄養について学べるような活動をあわせて行っていきます。11月、各幼稚園で母親たちを招いて初めてオープン・デーを開催した際には、母親たちに対する衛生・栄養教育が行われました。その時の母親たちの知識や参加する態度、積極性に、それぞれの幼稚園では大きな差がありました。そのため、JVCは各幼稚園と話し合い、それぞれがどんな課題を持っていてどのようにオープン・デーを通してその課題に取り組めるかについて検討しました。

ズフール幼稚園の園長先生は、「幼稚園で子どもたちが何をしているか、どうしているかをこの地域の母親たちは気にしないことが悩み」と言います。「子どもが多いから、0.5シェケル(約10円)玉を渡して子どもたちに『何かお菓子を買いなさい』という母親が多い。そうすると子どもたちは体によくないチップスを買ってしまう」そうです。また、「幼稚園は勉強をする場と信じていて、遊んだり運動したりということを望まない母親もいる」とのことでした。

一方、ザムザム幼稚園では、母親たちはとても積極的でさまざまな質問がありました。「子どもの健康に関する知識を得られる機会は他にないし、相談できる相手もいない」と言う母親もおり、「どんな活動であっても子どもたちのためなら来る」と、今後のオープン・デーにボランティアとして参加したいという声が多くありました。

お母さんボランティアによる、フェイス・ペインティング。「リンゴがいい!」「私はイチゴ!」と子どもたちのアイディアもあふれますお母さんボランティアによる、フェイス・ペインティング。「リンゴがいい!」「私はイチゴ!」と子どもたちのアイディアもあふれます

そのズフール幼稚園では、12月の2回目のオープン・デーの前に、数人の母親たちとのミーティングが実施されました。どんな活動をするか、その中で母親たちがどんな協力ができるかが話し合われ、母親たちが人形劇やフェイス・ペインティングなどを行うことになりました。人形劇は、体に良い食べ物や手洗いの重要性などについてです。話の内容を先生たちに教わり、当日は母親たちの手によって人形劇が行われました。

「ポテトチップを食べ過ぎるとお腹が痛くなるよ~」。人形劇も、お母さんボランティアたちのパフォーマンスです「ポテトチップを食べ過ぎるとお腹が痛くなるよ~」。人形劇も、お母さんボランティアたちのパフォーマンスです
衛生について子どもたちに語り聞かせる先生衛生について子どもたちに語り聞かせる先生

「人形劇をするなんて初めてだったけれども、楽しかったし、思っていたほど難しくなかった」「家でもこうやって人形劇のように話して子どもたちに教えることにするわ」と、参加した母親は嬉しそうに言いました。子どもたちも、それぞれ顔に果物などの絵を描いてもらって、嬉しそうです。ちなみに、人形劇のセットは幼稚園にあったにもかかわらず、これまでほとんど使われてこなかったものを、久々に利用しました。今回の劇のストーリーは園長先生が考えたものです。「これからも違うストーリーを作って、子どもたちを楽しませたい」を言う園長先生はとても誇らしげでした。

果物や野菜のお面をつけて、ご飯を食べる子どもたち果物や野菜のお面をつけて、ご飯を食べる子どもたち

ザムザム幼稚園では、多くのボランティア希望者がいました。12月のオープン・デーに集まったのはなんと12人。そして、母親だけでなく近所に住む女性や、前の校長先生もお手伝いに来てくれました。この幼稚園では、一緒に調理をしたり、紙芝居をする先生の横で手伝ったり、一緒に歌を歌ったり、母親たちが先生たちの横で学びながら参加する形となりました。「自分の子どもが幼稚園でどんな風にしているか、初めて知ることができた」と母親たちは言いました。さらに、この日の食事で使用したレバン(ヨーグルト・ドリンクのようなもの)は、生乳からレバンを生産している近所の女性に頼んで作ってもらったそうです。「お店で買うよりも、よりこの地域の人たちを助けることになる」と、園長先生は言います。私は、こんなアイディアを持った先生が本当に素敵だと思います。

健康的なご飯の調理も、お母さんたちが学びながら手伝いました健康的なご飯の調理も、お母さんたちが学びながら手伝いました

それぞれのアイディアがあふれた12月のオープン・デー。お母さんたちにとっては、自分たちそして子どもたちのために学ぶ、初めての授業。来月は幼稚園がどんな活動を計画するか、今から楽しみです。

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