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東エルサレム:強制退去の末に

パレスチナ現地調整員 津高 政志
2010年4月13日 更新

去年8月にお伝えした、シェイク・ジャラにある自分の住む家から強制的に立ち退きをさせられたパレスチナ人家族は今どうなっているか。今日また会いに行きました。

入植者に追い出され、道端のオリーブの木の下で暮らしていた少女は、現在ヨルダン側西岸地区のラマッラーにいる彼女の祖母の家に引き取られていました。まだ大学生の彼女はラマッラーから検問所を越えてエルサレムに入り、もう一度また違う検問所を通って大学に通っています。直線距離にして15キロにも満たない近さですが、5時半に出発して9時の授業に間に合わないこともあると言います。しかし、イスラエルが建設した分離壁のおかげで、これでもこの方法が最短で大学に行けるルートだそうです。

少女とその両親少女とその両親

最近起こった主な出来事を聞いてみました。すると、5日前、彼女の父親のもとにイスラエル当局から去年の強制退去の際にかかった費用120万円あまりを支払うよう請求が来たと言います。支払の期限はなく、そして支払わない場合は刑務所に入らなければならないそうです。もちろんそのような大金を払うことはできないと言います。いつ強制立ち退きさせられるかわからない恐怖を味わった後、今度はいつ逮捕されるかわからない恐怖が待っている。国際法で守られているパレスチナの地域で、パレスチナ人の家族を強制的に立ち退かせる上に、その費用の支払いを強制できる占領国イスラエルの力は測り知れません。

シェイク・ジャラにある入植者の家のひとつシェイク・ジャラにある入植者の家のひとつ

東エルサレムで現在起こっていることは、外の人に非常に伝わりにくいのが実情です。なぜなら、パレスチナの土地を奪うという入植行為は徐々に進むため、重大な人権の侵害が行われていても、さもそれが大きな問題ではないかのように見えてしまうからです。例えばつい最近、ここシェイク・ジャラ地区に住む2家族に強制退去命令が新たに出ましたが、メディアの関心はすぐに薄れ、無力なパレスチナ人は今回も泣き寝入りするしか道がありません。他にも、パレスチナ人に対して建築許可を出さなかったり、十分な公共サービスを提供しなかったりという、パレスチナ人にとって住みにくい環境を作る政策が、水面下でイスラエルによって実行されています。ユダヤ人によるパレスチナへの入植は、多くの場合パレスチナ人の体を傷つけずに、人間としての尊厳を奪っていきます。残念ながら、血が流れなければ大きなニュースにはなりませんが、ここ東エルサレムに住んでいると、尊厳を奪われる人間の辛さや憎しみ、悲しみを嫌というほど味わいます。

「紛争が激化する」とはよくテレビや新聞で使われる言いまわしですが、「激化する」前にこれほど長く辛い生活を強いられ、我慢の限界に近付いていく過程があるということは、実際その場所にいなければわかりません。強制退去という方法だけでなく、家屋破壊や検問所での非人間的な扱いなど、あらゆる方法で日々増えていく紛争の火種を肌で感じ、僕は背筋が寒くなることがあります。


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