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東エルサレム:強制立ち退き、そして入植

パレスチナ現地調整員 津高 政志
2009年8月29日 更新

JVCのエルサレム事務所から何分も歩かない場所に、一本のオリーブの木があります。その木の下にはパレスチナ人の家族が住んでいます。8月2日まで彼らの家だった向かい側の家には、今はユダヤ系イスラエル人の家族が住んでいます。このような状況になってから今日で28日目になりました。

住んでいるというより、ただそこにいる、というだけです住んでいるというより、ただそこにいる、というだけです

過去何度も行われ、現在も継続的に東エルサレムで行われているユダヤ系イスラエル人の入植は、ジュネーブ条約やハーグ条約などの国際人道法や、これまでの国連決議に違反しています。しかし、国内法では合法とされていて、国内裁判所の判断を盾にこのように堂々と強制立ち退きを行ってその家に住み込むか、最近海外メディアでも大きく取り上げられているように家屋を破壊して新しい家を建てるという方法で入植が進んでいます。これにより、多くのパレスチナの家族が文字通り「路頭に迷う」状態に追い込まれています。国連人道問題調整事務所(UNOCHA)が最近出したレポートでも、これらの東エルサレムで行われている強制立ち退きや家屋破壊を即刻停止し、これまで家を追われたパレスチナ人に家を返すよう勧告しています。

8月2日に立ち退きを強制された家族はハヌーン一家とガウィ一家あわせて53人(うち子ども20人)で、8月21日からラマダン(イスラム教の断食の月で、日中の飲食ができない)に入った現在、イスラム教徒である彼らは過酷な屋外生活を強いられています。隣人や親せきからシャワーを借りたり、時にかくまってもらったりしながら生活しているそうです。

「ここに住むイスラエルの人たちはみんな銃を持っているの。でも銃を持たなきゃいけないぐらい私たちが怖かったら、家を乗っ取ったりしなければいいのに」とオリーブの木の下に住む少女は言います。

おととい、ノーベル平和賞受賞者である南アフリカのトゥトゥ大司教やアメリカのカーター元大統領などがここを訪れたといいます。「何を話したの?」と聞くと、「私たちはあなたたちの味方で、いつかこんな状態じゃなくなるように願ってる、って言ってくれたわ」と言っていました。

1949年にイスラエルとパレスチナを分割した時にできた「停戦ライン」というものがまがりなりにも存在するエルサレムで、それを全く無視してじわじわと進む入植の実態。イスラエル人が支配する地域はゆっくりと広がり続け、パレスチナ人の暮らしは悪化の一途をたどっています。いつ過熱して新たな紛争の火種になるかもしれないこの問題を、現地に事務所を置く数少ない日本のNGOとしてしっかりとモニターし、日本社会に発信していかなければと思います。

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