7月23日に現地入りし、エルサレム事務所で働き始めました津高政志です。パレスチナから新鮮な情報をお届けします。
今日はエルサレムとヨルダン川西岸の現在の状況を知るため、パレスチナ問題を理解するためのツアーに出かけました。道先案内人は、初めからこの地域を回る意義について熱く語っていました。【地図が掲載されているページはこちら】
国道1号線を北へ。昔オリーブ畑だった場所に50年前からイスラエル人が住み始め、今では東エルサレムに住むユダヤ人入植者は32000人を超えると言われています。右手に、壁に分断されたシュアファットと呼ばれる街が見えてきます。エルサレム市内にある唯一の難民キャンプであるシュアファット難民キャンプと隣町のアナタには55000人のパレスチナ人が住んでいますが、検問所が一つしかなく、出入りは制限されています。
シュアファットの難民たちはもともと、エルサレム旧市街内にある、現在嘆きの壁と岩のドームがカメラにきちんと収まる観光スポットになっている場所に本来は住んでいました。キャンプの中には入りませんでしたが、人口の過密、高い失業率、教育などの社会サービスの不足など、惨憺たる状況下にあるそうです。
2000年にできたカランディア検問所からヨルダン川西岸地区へ。車のナンバープレートの色で、イスラエル人・東エルサレムに住むパレスチナ人(黄色)か、または西岸に住むパレスチナ人(緑色)かがわかるようになっています。毎日8000人のパレスチナ人が出稼ぎなどのためにここを通るといいます。これまでここを通過できずに胎児を亡くした妊婦の方が14人いたといいます。「なぜ」という疑問は直面する現実には効果がなく、僕の腹の中に重いものが圧し掛かるだけです。
JVCのエルサレム事務所からほど近いところにあるシェイク・ジャラ。ここは強制的に家を追い出されて「難民」となったパレスチナの人と、土地所有権を主張するイスラエル人入植者とのいざこざが絶えません。住んでいた家を入植者に追い出され、空き地にテントを張って生活している人もいます。難民がさらに住む場所を失うという「再難民化」を防ぐため、外国人がパレスチナ人と一緒に住んで入植を阻止するということも行われています。空き地の周りにはユダヤ教の正装をした男たちが様子を窺いながら歩き回り、異様な雰囲気が漂います。

そのすぐ近くの家に人が集まり始めました。よく観察してみると、押し入って住みついたユダヤ人の入植を一旦差し止めるレターが裁判所から届き、アラブ人が権利を主張する傍ら「入植者を守るために」出動した警察当局と住民がもめています。

そのあとに国連人道問題調整事務所(UNOCHA)が出したレポートを読むと、そこに住む2家族には急きょ差し止めがかかったものの、その家族を含む51人のパレスチナ人の住居はイスラエルに帰属するという判決が裁判所で出ているそうです。差し止めの失効は8月10日。現在行われている入植地の拡大に関しては、国際社会からも批判の声が多くあります。しかし、国際機関も多くある東エルサレムの一角に、国際社会の声が届かないという異常さ。
こんな喧噪がそこここで渦巻くパレスチナで、これから僕は活動していくことになります。
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