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「『東京都オリンピック・パラリンピック教育 』で提示されているイスラエルとパレスチナの資料の問題について~問題点の指摘と質問~」への賛同

2021年8月 4日 更新

東京都教育委員会がオリンピック・パラリンピックについて児童生徒向けの教育コンテンツとして用意したウェブページに「イスラエルの首都はエルサレム」と記載されている問題について、パレスチナに携わる方々が呼びかけ人となり、以下の通り東京都教育委員会および東京都教育庁に対し、公開質問書を提出しました。これに対し、長年現地でパレスチナ人向けに支援活動をしてきたNGOとしてJVCも賛同することといたしました。

~質問状本文からの抜粋~
イスラエル政府は1980年にエルサレムを恒久首都と定める「基本法」(憲法に匹敵)を制定しました。しかしこれは1967年の第三次中東戦争で東エルサレムを占領し、さらに併合したうえで首都としたものであり、占領地の併合は明確な国際法違反です。1947年の国連総会決議は、エルサレムを「国際管理地区」に指定しました。その後1967年の第三次中東戦争に際し、国連は、停戦後、イスラエルに占領地からの撤退を要求する安保理決議242号を採択し、それを今日もなお維持しており、それに基づいて日本政府もエルサレムを首都と認めておりません。また 1993年の「オスロ合意」は、エルサレムの地位をイスラエルとPLOの交渉事項としています。

こういった現状があり、かつ日本政府も認めていない認識を日本の子どもたちに拡げるような掲載は、一刻も早く取り下げてもらいたく、賛同に至りました。質問状の全文は以下の通りです。

ダウンロードできるデータ
「東京都オリンピック・パラリンピック教育 」で提示されているイスラエルとパレスチナの資料の問題について~問題点の指摘と質問~

「東京都オリンピック・パラリンピック教育 」で提示されているイスラエルとパレスチナの資料の問題について~問題点の指摘と質問~

2021年7月28日

東京都教育委員会 教育長 藤田 裕司 殿
教育委員 遠藤 勝裕 殿
山口 香 殿
秋山 千枝子 殿
北村 友人 殿
新井 紀子 殿

東京都教育庁 指導部 指導企画課 オリンピック・パラリンピック教育担当者殿 鵜飼 哲(一橋大学名誉教授)
臼杵 陽(日本女子大学教授)
岡 真理(京都大学教授)
栗田 禎子(千葉大学教授)
黒木 英充(東京外国語大学教授)
小寺 隆幸(元東京都教員、元京都橘大学教授)
酒井 啓子(千葉大学教授)
高橋 美香(写真家)
長澤 栄治(東京大学名誉教授)
奈良本 英佑(法政大学名誉教授)
嶺崎 寛子(成蹊大学准教授)

様々な意見がある中でオリンピックが始まりました。これに向けて東京都教育委員会(以下、都教委とします)は、「東京都オリンピック・パラリンピック教育」実施方針(平成28 年1月)を策定し、都教委傘下のすべての学校に「オリンピック・パラリンピック教育」の実施を指示し、各校で取り組んできました。

https://www.o.p.edu.metro.tokyo.jp/opedu/static/page/admin-school/pdf/20q1e202.pdf

都教委の「オリンピック・パラリンピック教育」についても様々な意見がありますが、この取り組みの目標の(4)として、「多様性を尊重し、共生社会の実現や国際社会の平和と発展に貢献できる人間」の育成が掲げられています。

ところが、東京都教育委員会のホームページに設けられている「オリンピック・パラリンピック 教育」のサイトの「児童 ・生徒向けコンテンツ~大会予定参加国 ・地域情報 」では、「ヨーロッパ|イスラエル国」という表題の下に「首都 エルサレム」と何の注釈もなく記されています。

https://www.o.p.edu.metro.tokyo.jp/children-student/watch-learn/europe/israel

なお資料1に示すように、「注2」が最後に付されていますが、何に対する注なのかどこにも書かれていません。外務省のホームページの記述 (資料 3)と対応させると首都エルサレムに(注1)をつけ忘れたと考えられますが、ミスで済む話ではありません。この数年間、「オリンピッ ク・パラリンピック教育」でこのサイトを見た子どもたちは、エルサレムがイスラエルの首都であるという国際的には認められておらず、日本政府・外務省も認めていない虚偽の事実を教えられていることになります。(※追記)

イスラエル政府は1980 年にエルサレムを恒久首都と定める「基本法」(憲法に匹敵)を制定 しました。しかしこれは1967 年の第三次中東戦争で東エルサレムを占領し、さらに併合したうえで首都としたものであり、占領地の併合は明確な国際法違反です。1947年の国連総会決議は、エルサレムを「国際管理地区」に指定しました。その後1967年の第三次中東戦争に際し、国連は、停戦後、イスラエルに占領地からの撤退を要求する安保理決議242号を採択し、それを今日もなお維持しており、それに基づいて日本政府もエルサレムを首都と認めておりません。また1993年の「オスロ合意」は、エルサレムの地位をイスラエルとPLOの交渉事項としています。

現在、イスラエルと国交のある国のほとんどはテルアビブに大使館を置いており、エルサレムに大使館があるのは、アメリカ合衆国(トランプ政権の2018年5月以来)、グアテマラ、コソボ、ホンジュラスの4か国に限られます。パラグアイはいったんエルサレムに移したものの、新大統領の選出後直ちにテルアビブに戻しました。エルサレムをイスラエルの首都と認めることは、国際法と国連安保理決議、さらにはそれらを支える国際社会の圧倒的な合意に反する行為なのです。

イスラエルの一方的主張をそのまま教えることは、戦争による占領地の武力併合を容認することになり、国際法、そして日本国憲法の精神にも反するものです。

一方上記の「児童・生徒向けコンテンツ~大会予定参加国 ・地域情報」では「アジア|パレスチナ」という表題の下に「首都ラマッラ(西岸地区)」とやはり注釈なく記されています。

https://www.o.p.edu.metro.tokyo.jp/children-student/watch-learn/asian/palestine

しかし、パレスチナ自治政府は基本法でエルサレムを首都と定めていますが、現在はイスラエルが東エルサレムを占領しているため、パレスチナ自治政府はラマッラにおかれています。日本政府は「エルサレムの最終的地位については,将来の二国家の首都となることを前提に,交渉により決定されるべきである」としています。
(外務省「中東和平についての日本の立場」令和2年3月17日 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/middleeast/tachiba.html

国際法で認められていないイスラエル政府の主張はそのまま認めてエルサレムを首都と教え、一方、パレスチナ自治政府の主張は認めず、日本政府・外務省の立場とも異なってラマッラを首都と教えるということは、公正性と論理的整合性に欠けています。「注2」をつけ忘れた単純ミスである、また、本来「自治政府所在地」とすべきところを「首都」と教えるのも単純ミスである、あるいは子どもにわかるように教育的配慮をしたものである、として済む問題ではありません。子どもたちが間違った事実を教えられたという厳然たる結果に都教委は責任を持たねばなりません。

コロナ禍でのオリンピックの在り方に世界の目が注がれ、とりわけ東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会自体の人権意識が厳しく問われている今、この問題についても、開催都市の教育委員会として早急に見解を明らかにし、必要な措置を取る必要があると私たちは考えます。「共生社会の実現と国際社会の平和と発展に貢献する」人間を育てる教育委員会として、誠実な対応を取ることで、国際社会の信頼に応えていただきたいと思います。
(※追記)7月27日に「首都 エルサレム(注 2)」と、注2が突然書き加えられているのを確認しました。

《都教委への質問》

  1. 外務省見解に反し、都教委がエルサレムを注釈抜きにイスラエルの首都と数年間明記してきた事実について都教委の見解を明らかにしてください。たとえ「注」の付け忘れという単純ミスであったとしても、外務省見解とも国際社会の圧倒的多数の合意とも反する内容が長期にわたって掲げられていたわけですから、その原因を究明し、誤りを是正する措置(とりわけすべての学校・全教職員への告知)をどのように行うのか、お示しください。
  2. パレスチナの首都をラマッラと書くことも、パレスチナ自治政府の考えとも日本外務省の見 解(資料3)とも反しています。①と同様、早急に是正することを求めます。どのような是正措置をとるのかお知らせください。
  3. イスラエルを代表する風景として、イスラエルが併合した東エルサレムにある「岩のドーム」の写真を掲げています。(資料1)この空間にたいしてイスラエル政府が警察権を行使し、軍事的に支配していることは現実ですが、しかしこれを東京都が公式に「イスラエルである」 と認めるならば、エルサレムをメッカ、メディナに次ぐ第3の聖地とする全世界のイスラム教徒16 億人から強烈な抗議が寄せられるでしょう。イスラエルの風景としては適切ではなく削除すべきだと思いますが、見解をお聞かせください。
  4. オリンピック・パラリンピックは国際的行事であり、それに関連する東京都のオリンピック・パラリンピック教育にも国内外の関心が集まっています。私たちは上述した問題について、 都教委は、オリンピック・パラリンピック開催都市の責任において、訂正あるいは見解を社 会的・国際的に公表する責任があると思いますが、いかがお考えでしょうか。

オリンピック期間中、しかもなるべく早い時期に都教委が誠意ある姿勢を示すことを求めます。回答を8月3日までに下記へメールあるいは FAXで送っていただくようお願いします。なおこの質問と回答については、国内外のメディア、及び関係諸機関に公表させていただくことを申し添えます。

回答送付先 別記

この申し入れ及び公開質問に対する賛同 (2021年7月27日現在)
賛同団体 日本国際ボランティアセンター(JVC)
個人賛同 219 名 別紙参照

資料1、2、3については下記PDFをご参照ください。

★「東京都オリンピック・パラリンピック教育」で提示されているイスラエルとパレスチナの資料の問題について.pdf