\n"; ?> JVC - 配信レポート/堀潤さん「8bitNews」月刊JVC #3「南スーダン 帰る場所を失った人びと」 - 東京事務所スタッフ日記

配信レポート/堀潤さん「8bitNews」
月刊JVC #3「南スーダン 帰る場所を失った人びと」

2022年3月 4日 更新

JVCインターン生の阿見美乃です!今日は、2022年1月27日に堀潤さんが運営されるYouTubeチャンネル8bitNewsにて配信された、月刊JVC #3「配信レポート/堀潤さん「8bitNews」についてお伝えしていきたいと思います。いつも乃木坂スタジオにいるJVC代表理事今井は、南スーダンでの今後の活動に向け情報収集のため、現地に渡航し、スーダン・ハルツーム市内からの配信となりました。2007年から長年に渡り南スーダンに直接関わってきたJVC今井が視聴者の方から寄せられる質問にも答えながら、現地の置かれる状況・問題について語りました。視聴者の方も、いつもの乃木坂スタジオではなく、実際にスーダン現地にいるJVC代表理事今井に興味津々なご様子でした!

自衛隊のPKOの問題で、南スーダンは日本国内でもかなり報道されていました。そのことで、南スーダンという国を覚えている方もいらっしゃると思います。その問題以後、日本国内では南スーダンの報道はほとんどされなくなりましたが、一方で内戦が以前と比べ落ち着いている現在、南スーダンでは帰る場所を失った人びとが再び増えています。

月刊JVC #3の配信はこちらから>>https://www.youtube.com/watch?v=ER4A5a_2vYY

【中継】スーダンの現地の様子

まず初めに、JVC今井が、スーダン・ハルツーム市内にある宿舎から中継を繋ぎ、現地の様子をお伝えしました。
JVC今井の後ろに映り込む場所では、一昨日の夜、昨日の夜にもデモが行われています(配信時)。デモが行われた時には宿舎にまで音が響き、街には抗議のためタイヤを燃やした跡があちこちに残っています。一方日中は、比較的落ち着いた状況が続いています。

混沌としたスーダン情勢

ここからは、1/6に南スーダン入りした現地駐在員橋口も加わり、現地の置かれた状況をお伝えしました。
JVCのマンスリーサポーターとして現地報告書を読んだことがきっかけで入職。今回の南スーダン入りは、自身にとって初めてのアフリカ渡航となります。

首相の軟禁・軍部のクーデターが起こるなど混乱したスーダン情勢。その後、11/21に軍部と同意し首相が復職。しかし市民による抗議活動が続き、1/2に首相が辞任しました。
抗議活動が続くスーダンでは、市民と軍部の対立が強まっています。

治安部隊の弾圧により、直前に行われたデモでも3人の方が亡くなっています。
そのうちの1名の方が、JVC宿舎近く出身の方で周辺地域では、特に抗議活動が積極的に行われているようです。現地での活動として、国連機関やNGOへ向かう際に遠回りや歩いて帰らざるを得ないということもあり、活動にも支障が出ているそうです。

去年から長い間政治的混乱が起こっているスーダン。どういった方向で市民と軍部が折り合いをつけ混乱が終わりに向かうのか、今後の動向を注視していかなければなりません。

スーダンについて特集した月刊JVC#1のYoutubeはこちらから
https://www.youtube.com/watch?v=ygQwEy8e02Q

【2022年1月12日更新】
スーダン:現地の情勢とJVCの活動、発信について《随時更新中》
https://www.ngo-jvc.com/jp/notice/2022/01/jvc-9.html

今、南スーダンでは何が起きているのか

日本では、南スーダン内戦下における2016年の自衛隊のPKO(国連平和維持活動)任務が問題となりました。自衛隊が撤退し、大きな戦闘が収まったその後、日本国内では南スーダンについて報道されなくなっていきました。
しかし、大きな戦闘がない今、帰る場所を失った人びとが再び増えています。なぜなのでしょうか?

南スーダンの過去

南スーダンは2011年にスーダンから分離独立した新しい国家です。日本は自衛隊をPKOに派遣。
2013年に内戦に突入、その後、一時は和平の機運が高まりましたが、2016年に大統領派と副大統領派が対立し戦闘状態に。自衛隊宿営地の頭越しにも銃撃戦が行われました。日本政府は日報の「戦闘」を「衝突」と言い換え、これは国際的紛争ではないのでPKO参加五原則に触れないとし、議論が紛糾しました。
その後2018年に和平合意。対立していたグループが集まって暫定政権が成立しました。
当時、JVCは内戦による避難民の方に緊急支援を行っていました。

(当時の議論されていた問題について:
https://www.ngo-jvc.com/jp/tokyostaffdiary/2016/07/20160721-pko.html)

(当時のJVCの活動:
https://www.ngo-jvc.com/jp/projects/southsudan-diary/2017/05/20170530-jvc.html

南スーダン現地の様子

JVCは今年1月に現地入りし、今後の活動に向けた現地調査を行いました。

ジュバは、南スーダンの首都でナイル川の中流に位置します。ジュバでは、穏やかで活気のある状況が続いています。

フリーダム・ブリッジ(2022年完成予定)フリーダム・ブリッジ(2022年完成予定)

ナイル川の橋は日本政府の援助により建設中。南スーダンは、国内をナイル川が二分しているにもかかわらず、橋はジュバにかかる「仮設橋」のような1本のみ。その近くに新しい橋が建設されています。

街の様子(動画)街の様子(動画)

南スーダン最大の市場の様子。内戦時の影響から、街中では撮影が制限されている南スーダン。JVC今井の胸ポケットに入れたスマホから撮影されている様子です。国連の車も止まっているのも見受けられます。露天の床屋、小型の三輪自動車がたくさん走っており、活気のある様子が見られます。

堀潤さん「あんまりコロナという感じがしませんね。」

JVC今井「そうですね。NGOとか銀行などそういったところに行く際はマスクをしますが、街の中でマスクをつけている人はほぼいないですね。」

国内では戦争のニュースばかりで、コロナ報道があまりないそう。

南スーダンの避難民

一方で、南スーダンは3人に1人が避難生活を送らなければならない状況が続いています。

写真の青い丸は国内で避難している人々を示したもので、灰色の丸は国外で避難している(=難民)を表しています。その数の合計は430万人にも上り、しばらく横ばいだったものの直近だとその数は右肩上がりとなっています。

避難キャンプの様子(動画)

JVCは、現地NGOの方の案内をもとにジュバの郊外の避難民キャンプに伺いました。

地元の方の話では、
2019年には、NGOにより食料配布が行われたものの1年ほどで、資金が尽き、多くは撤退してしまったとのこと。今現在もNGOは幾つか活動を行なっていて、中には学校運営などはやっているNGOがあるそうですが、大きな支援は入っていないそうです。現在はNGOの支援を受け、避難民の中の女性のグループが、小さなビジネスを地道にやっていて貯金をしているそうです。

この話を聞いて、話題に上がることで支援が集まる一方で、緊急支援にとどまり、継続的な支援が難しい現実が見えてきました。だからこそ、避難民の方の小さなビジネスのように「モノを与える」にとどまらない支援の重要性を感じました。

JVC職員がキャンプの中にいると子どもたちが集まってきます。ダンスをする子どもたち可愛いですね〜。ですが、ぬかるんだ道でさらにゴミが散乱している中、子どもたちは、素足で歩いています。

JVC橋口 「ゴミが敷き詰まっている感じです。」

避難キャンプの衛生環境は非常に悪い状態が続いているようです。教育に関しては、避難民キャンプ内に学校があり、現地のNGOが運営したり、元々難民だった方が教員をしており、学校に通っている子どももいます。

自分の土地、家が占拠されている

現地NGOに尋ねると、土地の収奪の問題には、
紛争により移動を強いられた人が住む場所や家畜のためへの場所を求めて、発展の著しい都市への人口流入、地方での洪水などに原因があるとのことでした。また、ビジネスのための開発目的での土地の収奪も多いそうです。

現地の方は、
「帰る家がない
自分の村が、村ごと略奪された。
家の屋根も何もかも持っていかれた。
家も残っておらず、家畜を連れた人々に畑を荒らされた」
と伝えてくれました。

※家の屋根が持っていかれるという感覚は、あまり日本人には馴染みがありませんが、窓枠や、屋根のトタンなどは、持っていかれて売却されてしまうそうです。

追い出されることに怯える避難キャンプの人々

家を失い、避難してきた人々。しかしこのキャンプでさえ、追い出されかねないと言います。

現地の人の話では、今一番困っているのは、
一つは食べ物に困っているということ、
二つは、追い出されそうだということです。

上の写真のように避難キャンプの中には、レンガのようなモノで作られた塀の土台が見えます。これは、この土地の持ち主により作られているそうです。土地の持ち主は、開発を勝手に始めて避難キャンプで暮らす人々に出ていくよう伝えています。避難キャンプで暮らす人々は、今日にも明日にも追い出されるかもしれないと恐れています。

政府と地主により取り決めがあるはずですが、発展を続ける首都ジュバで土地を避難キャンプにしているのはもったいないという理由で、一方的に開発が進んでいるそうです。

堀潤さん「正当な土地の持ち主なのですか?」

JVC今井「この場所に問わず、ジュバの郊外の土地というのは、発展する中で明確な権利書などがあるわけではなく様々なコネや汚職などを使って土地の所有書を作ってしまっている人もいます。」

土地問題を解決しようとする現地NGO

○土地を取ってしまった人と取られてしまった人の間の問題の解決するために、
権利書などをもとに司法による解決を図る方法や、チーフと呼ばれる地域のリーダー同士の話し合いなど慣習法をもとに解決を図る支援を行っているそうです。

○土地についての権利を啓発
南スーダンでも土地に関する法律があるので、オートバイに拡声器をつけて、それを啓発する活動が行なわれています。

○大規模な土地の収奪によるものは、地方行政や軍と交渉するNGOがいたりなど、対話を実施しているそうです。

難民支援や緊急支援だけではなく、人びとが帰還するための恒久的解決が重要にもかかわらず、恒久的解決に向けた支援はまだまだ少ないそうです。

ビジネス目的の開発の問題点は他にも...

○金鉱山の土地収奪
金の原産地としても知られる南スーダン。政府から企業が採掘権をとり土地収奪の原因の一つになっています。写真の村は金鉱に近く、武装勢力に襲撃されました。鉱山周辺の支配を巡る武装勢力の争いも起きています。企業が採掘する場合には、軍や政府高官のファミリー企業であることが多く、お金は軍・政府の一部に流れていきます。ここで採れた金は中東の市場などを通じて先進国にも流通していきます。

堀潤さん「自由主義各国は絶対買っちゃいけないし、止めるためにどうするかという知恵を働かさなければならない。」

○石油による環境破壊
中国、マレーシアなどの企業の石油掘削により深刻な環境破壊も問題になっています。

石油施設から出る有害物質が土壌を汚染。洪水があった際には、何百キロもの土壌や環境を汚染し、家畜や野生動物が暮らせなくなったそうです。汚染された地域では、奇形児や流産のケースが増え、深刻な問題になっています。

JVC今井「南スーダンとの付き合いが長いながら、ここまでこの問題が深刻という認識はなかった。今回色んな人から話を聞いて、その重要性を認識しました。」

石油により汚染された土壌、そして繰り返される土地収奪

こちらは昨年の5月の映像で、石油採掘会社が、石油が漏れ出したパイプラインを修理する際に撮影された動画です。
映像を見てみると、黒々しい水があたり一面に広がっているのがわかります。

JVC今井「2m、かなり深いところまで汚染されている。」
堀潤さん「土壌そのものが、非常に深刻に汚染されている状況だということですね。」

空気も汚染され、臭いもきつい環境になっています。
こうしてまた、汚染されてしまった土地から人々が移動し、土地の問題を引き起こしています。

南スーダンでの今後の活動は

JVCでは現在、南スーダンでの新規事業の立案を進めています。土地収奪や資源採掘が引き起こす問題に向き合い、そこで何ができるのかを長期的に考えて、アドボカシー(政策提言)の活動をしようと考えています。
アドボカシーだけではなく、今現在、日々の生活がままならない方もいるので、具体的な支援で直接的に生活を支えることも含めて、現地の方と歩調を合わせながら国際社会に問題を発信していこうと考えています。
南スーダンで、緊急支援が入り続けた中で見過ごされがちな土地や環境の問題。JVCではそういった面に関心を払いながら、活動を行なっていきます。

今回お話を聞いて

ジュバの穏やかな光景の裏側にある、家を失った人たちの営みに驚かされました。現地に行ってみないとわからないことは、コロナ禍であっても変わりありません。コロナの影響で、国内の動向に目がうつりがちですが、国際協力や困っている人々への支援は一時停止することはできず、どのようにしたら関わっていけるのか考えさせられました。

また、今回伺った避難キャンプでは、緊急支援は一時的なもので、NGOの支援により実現した小さなビジネスによる収入が頼りだというお話があったかと思います。持続的かつ、自立が実現できるような支援の重要性を改めて認識しました。世界で一番新しい国・南スーダンを支えるために緊急支援やモノを与える支援にとどまらず、継続的な自立的支援を考えなければなりません。

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