\n"; ?> JVC - 日本国内の有機農業運動の実践を学ぶ 2017年度交流プログラム その2 - 農村からの風便り ~日本・タイ~

日本国内の有機農業運動の実践を学ぶ 2017年度交流プログラム その2

タイ事業担当 下田 寛典
2018年12月26日 更新
タイで行われているCity Farmの活動 ~屋上菜園~タイで行われているCity Farmの活動 ~屋上菜園~

二つ目に掲げていた目的は、市民農園の運営方針とそれに参加する利用者の意識の違いについて知ること。今回、3つ(自給農園ミルパ、八街ふれ愛オーガニックファーム、生活クラブ農園・あきる野)の市民農園を訪問することができた。

タイのバンコクを中心とした都市菜園活動(City Farmと呼ぶ)は現在、多様な形で広がっている。街に住む人が個人の場所で行なう家庭菜園、グループ菜園、学校や病院の敷地内、貧困層が住む地域で小規模に行なう菜園などである。

この背景には2011年のタイ中部での洪水被害がある。当時、洪水により都市の交通機関が麻痺し一時的に食料供給が滞り、お金があっても食料が手に入らない事態が生じた。他にも、現在の食生活から健康被害が増えていることもCity Farmが広がる背景に挙げられる。

タイで行われているCity Farmの活動 ~病院の菜園~タイで行われているCity Farmの活動 ~病院の菜園~

多様な形態で展開する一方で、日本のように区画を貸し出す市民農園はタイにはまだない。今回3つの違ったスタイルの市民農園を訪問し、タイの状況と比較した結果、今後タイのCity Farmに取り入れたい点を以下の通り明らかにした。

1.生活クラブの農業体験農園(生活クラブ農園・あきる野)では、新規就農者の若者(小澤揚徳さん)が「農場長」として活躍していた。新規就農者の独立の一つの方法として、新規就農者が市民農園の指導者となるなど、都市農業を持続させるための手段としても活用できる。

農園長の小澤さん農園長の小澤さん

2.自給農園ミルパ:ミルパでは市民農園の運営側が会員の圃場の世話(草取りや施肥など)はしない方針を貫いている。会員が圃場に来られない間に草が生い茂って野菜がとれなかったとしても、それこそが「自然」であるというメッセージを会員に伝えるために、そのアプローチを採用している。都市生活者が食を生産することの楽しさだけではなく、大変さや自然環境について学ぶ場になっている。

自給農園ミルパ自給農園ミルパ

3.八街ふれ愛オーガニックファームでは毎月イベント開催することによって、農園と会員の繋がりをつくる場所になっている。そうしたイベント開催はタイでも取り入れられる可能性はある、また企業や法人が会員となるなど、市民農園を企業のCSR活動としてアピール手段にもなり得る。

八街ふれ愛オーガニックファーム八街ふれ愛オーガニックファーム

三つ目の目的「食とエネルギーの自給を取り入れた地域循環社会を学ぶ」については、次のブログで紹介します。

本事業は国際交流基金アジアセンターの助成を受けて実施しました。