\n"; ?> JVC - タイ若手NGOスタッフが学ぶ日本国内の有機農業運動の実践 その4 - 農村からの風便り ~日本・タイ~

タイ若手NGOスタッフが学ぶ日本国内の有機農業運動の実践 その4

タイ事業担当 下田 寛典
2017年9月21日 更新

11月14日

堆肥加工場にて。市民ガイドから堆肥になるまでのプロセスを説明していただきました堆肥加工場にて。市民ガイドから堆肥になるまでのプロセスを説明していただきました

千葉県から場所を移して山形県長井市に移動してきました。ここでは、市民が行政を動かして実現した「レインボープラン」を見学しました。長井市では家庭から出る生ゴミを回収し堆肥化、その堆肥を畑に戻し、食べ物を生産するという地域循環型の取組みが行われています。これがレインボープランです。レインボープランには2つの循環があります。一つは土から借りたものを土に還すという物質的な循環。そしてもう一つは、町と村の人々の循環、つまり生産者と消費者が手を携える関係としての循環です。
見学では実際に堆肥にする工場にも訪れ、市民ガイドの方から回収された生ごみがどのような過程を通じて堆肥になるのかについて説明していただきました。

11月15日

菅野芳秀さんのお話。タイの若手NGOスタッフたちも食い入るように聞いていました菅野芳秀さんのお話。タイの若手NGOスタッフたちも食い入るように聞いていました

午前中は、レインボープランの仕掛け人と言ってもいい百姓、菅野芳秀さんからお話を伺いました。「砂地では作物は育たない。けれども土では作物が育つ。土というのはこれまで生きてきた命の遺体の集合体なんだ。我々は命のバトンを受け取っている。だから命の循環を断つような人間の勝手なやり方を放ってはおけない。土と人間の命の関係を考えて付き合っていかなくてはいけない」とタイ人の若手NGOスタッフに訴えかけました。また、有機農業の普及を進めるNGOについても、「地域の中でごく少数の徹底した有機農業の実践者を応援したとしても社会全体から見れば、それは点でしかない。『無農薬・有機でやりましょう』というメッセージは良いけれども、皆、農業をして生きている。すぐに無農薬に転換するわけにもいかない個々の事情がある。だから、地域全体で農薬や化学肥料を減らしていくにはどうしたらいいのかを考えないといけない。真っ黒だったものが濃いグレーになり、やがて薄いグレーに、そして、それをどれだけ白に近づけていけるのか。NGO活動や運動で社会を変えるというのは、そうした努力の積み重ねではないか」と問い掛けました。
午後は、隣町の白鷹町に場所を移し加工グループ「しらたかノラの会」を訪問。加工グループの成立ちと共に、商品開発についてもお話しいただきました。「商品のコンセプトは私たちメンバーが母親として自分の子どもに食べさせたいものをつくろう、ということ。でも、とにかく加工品が出来るようなものはひとまずすべてやってきました。そこから消費者に受け入れられる商品が自然と残ってきた。それが今の50種類くらいの商品たちです」とメンバーの一人、疋田さんは言います。タイの若手NGOスタッフからは、「『母親が子供たちに食べさせたいもの』という考えに共感した。グループとして活動するという意味でも、収入向上という意味でもとても勉強になった」という学びの声が聞かれました。

しらたかノラの会の加工場にて。商品説明と商品コンセプトを説明するメンバーのひとり疋田さんしらたかノラの会の加工場にて。商品説明と商品コンセプトを説明するメンバーのひとり疋田さん