1月のある日。JVCがアメリカのNGO「ANERA」と共同で、幼稚園児に貧血予防のための鉄分強化牛乳とビスケットを配布している幼稚園の1つを訪問しました。この幼稚園では、先生たちと母親たちに対して、貧血に関する講習が行われていました。
この事業はガザの幼稚園児約18,000人を対象としています。2010年10月、新学年度が始まり幼稚園児に牛乳とビスケットが配布され始めた時、そのうち823人の園児のヘモグロビン値検査が行われました。その結果、186人が貧血状態であるという結果が出ました。この日集まっていたのは、貧血と診断された子どもたちの母親と幼稚園の先生たち。医師から貧血の原因や症状、予防法などのついての講習を受けました。母親たちは、実際に貧血であると診断された自分の子どものことでもあるため、皆真剣なまなざしで医師の話に聞き入っていました。例えば、「食後の紅茶」は、鉄分の吸収を妨げてしまいます。このため、通常食後1時間以上は紅茶を飲まないように、また子どもたちには特に頻繁に紅茶を飲ませないように気をつけなければなりません。また鉄分の多い食品や、紅茶以外にも鉄分の吸収を妨げる食品、食べ合わせなどについても学びました。
そして、子どもたちを貧血から守るためにもうひとつ大切なのが、「衛生」です。子どもたちの貧血を引き起こしている原因について調べたところ、貧血状態にある子どもたちの3割が、寄生虫細菌を持っていることがわかりました。この事業の担当者は「これは主に、衛生状態が原因。食べる前やトイレの後に手を洗わなかったり、家の中が不衛生だったり、野菜などをよく洗わないことも原因になる」と言います。これも、お母さんたちが少し気をつけるだけで改善できることです。担当者は講習の最後に、「お母さんたちが常に手を洗っていれば、子どもたちも真似するでしょう。まずはお母さんたちが実行するのが大切です」とお母さんたちに伝えました。
ガザの国連機関で勤めている知人曰く、「国連が支援している小学校で学習能力が著しく低い子どもたちを集めて、その原因を健康、生活状況、精神的ストレスなど色々な面から調査したの。そうしたら、一番顕著に現れた学習能力を低める『原因』が、貧血にあることがわかった」と言います。貧血状態にある子どもたちは、集中力が低くなる傾向があるのだそうです。特に中度〜重度の貧血の子どもたちには、鉄剤の摂取などによる治療が必要です。今回の検査で中度〜重度の貧血と診断された子どもたちはこの後、保健省や国連機関の運営する診療所にて無料で貧血の治療を受けることになっています。これからも元気に遊び、勉強をしていくためにも、まずは子どもたちが一日も早く貧血状態から回復することを願っています。
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