今日はガザ北部にあるウム・アル・ナセルという村で家庭訪問を行いました。この村にはJVCが栄養強化ミルクとビスケットを配っている幼稚園があり、その幼稚園に通う子どもたちとその家族の栄養状態をもっと改善するために、小規模の養鶏事業を始めようと計画しているのです(このプロジェクトのきっかけとなったエピソードはこちら)。

幼稚園でボランティアをしているファリッドさんに道先案内をしてもらい、事業の参加候補になった何軒かの家庭にお邪魔します。といっても僕は男なので、家庭の奥には入らず、大抵お父さんや長男と一緒に、砂地にマットレスを敷いただけの応接間で歓談する、ということになります。家の奥やキッチンの様子などは女性の福田(現地代表)がお母さんと一緒に回って聞き取りを行います。
「この家では鶏もう何羽か飼ってるみたいだけど、世話とかするの?」とファリッドさんに通訳をしてもらいながら長男に聞いてみます。
「ううん」無口な長男は言います。
「いつも世話してるのは誰?」
「お母さん」
「と言うことは鶏の世話の仕方は全然わからない?」
「うん、わからない」
ファリッドさんによると、「女性のやる仕事について男性はまったく手を出さないのがこの村さ」とのことです。
「知ってる?日本では料理は大抵母親がするんだけど、食べた後の後片付けは子どもがやるんだ。男女お構いなく」少なくとも僕の家ではそうでした。
「へえ。違うな。面白いな」長男もファリッドさんも「そんな感じなのかぁ」というような表情です。
家庭から家庭まで歩く途中にもファリッドさんと話がはずみます。
「日本では牛を飼ってるとお金持なの?」
うーん、高級車とかを持ってたら確実に金持ちだけれども…。
「あんまり牛飼ってる人見たことないけど、飼っててもお金持ってわけじゃないと思う」
「この村では牛を持ってても全然お金持じゃないんだ。むしろ他の人よりも貧しいくらい」と、彼はそれがここの特徴であるかのような言い方をします。もっと聞いてみると、彼が言いたいのは、牛を飼うとなるとかなりのエサが必要になり、かつそこまでお金になるものを生み出してくれないということらしいです。ここには牛のえさになるようなものもなく、そして牛に耕させる農地もありません。ただ乾いた黄色い砂地と、大きな汚水溜めがあるくらいです。(ガザ封鎖により下水設備を修復できないことで、この汚水溜めが村に与えている影響に関してはこちら)
ガザ北部の村の事情と日本の都会の事情を語り合う、こんな空間が僕は好きです。相手がどのような世界を想像しながら話しているのだろうと思いを巡らせながら、似たところ、違うところを見つけていく。実際のプロジェクトも大事ですが、こういったコミュニケーションもまた非常に大事だと感じました。

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