\n"; ?> JVC - ガザ: 栄養失調と貧困、失業、封鎖(2) - パレスチナ最新情報

ガザ: 栄養失調と貧困、失業、封鎖(2)

パレスチナ現地代表 福田 直美
2010年8月 2日 更新

センターでの活動を視察した後、ハナさんが栄養失調の子どもの家庭訪問に連れて行ってくれました。ハナさんはじめ「人間の大地」は、定期的にセンターに通う子どもたちの家庭を訪れ、家庭内の衛生環境を視察したり、配布している食材が適切に使われているかを確認、指導しています。この日訪問した家では、モハメド君(3歳6ヶ月)とファティマちゃん(8ヶ月)がセンターに通っています。家に入るとすぐそこは小さな台所。セメントの壁がむき出しで、室内は暗い感じがします。台所の隣りには6畳ほどの部屋があります。そこに、子ども7人を含む9人が住んでいるのです。この家のお父さんはまだ若いのですが、病気でほとんど目が見えない状態のため仕事をすることができません。現在治療を受けている2人も含めて7人の子ども全てが、センターで栄養失調の治療を受けたことがあるそうです。モハンマド君はこの2ヶ月で11.1kgから11.7kg、ファティマちゃんは3週間で5kgから5.7kgと、少しずつ改善してきています。台所ではちょうど、センターで配布されているセモリナ粉を使ったご飯がファティマちゃん用に準備されていました。

乾燥食材を使って調理した栄養食を食べるファティマちゃん乾燥食材を使って調理した栄養食を食べるファティマちゃん

「配布された食材はどこに保管しているの?」と聞くと、お母さんは冷蔵庫を開けて見せてくれました。その冷蔵庫の中には、しなびたトマトとじゃがいもが少し入っていました。その他に入っていたのは、センターで配布された食材と、水道水だけだったのです。他に何の食材があるか聞くと、国連から配布されるお米と小麦粉のみだそうです。そのため、配布される乾燥食材をモハンマド君とファティマちゃん以外の子どもも食べているとお母さんは打ち明けました。本来ならばもちろん、栄養失調の子どもたちの治療のための食材なのですが、栄養価のあるものを手に入れることができない状態では、他の子どもたちも栄養失調になってしまうでしょう。ハナさんは「この状況で他の子どもに食べさせるなとは言えない」と言いながらも、お母さんに「まずモハンマド君とファティマちゃんに、しっかり食べさせるように」と指導していました。お母さんは帰り際、何度も「ありがとう」とハナさんと私たちに伝えました。

ファティマちゃんの家の冷蔵庫。配布された乾燥食材(中段)以外には、トマトとじゃがいも(下段)しか入っていないファティマちゃんの家の冷蔵庫。配布された乾燥食材(中段)以外には、トマトとじゃがいも(下段)しか入っていない

イスラエル政府がガザに対する封鎖の「緩和」を発表したのは7月上旬。しかし最近ガザでは、瓦礫の中から再利用できる鉄くずや石くずなどを拾い集める人々の姿が以前よりもより目立つようになりました。大人だけでなく、子どももバケツや布袋を持ってそれらの収集をしています。集められた材料は、コンクリートブロックの再生工場へと売られます。破壊された建物を建て直すのに十分なセメントがガザに入ってこないため、再生されたブロックがある意味"流行"の産業となっているガザですが、一方でその強度の弱さも指摘されています。また、イスラエルとガザの境界線付近ではそのような人々に向けてイスラエル軍が攻撃することもあるのですが、少しでも収入を得るために危険を冒してまでも収集の作業を続けている人々を見て、思います。封鎖の「緩和」は果たして人々の生活にどれほどの影響を与えているのだろうかと。例えば建設資材に関しては、イスラエル軍が搬入を許可したのは、国連などの国際機関が支援する事業に必要な分だけです。人々が自分たちの生活や破壊された住居を自らの手で建て直せるわけではないのです。

瓦礫から使える材料を集め、ブロックを再生する。この光景がガザでは多く見られる瓦礫から使える材料を集め、ブロックを再生する。この光景がガザでは多く見られる
小さな子どもまでが、瓦礫から使える材料を集める小さな子どもまでが、瓦礫から使える材料を集める

栄養失調の子どもたちの家を訪問したり、そのお母さんに家族の経済状況や食事などについて聞き取りをしていると、ガザに対する封鎖がどれだけ人々の生活に継続的な経済的困難を生んでいるかが感じられます。そして封鎖の「緩和」が決して、人々の生活、子どもたちの健康に直接良い影響を与えることを期待できるものではないことも。そのような中で、「人間の大地」のセンターに通うお母さんと子どもたちの笑顔が、私たちにとっては希望であると言ってもいいでしょう。


この活動への寄付を受け付けています!

月500円からのマンスリー募金で支援する

今、日本全国で約2,000人の方がマンスリー募金でご協力くださっています。月500円からの支援に、ぜひご参加ください。

郵便局から募金する

郵便局に備え付けの振込用紙をご利用ください。

口座番号: 00190-9-27495
加入者名: JVC東京事務所

※振込用紙の通信欄に、支援したい活動名や国名をお書きください(「カンボジアの支援」など)。
※手数料のご負担をお願いしております。

JVCは認定NPO法人です。ご寄付により控除を受けられます(1万円の募金で3,200円が還付されます)。所得税控除に加え、東京・神奈川の方は住民税の控除も。詳しくはこちらをご覧ください。

遺産/遺贈寄付も受け付けています。詳しくはこちらのページをご覧ください。