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ガザ攻撃から1年:復興が進まない町で

パレスチナ現地代表 福田 直美
2009年12月 9日 更新

2008年末に始まったガザに対する大規模な攻撃から、もうすぐ1年が経ちます。町では、爆撃で破壊された大きなビルの瓦礫などが、ところどころですが撤去されている光景を見かけました。また、通りではそのような所から集めた瓦礫を砕き、再度生成してブロックにする作業をしている人々を多く見かけました。セメントから作るブロックより強度は弱いそうですが、「あるもの」を再利用してなんとか復興しようとする姿が見られます。

攻撃で焼けた赤新月社のビル(1月)攻撃で焼けた赤新月社のビル(1月)
赤新月社のビルは撤去されていた(手前の車が止まっているスペース)(12月)赤新月社のビルは撤去されていた(手前の車が止まっているスペース)(12月)
魚市場で。新鮮な魚が並ぶ魚市場で。新鮮な魚が並ぶ

魚市場を覗くと、漁師の男性たちが声をかけてきました。「今朝の漁はどうだった?」と聞くと、「まあまあかな、イルハムディッラー(全ては神の思し召し)」と答えます。「昨日は波が出ていたからね、あんまり獲れなかった」そうです。それでも、小ぶりのマグロ、エイ、鯛などのような魚、イカ、カニなど新鮮なものばかりがたくさん並んでいます。私が好きな魚、スルタン・イブラヒーム(小さな鯛のような魚)はないか?と聞くと、「その魚は遠くまで出ないと獲ることができないんだよ」と教えてくれました。ガザは約10kmに渡って白い砂浜の海岸線が続いています。漁業に出られる海域は、1993年のオスロ合意から20マイル(約37km)でしたが、2002年の時点で12マイル(約22.2km)、2006年10月以降は6マイル(約11.1km)、そしてイスラエル軍による大規模な攻撃が行われた2009年1月からは3マイル(約5km)にまで制限されています。「ガザに漁師さんはどのくらいいるの?」と聞くと、3,000〜4,000人とのこと。「昔は倍以上の漁師がいたんだよ」と言います。多くの船が攻撃によって壊されたことや、燃料が高くなったこと、そして漁業に出られる海域の制限により漁獲量が減ったこと、魚を獲っても経済難のためなかなか売れないことなどを、漁師の男性たちは話してくれました。それでも、漁師の男性たちは「これは何?おいしそう!」と興味津々な私たちに、「エルサレムに持っていけない(検問所で没収される可能性がある)のが残念だよ!こんなに新鮮な魚、ガザでしか食べることができないからね」と自慢げに言いました。

魚市場で。漁師の男性たちは「写真撮ってくれよ!」魚市場で。漁師の男性たちは「写真撮ってくれよ!」

1月に訪れたガザの東部、アッサムニーエでは、パレスチナ医療救援協会の巡廻診療を訪問した時に出会った女の子と偶然に再会しました(写真の、薬きょうを持っている女の子です)。「あなた、前に来たよね?」と私のことを覚えていてくれた様子。「どこに行っていたの?」と笑顔で聞く彼女に、「ガザには時々来ているの。でもここには来ることができなくてごめんね」と答えました。

イスラエル兵が立て篭もった家の女の子(壁の落書きは兵士が残していったもの)(1月)イスラエル兵が立て篭もった家の女の子(壁の落書きは兵士が残していったもの)(1月)
この子と再会(左)。「また来てね!」と元気そう(12月)この子と再会(左)。「また来てね!」と元気そう(12月)

イスラエル軍が地上戦を始めた時、彼女の家族が住んでいる家には、イスラエル兵が立て篭もり、そこから銃で攻撃をしていたそうです。「部屋の一部に空いていた穴はどうした?」と聞くと、穴はビニールシートで塞いでいるとのことです。また、お父さんは以前、トラックの運転手をしていましたが、1月の攻撃の時にトラックが破壊されました。それ以来、仕事道具を失ったお父さんは、仕事をすることができていないそうです。家の中がめちゃめちゃにされた状態も、お父さんの仕事も、まだもとの状態に戻るには時間がかかりそうです。そういえば1月に会った時は、お母さんは妊娠してお腹が大きかったな、と思い出し、「お母さんは元気?」と聞くと「女の子が生まれたのよ」と嬉しそうに言いました。「学校は楽しいわ。そうそう、新型インフルエンザが流行っているのよ!気をつけてね!手を洗って顔も洗うといいって、学校で教わったわ」と教えてくれました(※ちょうどこのガザ滞在期間中に、ガザでも新型インフルエンザ感染による死者が出たというニュースがありました)。元気な笑顔には、驚かされます。

壊されたトラック。運転手だったお父さんは仕事を失った壊されたトラック。運転手だったお父さんは仕事を失った

攻撃が始まってから約1年が経ち、破壊されたインフラ設備、建物修復のための物資すらガザに入ってくる数が厳しく制限される状態は変わっていません。数はかなり減ったとのことですが、今も仮のテントで生活を続ける人々もいます。それでも人々と話すと、やはり、ガザの人々はたくましいと感じるのです。そして、私たちはそういった人々の姿を忘れてはいけないと改めて思うのです。攻撃開始から1年が経つのを機会に、日本でもガザのことを思い出し、考える時間を持っていただければと思います。


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