
西岸のお店で最近よく見かけるマークがあります。道路標識のようでつい注目してしまうこのマーク は、“Intajuna”−アラビア語で“私たちの製品”という意味です。つまり、パレスチナ産のものであることを示しています。
「パレスチナ産の日用品、食料品などを、人々がマーケットでより簡単に見つけられ、購入できるようにしよう」として始まったプロジェクト。日用品や加工食料品はローカルの工場、野菜や果物は農民組合から、できるだけダイレクトに消費者につなぐ試みです。「安全なもの、地元産のものを買いたい」という消費者と生産者をつなぎながら、そうでない消費者にも地元産の商品の良さを知ってもらおう、そして地元の経済に貢献しよう――というわけです。
“Intajuna”参加企業は、オリーブオイル、コーンオイル、缶詰のピクルスなど、お菓子、モルタデッラ(ソーセージ)、牛乳・乳製品、洗剤、食器洗剤、トイレットペーパー・ティッシュ、オムツなど多岐にわたります。そして11月末からは生鮮野菜・果物も加わります。私も西岸の町に行くたびに、この“Intajuna”が置いてあるお店で、色々なものを買い込むのが楽しみの一つです。
この日は、トゥルカレムという西岸の北部の街で行われた、“Intajuna”ワークショップに参加しました。地元の女性たち100人以上が集まったワークショップには、“Intajuna”に参加する、お菓子、モルタデッラ、牛乳、小麦粉、洗剤、オムツなど6つの製造会社が出席しました。

女性たちの前で、それぞれの商品の特長などをアピールし、また女性たちからの商品についての質問に答えていきます。オムツを製造している会社の担当者が、「伸縮性があって、赤ちゃんが動いても安心。張ったり剥がしたりを繰り返すこともできます」などとオムツを手に説明する姿は、なんとなく面白く、会場が和やかに。また、ティッシュの会社の男性はなかなかハンサムで、女性たちは少しザワザワ(?)。「私、このティッシュ好きなのよ。とっても柔らかいわ!」と拍手喝采です。
自社の洗剤を説明した男性に対しては、女性たちは安全性や品質についての質問をしていました。たくさん質問や感想の声が上がり、皆とても楽しんでいたようです。ワークショップの後、色々な商品サンプルの入った袋をお土産にもらった女性たちは、「やっぱり地元のものを買わなきゃね!もっと多くのお店が、こういった商品を置くようになればいいのよ。友達にも勧めるわ」とゴキゲンでした。食べ物だけでなく日用品などについても、生産者に直接質問ができる、意見が言えるのは消費者にとって貴重な機会です。

実はトゥルカレムでは今年3月から、地元の商工会議所が中心となって「イスラエル製品のない町にする」キャンペーンが始まりました。イスラエルにとって、パレスチナはイスラエルに次ぐ第二の市場。パレスチナに輸入されるイスラエル産商品は、年間約2300億円にもなるそうです。
ワークショップに参加したトゥルカレム町役場の人は、「その中には、私たちの土地の上に違法に作られた入植地で製造された商品だってあります。パレスチナの経済は封鎖などでダメージを受けている一方で、私たちは占領者の経済に貢献させられているのです。それに、考えてみてください。このお金が地元の企業に落ちれば、パレスチナの経済は大きく変わるでしょう。人々の仕事の機会だって増えるかもしれません。経済的にイスラエルから自立、独立することは、私たちにとっての抵抗でもあるのです」と言いました。

実は先日、ガザ市内の店でも“Intajuna”商品を見つけました。ジュースの工場で、ジュースの他にもケチャップやジャムなどを作っています。ガザ産のケチャップは本当のトマトの味がしてジューシーでおいしいのです。しかし現在まで2年半近く続く封鎖によって、ガザから物を輸出することは不可能です。プロジェクト担当者は、「西岸にガザ産のものが入ってくるようになればなあ。西岸のパレスチナ人はみんな、ガザ産の物を応援して買うよ!」と言います。それはきっと、どんな支援よりもパレスチナに貢献し、人々にとって大きな励ましとなるでしょう。頑張れ、パレスチナの経済!
気をつけて見てみれば、“Intajuna”マークがなくても意外とパレスチナ産ってあるものです。まずはできることから ― 日々の買い物の中で私も小さな貢献をしていきたいと思います。
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