1月15日、ガザの複数の関係者と連絡を取りました。通信状態が日に日に悪くなっているため電話が繋がらないことも多く、その度、無事か不安になります。
AEI(=Ard El Insan、人間の大地)ハンユニス・センター代表 ハナンさん
久しぶりに電話がつながりました。受話器の向こうから、7ヶ月になる女の子の笑い声が聞こえます。
「この子はまだ幼すぎて、何が起こっているかわからないのよ。外ではこんなに激しい攻撃が続いているのに。でも彼女が笑っているだけで救われる気分よ。生きなきゃって思うの。今日なんて、攻撃で負傷した人たちが手当てを受けている病院ですら攻撃されているわ」
「AEIのハンユニスのスタッフは皆無事よ。でも、親戚が亡くなったという人も何人かいるわ。昨日からハンユニスのセンターも再開したの。栄養食の提供はまだできないけれども、医師が特別な薬など治療が必要な子どもたちを診察して薬を渡すことができたそうよ。それから、ストックされていた小麦粉も配布したわ。子どもたちの健康状態が悪くなっている今、センターを再開するのはお母さんたちの精神的な支えとしてもとても大切。センターの一部の窓は割れたけれども、建物自体はなんとか無事よ」
この状況で、センターの子どもたちの状態を気にかけてセンターを開けようとする彼女たちの思いには、ニュースを見ては落ち込んでいる私の方が励まされてしまいます。安全を祈りながら活動を応援したいと思います。
AEIの医師、モハンマド氏
彼は今、助っ人として毎日シファ病院で働いています。電話が繋がったのは朝の9時過ぎ。昨日までは元気そうに話していたのですが、今朝は電話を取った時点で、声が震えているのがわかります。
「元気?元気どころか、とてもじゃないけれども平気じゃない。昨日の夜はひっきりなしに病院に運ばれてくる負傷者の手当てに追われていた。明け方に家に戻る時、家の周りで攻撃が今までで一番激しくなっていると聞いて、他の人たちと救急車で家に戻ってきたんだ。通りを走っている時、多くの人々が救急車に向かって助けの声を上げていたよ。辛くて、とても見ることが出来なかった」
「病院で助けを求めている人がいるのに、今日は家の周りでの攻撃がひどくて、外に出ることもできなさそうだ。家族のことも守らなければならない。今、親戚などがこの家に避難してきていて、この部屋にも10人以上いるよ。下の階にも15人〜20人はいる。今、家の窓からは真っ白な煙(イスラエル軍は白リン弾を使用していると言われている)しか見えない。窓を開けることはできない」
本当は、AEIに送る特別ミルクの件で話があって電話をしたのですが、すぐ側で小さな子どもが泣いている声もしており、モハンマド医師も疲れている様子で話ができる状況ではなかったので、「また連絡するから、元気でいてね」と電話を切りました。
PMRS(=Palestinian Medical Relief Society、パレスチナ医療救援協会)ガザ代表 アブ・フーサ氏
「クリニックにはラマッラー(西岸)からの一部の医療品が届いたので、しばらくは何とかやっていけると思うが、これ以上のスピードで負傷者が増え続ければ、すぐになくなってしまうだろう。(JVCが支援している)救急キットはまだ届いていない。ここに在庫としてあったキットは全て配ってしまったし、いくら配布しても足りない状態だ。一日でも早く届くことを願っている」
「クリニックには毎日100人以上が訪れている。病院は本当に重度の負傷者であふれていて、病院では手当を受けられなかった人々がクリニックにどんどん流れてくるんだ。とても悲しい光景だよ」
ニュースでは、救急車から怪我人を乗せた担架を急いで病院へと運ぶ、PMRSのベストを着たスタッフの姿が映っていました。現場での救援活動にあたるスタッフ、クリニックで手当てを続けるスタッフの安全、そして、多くの人々が必要としている救急キットが、一日でも早くガザに届くことを祈るばかりです。
幼稚園児への栄養牛乳配布事業で一緒に働くモナさん
「家族はみんな無事よ。できるだけ、いつも一緒にいるようにしているの。普段は幼稚園児に配っている栄養強化牛乳が、ガザに入ってきたけれども、今は幼稚園ももちろん閉まっているし、全ての人々が支援を必要としている時よ。牛乳は配布物資に使ってもらえるよう、UNRWA(United Nations Relied and Works Agency=国連パレスチナ難民救済事業機関)に送ったの。でも、今日そのUNRWAのガザ本部が攻撃を受けたわ。今、私の家の窓からも黒い煙が見えるの。真っ黒な煙、きっと倉庫にあった燃料なども燃えているのかもしれない。支援物資も燃えているのかしら・・・」
彼女との電話を切った後、ニュースを確認すると、UNRWAの本部が攻撃を受け、そして多くの医療品や食料があった倉庫も被害を受けたとのこと。ニュースでは、倉庫と共に炎上する支援物資の映像が流れています。どれほどの支援物資が燃やされたか、支援物資に頼らざるをえない状況に追い込まれている人々はどうなるのか、その炎を見ながら考えると怒りと悲しさがこみ上げてきます。
「ガザの人々は2度死ぬ...」
国連ガザ本部、病院、そしてメディアセンターが入っているビルが攻撃された今日。これによりメディア関係者でも負傷者が出たと聞き、メディアで働く知人に無事を確認するメッセージを送りました。彼は自分が無事であることを伝えた上で、彼のレポートのビデオのリンクを送ってくれました。そのレポートの中で、彼は壊されたお墓を前にこう言っていました。
「ガザの人々は、2度死ぬのです。一度目は、空からまたは地上での攻撃で。そして遺体として埋められた土の中で再び、墓の上からの攻撃で死ぬのです」
私たちは、現場での支援を続けると共に、恐怖、悲しみ、痛みの中で生きている人々の声が「聞こえてこない声」とならないよう、発信していかなければなりません。
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