シュアファット難民キャンプでは、薬物中毒の人がいる家庭や、家庭内暴力のある家庭も珍しくないと聞きます。家にいても楽しくないという子供もいるのかもしれないと思うこともあります。人口が増え続けるキャンプの中で広がる薬物や窃盗、その他の犯罪の問題、それに対する人々の不安は、シュアファット・キャンプがエルサレム市に位置するからこそ抱える問題なのだと感じざるをえません。何かあっても、パレスチナ警察は入ってくることはできませんし、かといってイスラエル警察は「何か問題があっても守ってくれない」と言います。こういった話はキャンプ内の色々なところで耳にするのですが、子どもたちがプログラムが終わって家に帰る時間になっても「帰らない!」とおどけながら駆け回っている様子を見ると、やはり子どもたちへの影響が気になってしまいます。そして、こういった場が子どもたちにとっていかに大切な場であるかがわかります。



プログラムは一ヶ月以上続き、時々、日帰りでスイミング・プールや、エルサレム周辺の公園などへピクニックにも行きました。ある子どもに何が一番楽しかったかを聞くと、「ピクニック!野菜を切ってサラダを作って、火をおこしてチキンを焼いて、すごくおいしかったんだよ。僕、初めて“料理”したんだ。その後は、みんなで歌って踊ったんだ」と誇らしげに教えてくれました。キャンプの中は建物がひしめくように建っており、地面はコンクリート。緑はほとんど見られません。太陽の下、緑の中で風を感じながらきゅうりやトマトを切るのにも興奮する子どもの様子を想像すると、なんだか私までワクワクしてしまいます。子どもたちにとっては、かけがえのない経験になったことでしょう。このセンターでは小学生以下から高校生までの男の子と女の子が一緒に活動しているので、大きなお兄さん、お姉さんから活動を通して教わることもたくさんあるようです。このセンターの活動を見ていると、子どもたちはこうやって大きくなっていくんだなあ、と感じるのです。

また、広いグラウンドを利用して、JVCがサマー・プログラムを支援するもう1つのセンター、ズフール・センターの子どもたちとのジョイント・デーも1日、設けられました。両センターの子どもたちが一緒になって、綱引きや椅子とりゲーム、ボールを使ったゲームやお絵描きなどを行いました。総勢200人となったこの日、もちろん通常の日以上の大騒ぎ(!)となりましたが、子どもたちはキャンプ内の他のセンターの子どもたちと交流する機会を心から楽しんでいたように思います。

このセンターは、モロッコ政府などの支援で数ヶ月前に新しい建物が出来上がったばかりで、センターとして再始動したばかりです。以前のセンターで遊んでいた子どもたちは、今はボランティアとして活躍しています。サマー・プログラムが終わった後、あるボランティアの女の子は、「サマー・プログラムだけでなく、普段から子どもたちが気軽に来られる場所にしたいの。デプカ(パレスチナの伝統ダンス)でも音楽でも、スポーツでもなんでもいい。特別なプログラムでなくても、子どもたちが安心して、いつでも友達に会いに来ることができる、そして『今日も楽しかったね。明日は何をしようか』って笑顔で家に帰ることができる、そんな場所にしたい」と言います。彼女たちは今、ラマダン(断食月)明けからの通常のプログラムを作成しているところです。
「とにかく、怪我もなく無事終わって安心だよ。本当に、ボランティアの若者のおかげだ。そして、サマー・プログラムを支えてくれた日本から支援してくださる皆さんのお陰だ」と、センターのスタッフの男性は嬉しそうに言いました。パレスチナ子どもセンターの活動は、これからです。サマーキャンプを通して、皆で協力しあいながら成長して行くことを学んだ彼らの活動を、見守っていきたいと思います。
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